表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

233/388

第221話 パイシチュー


 ポーシャさんの料理を食べ終えたタイミングで、シーラさんの料理が完成したようだ。

 制限時間まで残り2分という完璧な時間配分。


 出された料理は、耐熱容器で焼かれたパイ。

 ポーシャさんの料理と違って、見た目や匂いはそこまで強く食欲をそそられない。


「パイを崩しながら食べてください」

「パイを崩しながらですか? もしかして……」

「佐藤さんが考えている通りだと思います。再現は難しかったですが、昔教えてもらったパイシチューを作ってみました」


 やはりと思ったが、この料理はパイシチューのようだ。

 言われた通りにパイを崩してみると、中から現れたのはビーフシチュー。


 使われている食材はこの世界のものなので、厳密にはビーフシチューではないのだろうが、香りは完全にそれ。

 パイに閉じ込められていたことで、香りが一気に広がり、食欲を強烈に刺激される。


 さっそくパイとシチューを一緒に口に運ぶ。

 ……すごい。美味しい。


 油断すると肉の臭みが出てしまうところだが、臭み抜きが丁寧にされており、さらに香草類をふんだんに使うことで、美味しいビーフシチューに仕上がっている。

 パイはあえて無味に仕上げられており、食感のアクセントとしてパイシチューを完成させている。


 まさかこんなに美味しい料理を食べられるとは思っていなかっただけに、思わず唸ってしまった。

 私だけでなく、ノーマンさんやヤコブさんも完食しているので、この組は最初から高得点の予感しかしない。


「……うわーん! 間に合いませんでしたー!」


 パイシチューに舌鼓を打っていると、情けない声とともに料理を持ってきたのはジョエル君。

 焦げたご飯のようなものの上に、これまた見た目の悪い緑色のソースがかかっている。


 美味しいパイシチューの後で食べたくはないが、審査員である以上は食べなければならない。

 30分で打ち切られたジョエル君の未完成料理を、意を決して口に運ぶ。


「こ、これは……」

「不味いですよね!? ごめんなさーい!」


 思わず声が出てしまうほどの不味さ。

 緑色のソースが特にひどく、焦げの風味のおかげでなんとか吐かずに済んだ。


 ポーシャさんやシーラさんほど料理が得意ではない上、緊張で混乱してしまったせいで、この結果になってしまったのだろう。

 ノーマンさんとヤコブさんも一口でスプーンが止まってしまったため、残りはライムに食べてもらうことになると思う。


「それでは採点を発表します。ポーシャさん70点、シーラさん95点、ジョエル君5点」

「ポーシャ80点、シーラ98点、ジョエル10点」

「ポーシャさん78点、シーラさん98点、ジョエル君15点っすね!」


 合計点は、ポーシャさんが228点、シーラさんが291点、ジョエル君が30点。

 他の採点を見ると、ジョエル君には少し厳しかったかもしれないが、あの料理は確かに一桁点数でも仕方がない内容だった。


「うぅ……自信あったんですが、シーラさんが凄すぎましたね」

「良かった。ひとまず暫定1位ですね」

「うわーん! 合計30点はトラウマになります!」


 まだ序盤ながらも、シーラさんが圧倒的な点数を叩き出した。

 本来なら100点を出してもよかった料理だが、この後にそれを上回る料理が出てくる可能性も考慮しての95点だった。


 ノーマンさんとヤコブさんも、きっと同じ気持ちだったのだろう。

 ポーシャさんも惜しかったが、やはりシーラさんと比較すると差が出てしまった。


 シーラさんには暫定王者席についてもらい、次の3人に料理を作ってもらう。

 くじ引きで選ばれたのは、ルーアさん、ヘレナ、そして緊急参戦のミラグロスさん。


 ルーアさんは料理があまり得意ではなく、ヘレナもシーラさんから習っているものの、まだまだ修行中。

 一見すると、シーラさんに勝てそうなのは未知数なミラグロスさん次第、といったグループだが、料理はアイデアひとつで化ける世界だからね。


 3人に期待しながら、調理の様子を見守ることにする。

 最初に動きを見せたのは、大きなタコの魔物を取り出したルーアさん。


 自分で獲ってきた海の魔物を使い、今回は魔物食で勝負するらしい。

 魔物食も、この世界ではれっきとした食材であり、もちろん使用は問題ない。


 ただ、ノーマンさんとヤコブさんは露骨に嫌そうな表情でルーアさんを見ており、減点される可能性が高い。

 私は一切偏見はないが、さっきのチーズ以上に好みがはっきり分かれる食材だ。


 思い切った策に出たルーアさんに負けじと、ミラグロスさんも動き出す。

 急遽参戦が決まったため、彼女だけ準備期間はわずか1日だった。


 そのせいで準備はドタバタだったが、無事に指定された食材の入手に成功。

 ミラグロスさんが選んだのは、ワイルドボアの肉。


 これもルーアさん同様、魔物食にあたる。

 ワイルドボアは、美食ハンターのダグラスからもらったジャーキーで食べたことがある。


 ちなみに、偏見なしに言って美味しくなかった食材で、今のところの期待度では、タコの魔物『オクトパール』に大きく劣る。


 ジャーキーだったから不味かった可能性もあるが、私は肉自体に強烈な臭みを感じた。

 新鮮な肉なら臭みがないかもしれないが、それでも美味しい料理になるとは思えないんだよなぁ……。



※作者からのお願い


一日一話投稿のモチベーションとなりますので、この小説を読んで少しでも「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです <(_ _)>ペコ


つまらないと思った方も、☆一つでいいので評価頂けると作者としては参考になりますので、是非ご協力お願いいたします!


お手数だと思いますが、ご協力頂けたら本当にありがたい限りです <(_ _)>ペコ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ▼▼▼ 私の別作品です!1/27発売ですので、どうかお手に取って頂けたら幸いです! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 私の作品です!1/27発売ですので、どうかお手に取って頂けたら幸いです! ▲▲▲ 
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ