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第167話 心配性


 龍人族の方達が本格的に農業を始めてから、1週間が経過した。

 シーラさんの指導もあって、順調に作物を育てることができている。

 スキルの畑ではないため、収穫まではまだ時間がかかると思うけど、この調子であれば今年の収穫数は桁違いに増えるだろう。


 それから、私は定期的にミラグロスさんと手紙のやり取りを行っており、ミラグロスさんの住む街は魔王軍に参加しないことが正式に決まったという報告があった。

 ミラグロスさんと敵対しないことが確定したのは嬉しい報告であり、敵でないのであればまた遊びに来てほしい。


 手紙にそう書いて送ったんだけど、こちらに来るのにリスクがあるため、機を見て来てくれると言っていた。

 その時はまた料理をご馳走したいし、農業のやり方も教えてあげたいな。


 手紙をしたためながら色々考えていると、ベルベットさんがやってきた。

 美食ハンターのダグラスさんと来た以来の来訪。

 今回はドニーさんも一緒のようだ。


「ベルベットさん、ドニーさん。おはようございます」

「佐藤、また来させてもらったわ」

「今日はジョエルはいないのか?」


 ドニーさんの目的はジョエル君のようで、外の様子を伺っている。

 見た目は怖いけど、本当に弟子思いの方だな。

 

「はい。ジョエル君はブリタニーさんとルーアさんと一緒に冒険に行ってます。なんでも、未踏のダンジョンを見つけたみたいでわ攻略すると張り切っていましたよ」

「未踏のダンジョン攻略!? ジョエルは大丈夫なのか?」

「ブリタニーさんとルーアさんがついていますので大丈夫ですよ。この3人はダンジョン街のダンジョンで50階層まで踏破していますからね」

「そういえば、ジョエルもそう言っていたな。……くそ、心配だ」


 完全に保護者目線のドニーさん。

 ジョエル君は成長しているし、そんなに心配しなくても大丈夫なんだけどね。


「ドニーさんは未だに蓮さん達の指導を行っているんですか?」

「ああ。いつ魔王軍が攻めて来てもいいように、蓮達を鍛え上げている。特に美香の成長は凄まじいぞ。一度逃げ出したとは思えない強さになっている」

「そうなんですね。冬に会いはしましたが、戦闘を見る機会がなかったので、どれくらい強くなっているのか楽しみです」

「模擬戦大会に参加すると言っていたから、その時に見られると思う。今年は俺も参加するから、よろしく頼む」

「去年は審判を任せてしまいましたからね。ドニーさんの活躍も楽しみにしています」


 それからドニーさんと、しばらくの間雑談をしていたんだけど……。

 後ろで待っていたベルベットさんに、早く出ていけと言わんばかりに睨まれたドニーさんは、1人外に出て農業の手伝いをしに行った。


「ふぅー、やっと出ていったわ。無駄に話が長いんだから」

「お待たせしてしまったみたいですみません。ベルベットさんは……漫画の件でしょうか?」

「ええ、その通り。本当は看板のイラストを描いた時とか、珍味ハンターを連れてきた時に見せたかったんだけど、色々と立て込んでいたから見せられなかったの。今回も読んでくれるかしら?」

「もちろんです。今、読んでしまってもよろしいですか?」

「ええ。ドニーがいなくなったから構わないわ」


 ということで、早速漫画を読ませてもらうことにした。

 今回は魔王を討伐した勇者が主人公のお話。

 ただ、魔王を討伐した代償に記憶を失ってしまっており、記憶を取り戻すために魔王討伐の軌跡を辿るという物語。


 最初は何か分からないけど英雄になっていて、ラッキーくらいの感覚だった主人公。

 1人旅の末に魔王を討伐したと思っていたんだけど、自分の軌跡を辿るにつれて仲間がいたことが分かっていく。


 通った街の人達から話を聞き、最初は仲間達との明るく楽しい面白話から、魔王城に近づくに連れて仲間が減っていき、深刻で重い話を聞かされていく主人公。

 そして、魔王城前に建てられた簡素な墓を見て、全てを思い出したことで泣き崩れる主人公の背で物語は終わった。


 何故か英雄扱いされているという序盤の楽観的な感じから、終盤の深刻なお話の作りが素晴らしく、非常に引き込まれる作品だった。

 絵だけでなく、構成も凄まじく成長しており、ベルベットさんの才能の高さを感じる。


「――めちゃくちゃ面白かったです! ベルベットさんは天才ですね!」

「そ、そう? 面白いと思ってくれたなら良かったわ」

「絶対に他の人にも見せた方がいいです! 完成度が高すぎますから」

「うーん……まだ恥ずかしいのよ。他の人には見せられない」

「なら、ベルベットさんが描いたと言わずに、娯楽部屋に置いておくのはどうですか?」

「それなら……いいかもしれない」

「絶対に色々な人に見せるべき作品ですからね。許可してくれてありがとうございます!」

「なんで佐藤がお礼を言うのよ。……はぁー、でも本当に緊張する」


 匿名が条件だけど、ようやく他の人にも見せる気になってくれたベルベットさん。

 私も他の人の評価が気になるし、早速今日の夜から娯楽部屋に飾ることにしよう。



※作者からのお願い


一日一話投稿のモチベーションとなりますので、この小説を読んで少しでも「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです <(_ _)>ペコ


つまらないと思った方も、☆一つでいいので評価頂けると作者としては参考になりますので、是非ご協力お願いいたします!


お手数だと思いますが、ご協力頂けたら本当にありがたい限りです <(_ _)>ペコ

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