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第188話 故郷


 馬車の中ではルーアさんの話で盛り上がり、ルサンソ騎士団時代の話を色々と聞かせてもらった。

 私の社畜時代も相当辛いものだと思っていたけど、ルーアさんの騎士団時代の方が辛そうに感じた。


 私と違い、ルーアさんが有能な方だからこそ、いくら成果を上げても評価されないことへの辛さがよく伝わってきた。

 騎士団が男性社会ということもあったみたいだし、ルーアさんがもし男性だったらルサンソ騎士団の団長として名を残す人物になっていたかもしれない。


「壮絶な過去で驚きました。私が想像していた以上に大変な経験をして、グレイラン王国にやってきたんですね」

「今となったら、割とどうでもいいことだけどな。ブリタニーやジョエルと一緒に冒険するのは最高に楽しいし、佐藤たちと一緒に農業を行うのも楽しい。ルサンソ王国で成り上がっていたとしても、楽しいという感情は得られなかっただろうから、最初は逃げたことへの負い目を感じていたが、結果として逃げだしたのは正解だったと思えている」

「ルーアさんがそう思ってくれて良かったです。人生は“楽しい”が一番ですからね。一度きりの人生ですし、とことん楽しみましょう」

「ああ。とことん楽しませてもらう」


 ルーアさんは爽やかな笑顔を浮かべ、そう言ってくれた。

 そうこう話をしている内に、周囲はいつの間にか自然で溢れている。


 指示通りに走らせているため、間違ってはいないはずだが……一体、目的地はどこなのだろうか。

 雑草が深くなり始めたため、そろそろ馬車での移動も難しいと思ったそんなタイミングで、モージとマッシュが馬車を止めるように合図をしてきた。


「ここが……目的地なんですか?」

「森の中に入るってことだろうか。後はモージとマッシュの後をついていくしかないな」


 私達は馬車から降り、アッシュにはここで待っているよう伝えた。

 本当は私達もついていく必要がないと思うんだけど、マッシュがついてきてほしそうにしていたため、一緒に行くことにした。


「佐藤は私の傍から離れないでくれ。いつ魔物が襲ってきてもおかしくないからな」

「分かりました。ルーアさん、よろしくお願いします」


 ルーアさんにしっかりとお願いをしてから、マッシュとモージと一緒に森の中を進んでいく。

 森の中はルーアさんが言っていた通り、魔物がちらほらと存在していた。


 マッシュやモージを見たら、襲ってこないのかとも思っていたけど、ダンジョンと同じように問答無用で襲ってくる。

 遠い距離の相手はモージの魔法、近距離の相手はマッシュが対応し、ルーアさんは常に私を守る立ち回りをしてくれたお陰で、一切危険を感じることなく進むことができている。


「結構進んできましたね。モージもマッシュもこの森を知っている風ですし、やはり関係があるんですかね?」

「私には分からないな。佐藤がどうやって従魔にしたのかもさっぱりだ」

「まぁ私自身も、どうやって従魔になっているのかは分からないんですけど……」


 応じたNPを消費すれば、従魔としてやってくるって感じだからね。

 私はてっきり神様がその場で創造した魔物なのかと思っていたけど、モージとマッシュの動き的に、この世界のどこかに存在していた魔物を従魔として私のところに送っている説が出てきた。


 まぁこの説に関しては、ヘレナから薄々感じてはいたんだけども。

 ヘレナ自身は多くを語らないけど、ヘレナは完全に故郷があるようなことを匂わせていたからね。


「それにしても、モージもマッシュも強くなりましたね。この森の魔物をほとんど一撃で倒せていますよ」


 進化という劇的な変化は訪れていないにせよ、ちゃんと強くなっている。

 感心しながらそう声かけをしたんだけど、マッシュとモージは何かをアピールするように、ルーアさんを囲むように回りだした。


「……あ、なるほど。ルーアさんのスキルで強化されているんですね。ルーアさんのスキルは魔物にも影響を及ぼすんですか!」

「私は無自覚だから分からないんだが、モージとマッシュの反応を見る限りそうみたいだな」


 ルーアさんの、このスキルもかなり謎が多い。

 周囲にいる仲間を無条件で強化するというのは凄すぎるし、英雄か何かの力と言われても納得する。


 当の本人が、ここに来るまで自覚がなかったみたいだし、調べようがないんだけどね。

 ルーアさんの謎のスキルのことも考えつつ、更に森を進むこと約一時間。

 どうやら目的地に着いたようで、マッシュが足を止めた。


「何の変哲もない森のど真ん中って感じの場所ですが、ここが目的地なんですかね?」

「立ち止まって変な踊りのようなものを踊っているから、恐らくここが目的地のはずだぞ」


 ルーアさんの言う通り、マッシュは何だか変な踊りを踊っている。

 癖になる動きであり、何をしているのかよく分かっていない私達は眺めていると……。


 木陰から、マッシュによく似たキノコの魔物が顔を覗かせた。

 その1体のキノコの魔物を皮切りに、隠れていたであろう他のキノコの魔物も続々と姿を現した。

 どうやら……この森はマッシュの故郷みたいだ。



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