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第17話 プレゼント


 王都にやってきてから、あっという間に三日が経過した。

 ロッゾさんの武器屋以外にも、魔法の専門店や魔道具店。


 後は普通の道具屋や屋台街、古いものばかりが売られている質屋なんかにも案内してもらった。

 更にシーラさんのお勧めの料理屋なんかにも行き、とにかく王都を楽しみ尽くした三日間だった。


 ちなみに別荘に残しているライムはというと、シーラさんが毎日戻って様子を見に行ってくれている。

 シーラさん曰く、特に何も変わらず元気にしているらしい。


 案内から何まで、本当にお世話になりっぱなし。

 頭が上がらないというのは、まさにこのことだ。


「佐藤さん、おはようございます。先ほど王の使いがやってきまして、王様が王都に戻ってきたとのことです」

「戻ってきたんですね! そろそろ別荘の方に戻らないといけないと思っていたところでしたので良かったです」

「王都を満喫するのに丁度良い期間でしたし、ナイスなタイミングでしたね」

「そうですね。あとは……王女様に何かお礼をした方がいいですよね? 恐らく王様に伝えてくれたのは王女様でしょうし」


 この三日間、王女様へのプレゼントを平行して探していたのだが、良いと思えるプレゼントを見つけられずにいた。

 シーラさんによると、王女様は読書好きとのことらしく、質屋で英雄伝を買おうとも思ったのだが……。


 古くて希少なものということで、一冊当たり金貨六枚。

 王女様から頂いたお金を全て使ったとしても、購入できない額だった。


 それに質屋に売られている本は持っている可能性も高い。

 全てが駄目であり、現段階でも何を買うかすら決まっていない。


「滞在費も王女様から頂きましたし、何かしら渡した方がいいのは間違いないですが……。今はこちらに余裕がありませんし、また別の機会でも大丈夫だと思いますよ」

「そうなんですか。うーん……悩みますね」


 個人的には今すぐに渡したい。

 ただ、目ぼしい物が見つかっていない。

 腕を組んでどうしようか悩んでいると、唐突に良いアイデアが浮かんだ。


「異世界の物をプレゼントするというのはどうですかね? NPには余裕がありますので、それなりにいいものを渡せるはずなのですが」

「いいと思いますよ! お菓子でも嬉しいでしょうし、それこそ異世界の本とかがあれば喜んで頂けると思います」


 異世界の本……そうだ。漫画をプレゼントしようか。

 私はスキルを使ってタブレットを取り出し、漫画を探してみることにした。


 メジャーなものからマイナーなものまで売られているだけでなく、私がこの世界にやってきた後に発売された漫画まで売りに出されている。

 続きが気になっていたものを見つけ、私が個人的に欲しくなってしまったが――ここは我慢。


 一冊当たり210NPと高額なため、何を買うかが非常に重要になってくる。

 少ない巻数で完結しているのがあればベスト。


 後はジャンルだが、王道のバトルものかミステリーもの。

 ……いや、女性なら少女漫画がいいのか?


 悩んだ結果、私が名前を知っていて、尚且つ巻数の少ない少女漫画を購入することに決めた。

 早速タブレットを操作し、購入しようとしたのだが、少女漫画は意外にも巻数の多いものが多い。


 私でも知っているものに限定すると、十巻以内に完結しているものはないのだ。

 ただ、全部購入することはNP的にも難しいし、苦渋の決断ではあるけど、途中までをとりあえず渡すか? 

 

「シーラさん、一つ質問があるのですが……巻数の多い本を途中まで渡すというのはどう思いますか?」

「そうですね……。私は良いと思います。また王都にきたときに、その続きをプレゼントすれば歓迎してもらえると思いますから」

「なるほど。次も見据えるなら、確かにアリですね。……そういうことでしたら、途中までをプレゼントすることにします」


 途中までしか読めないもどかしさを知っているため、少し申し訳なくはあるのだが、NP的に難しいため仕方がない。

 私でも知っている有名少女漫画、『君に届け』の五巻までを購入した。


 何もない宙から降ってきた本を手に取り、まずは問題なく読めるのかをシーラさんに尋ねてみよう。

 言語も同じようだし、看板なんかも問題なく読めるから大丈夫だとは思うけど、念には念を入れておく。


「シーラさん。これが異世界の本なのですが、読むことはできますか?」

「異世界の本は凄いですね。全てに絵柄がついているのですか! それに綺麗です……」

「文字だけのものもあるんですが、今はこちらの方がメジャーかもしれませんね。それよりも文字が読めるか見てほしいのですが……」

「興奮してしまい、すみません。今読んでみますね。――はい。問題なく読めますよ」


 シーラさんは読めることが確認できた後も、漫画から手を話すことはせず、食い入るように読み続けている。

 読めることが確認できたら、すぐに王城に向かおうと思っていたのだけど、読み終わるまで待とうか。


 五巻くらいならば一時間かからないだろうし、読んでから向かっても問題ない。

 ……私も少女漫画は通ってこなかったため、シーラさんが読んだ後を追うように読んでみようかな。

 そんなことを考えつつ、私は漫画を読んでいるシーラさんを見守ったのだった。


お読み頂きありがとうございます!


この小説を読んで、「面白そう」「続きが気になる」と少しでも感じましたら、

ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです <(_ _)>ペコ


読者様の応援が作者の何よりのモチベーションとなりますので、是非よろしくお願いいたします!

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