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第210話 新しい作物


 今日までスキルの畑では、基本的にモアフル、ブライトボイス、クラックドラフの3種類しか育てていなかった。

 理由としては、新たな作物の苗を増やすのにNPを使うほどの価値はない、という判断をしていたためである。


 現状でもNPは稼げているし、ブライトボイスの収穫を安定させるまでが非常に大変だったからだ。

 クラックドラフだけでなく、ブライトボイスとモアフルも育てるようになってからは、確かにNP効率は上がった。

 けど、その労力に見合っていたかと問われると……正直微妙なところ。


 そんな背景もあり、新たな作物を育てることには躊躇していたのだが、そろそろ新しい作物を育ててみたいというシーラさんの要望を受け、NPを使って苗の種類を増やすことにした。

 必要なNPは10,000と、他のスキル強化に比べれば大した額ではない。気楽な気持ちでNPを消費し、苗の種類を増やした。


 新たに追加されたのは、今回も3種類。ブルガールド、アイスアック、アーティパッションである。

 もちろんのことながら、どの作物も私は聞いたことがない。


「シーラさん、ちょっといいですか?」

「あっ、佐藤さん。どうかしましたか?」


 どんな作物なのかの見当をつけるため、シーラさんに尋ねてみることにした。

 変な作物であろうと、基本的にはNPに変換する目的があるため、一度は育てることは確定しているんだけどね。


「新たに育てる作物を増やしたのですが、シーラさんが知っている作物があるか聞いてみたくて……よろしいですか?」

「おおー! 新たな作物の種類を増やしてくださったんですね。許可なんて要りませんから、遠慮せずに聞いてください」

「それでは遠慮なく……ブルガールド、アイスアック、アーティパッションの3種類ですが、それぞれどんな作物か教えてもらえますか?」

「アイスアックは青っぽい野菜ですね。味は不味い部類なんですが、スースーするので眠気覚ましとして使われています」


 ミントのような作物だろうか。

 名前もそんな印象だし、用途によっては意外と実用的かもしれない。


「面白い使い方ができそうな作物ですね。では、ブルガールドとアーティパッションはどんな作物でしょうか?」

「すみません。残る2種類は聞いたことがないですね。王都の市場はよく見ていたんですけど、一度も見かけたことがないので、かなり珍しい作物だと思います。『何でも聞いてください』なんて言っておきながら、知らない作物で申し訳ないです」

「いえいえ。知らないのは仕方ないですから。珍しい作物だと分かっただけでもありがたいです」


 少ししょんぼりしているシーラさんを励ます。

 それにしても、市場にも出回っていない作物とは……。


 何となく、ブライトボイスのような厄介な作物の予感がしてならない。

 これから苗を植えるけれど、仕事が終わったらノーマンさんにも聞いてみよう。


 プロであるノーマンさんですら知らなかったら、日本の作物に負けず劣らずの需要がある可能性もある。

 シーラさんが知らないほど珍しい作物だと分かったことで、私はワクワクしながら苗を植えることができた。


 夕方ごろ、すべての農作業を終えた私は、一直線に台所へ向かった。

 すでにリビングのテーブルには夕食が並んでおり、台所には後片付けをしているノーマンさんの姿があった。


「おっ、佐藤さん。今日はずいぶん早く戻ってきたな」

「夕食前にノーマンさんに聞きたいことがあって、急いで戻ってきたんです」

「俺に聞きたいこと? 食材のことか?」

「はい。新しく作物を育てることになりまして……ノーマンさんはブルガールドとアーティパッションという作物をご存じですか?」

「ブルガールド……。随分と珍しい作物の名前を出してきたな。先に言っておくが、アーティパッションは聞いたこともない」


 ノーマンさんにとっても珍しい作物、それがブルガールド。

 そして、ノーマンさんすら知らないアーティパッション。

 私は名前からしてアーティパッションが一番美味しそうだと思っていたので、育てるのがさらに楽しみになった。


「ノーマンさんでも聞いたことがないんですね……ちなみに、ブルガールドはどんな作物なんですか?」

「実際に見たことはないが、好きな人はとことん好きらしい。特徴としては、とにかく臭いんだとさ」

「臭い作物ですか……」


 なんだか嫌な予感しかしないなぁ。

 もしかしたらドリアンのような作物なのかもしれない。


 切る前から臭いとなると、継続的に育てる候補からは外れる。

 中身が臭いだけなら、まだいいんだけどね。


「味は美味しいって話は聞いたことがあるけど、実際のところは分からない。ブルガールドもアーティパッションも育てたなら、1つもらってもいいか?」

「もちろんです。育ったら持ってきますね」

「ああ、楽しみにしているよ」


 ノーマンさんとの会話を終えた私は、食事の前に汗と汚れを軽く流すため、シャワーを浴びることにした。

 アーティパッションは楽しみだけど、ブルガールドはかなり怖い。

 複雑な心境を抱えながら、私はシャワーを浴びたのだった。



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