第147話 スマブラ部門
今回は実力が分からないことから、トーナメントは完全ランダムで決めることにした。
1~8までの番号が書いてある紙を引いてもらい、その引いた番号でトーナメントの入る場所を決めた。
1回戦第1試合は、美香さん対ジョエル君。
いきなり優勝候補である美香さんの登場に、ジョエル君も少し困惑している様子。
ジョエル君も私達の中ではプレイしている方だけど、ヤトさんに次いで弱いといった印象。
本当に美香さんがやり込んでいるなら、ジョエル君では勝てないだろう。
そして、その前評判通り、美香さんはジョエル君に何もさせることなく、あまりにもあっさりと3ストック奪ってみせた。
「つ、強すぎますって! アイテムも取れませんでしたし、スマッシュボールには触れることすらできませんでしたよ!」
「ふっふっふ! 本当は手を抜いてあげたかったけど、スマブラじゃ手を抜けないからごめんね!」
「……もっと練習して、次は絶対にいい勝負をしてみせます!」
「次は勝つ――とかじゃないんだ!」
今回は逆転があった方がいいと思って、アイテムありルールにしたけど、ここまで実力差が離れていると、アイテムの有無は関係なさそうだな。
というか、美香さんに至っては私よりも強い可能性もある。
完全にやり込んでいる人の動きだし、もしかしたらオンライン対戦なんかもやっていた口かもしれない。
初戦からそんなダークホースの出現に、一気に場が引き締まった気がする。
続く1回戦第2試合は、蓮さん対将司さん。
左のグループに実力が未知の蓮さん達が固まった印象だけど、この対戦カードは非常に熱い。
戦前の予想通り、お互いにゲーム慣れしている者同士の対決であって白熱した試合展開。
ケン対テリーの格ゲー出身対決ということもあり、非常に地に足のついた攻防が繰り広げられた。
そして、互いに2ストックを奪い合う試合展開。
ここまでは拮抗した戦いだったんだけど、3ストック目で蓮さんが扱うケンがテリーを圧倒。
早々にパーセンテージが100を超え、このまま蓮さんの勝ちで終わるかと思ったんだけど……。
ピンチになると使えるようになるテリーの超必殺技により、将司さんが怒涛の猛追。
最終的に完璧に合わせたパワーゲイザーが決まり、将司さんの大逆転勝利に終わった。
「くっそぉ! 勝ったと思ったのに負けた」
「やったぜ! 油断からの焦りで雑になってたな!」
「テリーの超必殺は頭にあったんだけどな。分かってはいたけど、一気に削られるから焦っってしまった」
裏でボードゲームをやる予定だったんだけど、試合が熱すぎてみんなで観戦してしまった。
将司さんの大逆転勝利には歓声が上がったし、スマブラはやっぱり面白い。
1回戦第3試合は、ヤトさん対アシュロスさんの龍族対決。
さっきの試合のような熱い展開を期待したんだけど、試合内容はわちゃわちゃとしていてほっこりする感じ。
最終的にヤトさんが追いかけ回していたスマッシュボールをアシュロスさんが手にし、最後の切り札で仕留めた。
「ぬわー! 負けたのじゃー!」
「ふ、ふぅー。なんとか勝てました。お嬢様、強かったです」
「アシュロスも強かったのじゃ! やっぱりゲームは楽しいの!」
ハイレベルではなかったけど、面白い試合をしてくれた2人に拍手を送る。
そして、すぐに次の2人がスタンバイした。
1回戦の最終戦。
戦うのはもちろん、ここまで残っているシーラさん対ヘレナ。
ライバル対決であり、普段から研鑽している2人。
この試合は非常に楽しみだ。
「負け越していますが、ここでは勝たせて頂きます!」
「絶対に負けません。返り討ちにします」
そんな軽口を言い合ってから、ゲームが開始された。
シーラさんは勇者で、ヘレナはマリオ。
オールラウンダーのヘレナ相手に、アイテムや呪文を駆使しながら立ち回るシーラさんといった構図。
勇者はランダム性が高いキャラなようだけど、今回は相当上振れているのか、高頻度で繰り出されるかいしんの一撃に、ザラキによってぶっ飛ばされるヘレナ。
あっという間に2ストックが削られ、これは可哀想な展開と言わざるを得ない。
ヘレナもなんとか空中コンボで1ストック削ったものの、スマッシュボールもシーラさんに取られ、最後はギガスラッシュで試合終了。
「うわーん! シーラさんばかりズルいです!」
「運は良かったですが、勝ちは勝ちです。またいつでも相手しますので」
「次はアイテムなしでやりましょうね!」
この2人に関しては、アイテムなしの方が面白いかもしれない。
それにしても、二人共に相当上手くなっていたなぁ。
ついこの間まで、ゲームにすら触れたことがなかったとは思えない上達っぷり。
結果的には惨敗してしまったヘレナも、運が悪かっただけで動きは非常に良かったし、勝利したシーラさんが美香さんや将司さんにどれだけ食らいつけるのかが非常に楽しみ。
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