第179話 海
王様への確認は蓮さん達が行ってくれ、私はルーアさんから海のある場所を聞いた。
意外にも遠くなく、国境を越えてから半日もかからずに着くようだ。
地図にも記してくれたし、これで迷わずに向かえるはず。
そして、王様からの許可もすぐに取れたみたいで、話をした翌日には行ける準備が整ってしまった。
絶対に無理だと思っていたけど、王様が話の分かるお陰で、蓮さん達は早速行ってくれるみたい。
「よーし! 準備OK! いつでも出発できるよ!」
「佐藤さん、本当に馬車を借りてもいいのか?」
「もちろんです。アッシュの方が圧倒的に移動速度が速いですからね。積載量も多いですし、4人でも楽々運んでくれると思います」
アッシュにも魔力塊をあげていたこともあり、先月ぐらいにリザードランナーからドラゴランナーに進化した。
見た目はあまり大きな変化はないけど、牙が鋭くなって筋肉量が増した。
後は……艶が出ていて、凄くオシャレな感じになっている。
「ありがとう! じゃあ遠慮なく借りるぜ! アッシュよろしくな!」
「グゥ」
アッシュは将司さんの言葉に返事をするように、唸るように喉を鳴らした。
やる気も十分みたいだし、予定よりも早く着くと思う。
「……ねぇ! 言おうか迷って言わなかったことがあるんだけど、言ってもいい?」
「もちろん何でも言ってください。用意できるものは用意させて頂きます」
「ものじゃないんだけどさ……せっかくだし、佐藤もついてこない? 私達が守るし!」
何を言われるのか身構えていたんだけど、美香さんが言ってきたのは予想外の言葉。
行ってみたい気持ちはもちろんあるけど……流石に行こうとは考えていなかった。
「いや、流石に私がいたら邪魔じゃないですか? 足手まといもいいところですよ?」
「大丈夫だって! 私達、それなりに強いから!」
「本当ですか? でも、畑の仕事もありますし……」
「3日くらいなら大丈夫でしょ! 今から出発して、着くのが今日の夜だとして、明日は1日魔物狩り。それで明後日の夜には帰ってこられるから!」
むむむ……。
ここまでゴリ押ししてもらうと、行ってみたい気持ちが強くなる。
シーラさんに話をして、許可を貰えたら行こうかな?
「……なら、もう少しだけ待っていてもらえますか? ちょっとシーラさんと話してきます」
「もちろん待っている。佐藤さんと一緒に冒険は楽しそうだな」
話に行く許可をもらい、私はシーラさんの下に向かった。
行くこと自体にはあっさりと許可をくれたけど、シーラさんもついていきたいという話で一悶着。
馬車は4人乗りで空きがないこと。
馬車にスペースがあったとしても、6人乗ってしまうと流石にアッシュの負担が大きいため、シーラさんは泣く泣く留守番をしてくれることになった。
というわけで、私と蓮さん達のパーティでルサンソ共和国の海へ向かう。
御者席には交代で座ることで話は纏まり、早速向かうことになった。
全く考えていなかっただけに、ワクワクが凄まじい。
私があまりにも弱すぎることから、冒険らしい冒険はダンジョンでしか行えていないからね。
今回は正真正銘の冒険だし、狙うは未知の食材。
年甲斐もなくはしゃぎながら、ルサンソ共和国を目指して馬車を走らせたのだった。
車内が大盛り上がりだったこともあり、あっという間にルサンソ共和国に辿り着いた。
ちゃんと入国できるかが不安だったけど、王様がくれた身分証は本当に凄いもののようで、荷物検査すらされずに入国検査を突破。
あまりにもあっさりと、私達はルサンソ共和国に入ることができた。
ここからは少し入り組むため、しっかりと御者をしないといけない。
今の時代はスマホで簡単に目的地まで案内してもらえるが、私が若い頃は地図を駆使してドライブにも行っていた。
そのため地図読みに関しては、蓮さん達よりもできるということで、ここからは私が御者席に座ってアッシュを走らせて行く。
とは言っても、ほぼ自動運転であり、どの道を進むかの指示を飛ばすだけ。
本当に利便性が高い上、他の馬車もいないこともあって、御者席でも快適な移動を楽しめている。
「あっ、みなさん! 海が見えてきましたよ!」
そうこうしている内に、道の先に青い海が見えてきた。
日本で見た海と変わらないこともあって、謎の感動がある。
「本当だ! こっちの海も真っ青で広い!」
「凄いな。改めて見ると、何か感動しちまう」
「だな! 海にも魔物がいるってなると、更にワクワクするぜ!」
期待感は更に高まっており、とりあえず海に入れる場所まで馬車を走らせることにした。
ちゃんと磯の香りもするし、海鮮が食べたくなってくる。
火を通さないと怖いということがあり、海鮮系は避けて来たんだけど……お刺身とか寿司を作ってもいいかもしれない。
まぁ、今回の冒険で美味しい魔物を狩ることができれば、それらの問題も一気に解決するんだけどね。
目指せ、魔物の食材で海鮮料理!
……ということで、蓮さん達には海での狩りを頑張ってもらおう。
※作者からのお願い
一日一話投稿のモチベーションとなりますので、この小説を読んで少しでも「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです <(_ _)>ペコ
つまらないと思った方も、☆一つでいいので評価頂けると作者としては参考になりますので、是非ご協力お願いいたします!
お手数だと思いますが、ご協力頂けたら本当にありがたい限りです <(_ _)>ペコ