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第21話 手伝い


 漫画をここまで気に入ってくれたのは嬉しいし、王女様の頼みを聞いてあげたいところではあるけど……。

 ずっと悩んでいたことからも分かる通り、手持ちのNPが少ないため、追加でプレゼントするのは難しい。


「……申し訳ありませんが、条件的に難しいです。来月辺りなら渡せると思いますので、それまで待って頂けますか?」

「ら、来月……。分かっ――やっぱり待てない! スキルと言っていたけど、どんなスキルなの? 私が最大限のサポートをするわ!」


 立ち上がり、胸を張りながらそう宣言してきた。

 王女様のサポートはありがたいけれど、NPを増やすことに関しては手伝って貰うとかがないからなぁ……。

 それに、王女様の力で全てを解決させる――みたいなのはしたくない。


「……まずは隠すことのものではありませんので、私のスキルについて軽く説明させて頂きますね。私のスキルは【異世界農業】というもので、スキルで作り出した畑で作物を育てると、特殊な通貨に変えることができるんです。その通貨で王女様にお渡しした本を購入したという流れです」

「な、なるほど? つまり……私は何をすればいいの? 人手がほしいのであれば、王国騎士に声をかけて手伝わせることもできるわ」

「申し訳ありませんが、強制させて手伝わせることはしたくありません。王様にも王女様にも感謝はしていますが、ここでは王族の権力を使うのはやめてください」


 私がそう伝えると、見るからにしゅんとした王女様。

 言い返してくると思っていただけに、少し意外な反応だった。


「……それは申し訳ないわ。田舎暮らしがしたくて、わざわざこの別荘で暮らしをしているんだものね。それじゃ私に手伝えることはなく、来月まで待つしかないということかしら」

「続きを熱望している王女様自身が手伝うということでしたら、私は歓迎致しますが……来月まで待って頂くのが良いと思います」

「私が……畑仕事? でも、来月まで待たないといけない……」


 畑仕事は無理という前提で話したつもりだったのだが……。

 どうやら王女様の中で、畑仕事を行ってすぐに続きを貰うという選択がやぶさかではない様子。


「王女様が畑仕事はやってはいけませんよね? だから来月まで王城で待って頂けれ――」

「分かったわ。私が農作業を手伝う。それで佐藤は満足なのでしょう?」


 まさかの決断を下した王女様に対し、私は開いた口が塞がらない。

 それほどまで漫画にハマったということなのか?


「だ、大丈夫なのですか? 王女様に農作業を手伝わせて、王様の反感を買ってしまうなんてことは……」

「もちろん、その可能性の方が高いわね。……ふふ、冗談よ。お父様がそんなことで怒るはずないでしょ。私を自然で遊ばせたいと思って、わざわざここに別荘まで建てたのよ。私は外にすら滅多に出ないし、今回のことを知ったら逆に泣いて喜ぶかもしれないわ」


 それなら……いいのかな?

 よく分からないけど、私が言い出したことのため、今さら手伝わなくていいとは言い出しづらくなってしまった。


「そういうことでしたら……手伝って頂いた分だけ、本でお返し致します」

「まさに労働ってことね。お金で買えないものだからこそ、私が働かなくちゃいけない。……何だか楽しくなってきたわ」


 そう楽しそうに笑みを浮かべた王女様。

 物珍しさから今は楽しそうにしてくれているみたいだけど、慣れてきた時に不満へと変わらないかは少々不安。

 ……いや不満が出た際は、最初に話していた通り、待っていてもらえばいいだけか。


「それで、何時間働いたら本を1冊くれるの?」

「時間ではなく日数ですね。3日間働いてくだされば、本を1冊お渡し致します」

「3日働いて本を1冊だけ!? ……それが普通なの?」

「普通かは分かりませんが、稼げる通貨を考えるとそれが限界です」

「……分かったわ。3日間も畑仕事しないといけないのは大変だけど、あの本の続きを読むことができるなら頑張れる」


 3日で漫画の単行本1冊と考えると、日本で考えるなら日給200円程度。

 あり得ないほどのブラック環境ではあるけど、NPが稼ぎ辛い上に異世界のものは約30倍の値段になっているから……こればかりは仕方がない。


「いつでも働きにきてくださって構いませんが、3日間は連続で働いてください。そこだけはよろしくお願いします」

「それじゃ早速だけど明日から働かせてもらうわ。私はいち早く続きを読みたいの」

「分かりました。お待ちしております。ちなみに王女様は王都から通うのですか?」

「そのつもりだけれど、帰るのが面倒くさい時はここに泊まるかもしれないわ。それと、私のことは王女様じゃなくて、ベルベットと呼んでいいわよ」

「ベルベットさん……ですね。これからよろしくお願い致します」


 あまりにも想定外のことだけど、まさかの王女様こと――ベルベットさんが手伝ってくれることになった。

 この国の王女に畑仕事をさせていいのかという気持ちは未だにあるけど、人手が増えたことは嬉しい限り。

 私もこれまで以上に気合いを入れて働かないといけないな。



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