第152話 最後の日
NPをどう使うかはは決まった。
ゴブリンを購入するのも明日の楽しみにし、ここからは去年の振り返り。
「去年は本当に激動の1年でしたね。シーラさん、改めて支えてくださりありがとうございました」
「いえいえ。支えていたって感じはありませんでしたけどね。ルーアさんとの出会いから始まり、ヤトさんまでみんなが手伝ってくれてましたから」
「思い返せば、ルーアさんと初めて出会ったのが1年前ですか。古参なイメージがありましたが、まだ1年しか経っていないということに驚きです」
「確かにそうですね。ここでの生活は充実し過ぎていますので、早く過ぎているように感じているのに、1年が濃密ということで変な感じがします」
濃密過ぎるせいで、早く感じるんだと思う。
出会った人も多いし、あっという間に時間が過ぎていく感覚は私も分かる。
「私としては、もう少しスローライフをする予定だったんですけどね。みんなを楽しませたいと思っている内に、気づいたら働いてしまっていた気がします。ゴブリン部隊のお陰で一気に仕事量は減りましたが、それでも休みなく働いていましたもんね」
「良いのか悪いのか分かりませんが、私は働いているという感覚はゼロです。遊びに近いですし、毎日ワクワクしていますから」
「まぁ私も同じ感覚ですが、やはり休みは取れるようにしたいですね」
ブラック企業に勤めていた時とは雲泥の差。
早く時間が過ぎてくれと思いながら、時計を逐一チェックし、30分経っていると思って5分しか経っていなかった時の絶望感は今でも忘れられない。
それに引き換え、こちらでの生活はもっと時間があればいいのに――だからね。
私はこの環境にいられることを幸せに思う。
「まぁ休みが取れるのであれば嬉しいですが。またランゾーレの街にも行きたいですし、王都にも遊びに行きたいです。後は……ヤトさんの住んでいるところにも行ってみたいですね」
「ヤトさんの住んでいるところには行ってみたいですね。龍に関係する種族が暮らしている場所ですもんね。その響きだけでワクワクしてしまいます」
「ヤトさん曰く、何もないところとは言っていましたが、やはり一度は見てみたいですよね」
「ええ。もう一度、ヤトさんのご両親ともお会いしたいですし、お土産を持って今年は絶対に行きましょう」
「はい。絶対に行きたいです」
今年の目標が1つできた。
新たなゴブリン部隊を従魔にする予定だし、ヤトさんが了承してくれればすぐに叶いそうだけども。
龍の里という響きは、ファンタジー好きとして死ぬ前に一度は目にしたい光景。
ランゾーレの街にももう一度行きたいし、王都にもまた遊びに行きたい。
これは何としてでも、休みを作れるようにしないといけない。
「あとは、模擬戦大会も白熱しましたね」
「ですね。悔しい気持ちが強いですが、本当楽しい思い出でした」
「今年はもう少し規模を大きくして開催しようと思っていますので、シーラさんもよろしければまた参加してください」
「もちろんです。模擬戦大会だけではなく、佐藤さんが企画する催しものの全てを手伝いますし、全力で参加させて頂きます」
「シーラさんがいなければ、何一つ開催できないと思いますので、本当に頭が上がりません」
「頭が上がらないのは私の方です。全ての行事を楽しませて頂き、本当にありがとうございます」
頭を下げ合いながら、お互いに感謝の言葉を伝える。
今の言葉に嘘偽りはなく、シーラさんがいなければ開催することはできていなかった。
こんな優秀なシーラさんを、巻き込まれてやってきただけの私の護衛につけてくれた王様には本当に感謝しかない。
今度、王都に足を運んだ際には、王様にも何かお礼の品を送らないといけないな。
「王様には何か贈り物をしたいですね。シーラさんと出会っていなければ、こんなに上手くいっていませんでしたので」
「私も王様にはお礼がしたいと思っています。機会を与えてくれなければ、私は王城で一生いじけたままでしたので。佐藤さんの次に感謝したい方です」
「でしたら、次に王都へ行くまでに、贈り物を何にするか決めましょう。異世界の便利アイテムはマストとして、もう一つ何か贈りたいですので」
「私は珍味がいいと思います。クイーンニードルの蜜は衝撃的でしたし、王様に刺さる食材が見つかる気がしています」
「あー……いいですね。とびきり美味しいものをお送りしましょう」
去年を語る上で欠かせないのは、個人的にお風呂と珍味ハンター。
クイーンニードルの蜜は私も衝撃的だったし、何より魔物の食材に希望を見出せたことが非常に嬉しい。
ベルベットさんが珍味ハンターさんを紹介してくれると言っていたし、話を聞いてとびきり美味しいものを贈るのは凄くあり。
……嫌悪されている魔物の食材を贈っていいのかという不安はあるけど。
「ふふ。去年の振り返りのはずでしたが、いつの間にか今年の話になってしましたね」
「そうですね。私もシーラさんも、それだけ明日からの日々が楽しみってことなんだと思います」
「うじうじと過去ばかり考えていたのが考えられないくらい、今は未来しか見えていません! ということで、早いですがもう寝てもよろしいでしょうか?」
「もちろんです。今回も作戦会議にお付き合い頂き、ありがとうございました」
「いえいえ。作戦会議は私の癒やしでもありますので、またいつでも誘ってください。それでは佐藤さん、おやすみなさい」
シーラさんはそう言うと、部屋に戻って行った。
まだ寝るには早すぎる気もするけど、寝ればすぐ明日になるからね。
気持ちは分からないでもない。
……というか、私も早く明日にしたくなってきたな。
ということで、私も部屋に戻って就寝することに決めた。
変な締めな気もするけど、私達らしくて良いと思う。
明日から再び始まる農業生活に備え、私は早めに眠りへとついたのだった。
ここまでお読み頂き、本当にありがとうございました!
第152話 宴 にて第3章が終わりました。
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