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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第236話 珍しい鉱石


 軽く自己紹介をしてから、さっそくロッゾさんは鉱石の鑑定を始めた。

 珍しい鉱石が多いようで、ロッゾさんの反応がすこぶる良い。


「おお! なんじゃこの鉱石! 色も含めて見たことねぇぞ!」

「その鉱石はラナルダン鉱石です。熱を加えると自在に形を変えられるので、使い勝手の良い鉱石になります」

「ほえー。見たことねぇ鉱石ばっかでテンション上がるな!」

「それなら良かった。使える鉱石はありそう?」

「使ってみたい鉱石はたくさんあるが、使えるかどうかは実際に試してみないと分からんな! とりあえず、金鉱石とブラックマイト鉱石は確定で使えるが!」


 すぐに判断できると思っていたけれど、珍しい鉱石が多かったせいで難しそうだ。

 ただ、反応自体はとても良いし、一部の鉱石は取引価値があるとの判断も出た。

 ロッゾさんの様子を見る限りでは、良い取引ができそうで安心した。


「今のところは、その2種類の鉱石を確定で取引させてください。あとは後ほど判断しても大丈夫ですか?」

「ん。もちろん大丈夫。ゆっくり確認してほしい」

「ありがとうございます。それではロッゾさん、使えるかどうかを調べていただけたら幸いです」

「おうよ! この鉱石は持って帰っちまっていいのか?」

「はい。この間いただいた肥料と苗のお返しですので、自由に使ってください」

「うっしゃ! なら、さっそく戻って色々と試させてもらう! 分かったらすぐに知らせるからよ!」


 ロッゾさんはそう言い残すと、鉱石を担いで戻っていった。

 目を輝かせていたし、生粋の職人であることがよく分かる。

 感覚的には、新しいおもちゃを手に入れた子どものようだったんだろうな。


「ふぅー。ひとまず気に入ってもらえたみたいでホッとしました」

「ですね。私としても、鉱石と作物の種を交換できたらいいなと思っていたので良かったです。それで、お二人はすぐに帰ってしまうんですか?」

「んーん。私一人ならすぐに帰るつもりだったんだけど、姉がついてきたいってうるさかったから、帰りの魔力が貯まるまで居させてもらいたい。……大丈夫?」

「そんなにうるさくは言ってないでしょ!」

「いや、うるさかった」

「まあまあ、こちらは全然大丈夫ですので。それじゃ、せっかくですから何か簡単な料理を作りますね」


 たぶんだけど、ファウスティナさんは美味しいものが食べられるという話を聞いて、こうしてついてきたんだと思う。

 それなのに、ご飯を振る舞わないというわけにはいかないので、簡単なものだけど作らせてもらおう。


「れ、例の美味しい料理を頂けるんですか!? お気遣いいただき、ありがとうございます!」

「やった。卵がゆ?」

「卵がゆでもいいんですが、甘い料理を作ろうとしていました。どちらがいいですか?」

「私は甘いものが食べたいです!」

「私は卵がゆ。……じゃんけんで決めよう」


 私個人としては、両方とも作ってあげたいところだけど、一人前でも意外にコストがかかるからね。

 ここはどちらか一種類に絞ってもらいたい。


「じゃんけん――ぽい! やったー! 私の勝ちね!」

「むむ、負けちゃった」

「それでは甘い料理で大丈夫ですか?」

「ん。甘いのも嫌いじゃないから」

「なら、じゃんけんせずに私の希望を通してくれても良かったでしょ」

「それ以上に卵がゆが良かっただけ」


 ミラグロスさんは本当に卵がゆが好きなんだな。

 一番好きな料理というわけではないと思うけど、それだけ出会いが衝撃的だったということか。

 とりあえず甘い料理、つまりパンケーキに決まったので、ササッと作って出してあげよう。


 調理を開始して約20分。

 計4枚のパンケーキを焼き上げた。


 使用するのはもちろん、クイードが集めてくれた蜜。

 パンケーキとの相性は抜群だし、1人2枚を想定して用意したけれど、ペロッと食べられるはず。


「お待たせいたしました。こちら、パンケーキになります」

「うわー……。匂いからして美味しそう!」

「ん。すごく美味しそう」

「焼きたてですので、冷めないうちに食べてください」


 二人の前にお皿を置いた瞬間、すぐにパンケーキを切って口に入れたファウスティナさん。

 ずっと我慢していたからか、その動きは驚くほど早かった。


「うんまーい! な、なにこの食べ物!? 話で聞いていたよりも凄すぎる!」

「だから、何度も言ったのに。……おいしー」


 姉妹そろって頬を押さえ、恍惚な表情を浮かべてくれている。

 この表情を見ることができただけで、パンケーキを振る舞った甲斐がある。


「喜んでもらえたみたいで良かったです」

「この料理を喜ばない人なんていません! 予想以上の美味しさで口角が緩んでしまいます!」

「本当に美味しい。ただ、私は卵がゆの方が好きだけど」

「卵がゆってそんなに美味しいの? これ以上の料理とか、まったく想像もつかないわ」

「人それぞれだと思いますよ。とりあえず、まだ生地は余っていますので、おかわりが欲しかったら言ってください」

「お、おかわりまで……ここは天国なのかしら?」


 2枚でも多いかなと思っていたけれど、結局ミラグロスさんもファウスティナさんも、さらに2枚を平らげてしまった。

 よほど気に入ってくれたのか、ファウスティナさんは終始笑顔で、私に何度も頭を下げていた。


 自己紹介の前は緊張していたけれど、人柄も良く非常に接しやすい方だった。

 パンケーキのおかげが大きいと思うけれど、ファウスティナさんとも良い関係を築けそうで、一安心だ。


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