第142話 成果
ダンジョンにやってきて、早くも2ヶ月が経過した。
もう既に雪は止んでおり、あとは積もっている雪が溶ければ作物を育てることができる。
ということで、明日にもダンジョン街を離れて別荘に戻る予定。
ダンジョン街にいながら畑のことを考えているため、ダンジョン攻略がつまらなかったのではと思われてしまうと思われそうではあるけど、決してそんなことはない。
私が結構動けるようになったお陰で、私達のパーティは最終的に30階層の攻略に成功。
10階層までを義務的に向かう去年よりも、単純にダンジョン攻略自体が楽しかった。
まぁでも、楽しかった一番の要因が何か聞かれたら、やっぱり週に一度のカップ麺かなぁ。
週に一度の楽しみがあるだけで、モチベーションが高かったし、何よりカップ麺のレパートリーの多さには改めて驚かされた。
妥協案でのカップ麺だったけど、あの質の食べ物を安く売ってくださっているメーカーさんには本当に感謝したい。
私以外にももちろん好評だったし、カップ麺に関しては冬季期間のお楽しみの1つとして確実に追加された。
それから……私が目標に掲げていた魔物の討伐も無事に達成。
3階層までの弱い魔物だけに絞ってはいたけど、私は合計で14匹の魔物の討伐に成功した。
正直、私自身が強くなっている感じはなかったけど、メンタル面での成長のお陰で倒せるようになったと思う。
シーラさん達のお陰で弱い魔物として見ることができ、魔物の前でも練習通りの力を発揮することができた。
それでも2ヶ月間で14匹と少ないけど、目標を達成したことには変わりないし、これから少しだけ自分に自信を持てると思う。
そんなこんなで、全体的に見ても個人的に見ても、今回のダンジョン攻略は大成功だったと言えるはず。
ちなみに私達以外も順風満帆といった感じで、ポーシャさんのパーティは20階層までの到達。
ヤトさん達のパーティは私達と同じ30階層まで、無事に到達することができていた。
荷物持ちとして、酷い扱いを受けていたポーシャさんとロイスさんは特に感動しており、冒険者を止めたのに今が冒険者として一番成果を挙げられていると喜んでくれていた。
逃げるように移住してきたときとは比べものにならないくらい、2人は笑顔を見せてくれているし、みんなが幸せに感じてくれて本当に良かったと思う。
そして、ヤトさんのパーティはアシュロスさんとライムが無双し、ところどころでヤトさんが茶々を入れる形で攻略を行っていたそう。
2枚エースがしっかりしている上、ゴブリンのシレイとポーターの戦闘面以外でのサポートが完璧だったことから、攻略はスムーズに行えていたみたい。
ヤトさんだけが本来の力を発揮することができず、たまーに不貞腐れているところを見たけど、基本的には面白そうにしていたし、こちらも大成功だったといえる内容。
フラストレーションが溜まっているであろうヤトさんの本来の姿での力は、また別の形で見させてもらうとして……やはり今回のダンジョン攻略の主役は、ルーアさんパーティだろう。
私達が30階層までだったのに対し、ルーアさん達は50階層まで攻略してみせた。
新人の冒険者パーティが50階層到達は異例中の異例だったみたいで、ダンジョン街を歩いているとルーアさん達のことを話している冒険者がいるほど。
勇者である蓮さん達よりも目立っていたし、凄まじい快進撃を見せてくれた。
パーティ内ではずば抜けてルーアさんが凄かったみたいで、メインアタッカー、サブアタッカー、カバー、壁役、指示出し、サポート、全てをこなすオールラウンダー。
その上で、一緒にいるだけで周りの能力を上昇させる力を持っているため、ダンジョン攻略では無敵だったとジョエル君が意気揚々と教えてくれた。
個人ではなくチームで発揮する力もあるのだと、私はルーアさんに教えてもらった気がする。
この世界では凄く有名なルサンソ騎士団に所属していた訳だし、普通に考えたら弱い訳がないんだけどね。
とにかく、今回のダンジョン攻略は私達だけでなく、どのパーティも大成功だった。
稼ぎの面でも十分すぎる額を稼げており、私たちのパーティは白金貨5枚。
ポーシャさんパーティが白金貨3枚と金貨5枚、ヤトさんパーティが白金貨4枚。
そして、ルーアさん達が白金貨10枚と、人数も増えたということもあったけど、前回の10倍以上の稼ぎとなっている。
これだけのお金があれば色々な物を購入することができるし、もう一度ランゾーレの街に足を運んで、魔道具を購入してみてもいいかもしれない。
ヒールの魔法玉には助けられたし、まだ魔法玉が余っているけど、追加の魔法玉も購入したい。
この世界のお金が増えたことで、これからの展開が確実に広がるのは間違いない。
まぁそれを考えるのはまた今度にして……今は別荘に帰ることが先決。
別荘に残ってもらっている人や従魔たちにも会いたいし、少しでも早く農作業を再開したい。
この世界の通貨だけでなく、NPの使い道についても考えなくてはいけないし、戻ってからやることがたくさんある。
その中でも一番大事なのは、直近で控えているクリスマスパーティーについてかな。
今年も開催する予定だし、蓮さん達やヤトさん達も参加を表明してくれている。
去年以上に盛り上がること間違いなしのため、気合いを入れて準備を進めていくことにしよう。
私は帰路につくというのに気合いを入れ、スノーディアの馬車に乗って別荘に帰ったのだった。





