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第140話 席順


 ダンジョンに来てから一週間が経過した。

 毎日ダンジョンに潜っているけど、今のところは誰一人怪我すらしていないし、攻略ペースを見ても順調そのものといった感じ。


 昨日は19階層まで攻略することに成功し、今日の攻略では20階層のフロアボスの討伐にも成功。

 20階層のフロアボスはゴールドオークという名前の魔物で、その名の通り金色の毛をしたオーク。


 オークもファンタジーの代表格のような魔物だけど、今回が初めて出会った形。

 シーラさん曰く、通常種オークはもう少し小さいだけで似ているらしい。


 毛の色もダンジョン内だとよく分からなかったし、本当に大差なさそうな感じがした。

 戦闘面でも、長い槍を持っていたことは少し怖かったけど、こちらの面々が強すぎるということもあって、10階層のフロアボスであるミノタウロスと変わらないぐらいの速度で討伐できていた。


 今回の冬季期間の目標が20階層到達だったんだけど、まさかの1週間で達成できてしまっており、良い意味での大誤算。

 時間的な問題はあるものの、まだ深くまでは潜れそうだし、また改めて目標を定めたいと思う。


 そして今日は、事前に約束していた通り、みんなでカップ麺を食べることになっている。

 初日以降はダンジョンの攻略時間がバラバラということもあり、みんなで集まっての食事というのは取っていない。

 他のパーティの攻略状況を聞くのも楽しみにしつつ、私は集合場所にした蓮さん達の宿に向かった。


「外観から分かってはいましたが、凄く広い宿ですね」

「ダンジョン街で一番大きな宿ですね。勇者としてお金もたんまり稼いでると思いますので、宿に使えているのだと思います」

「マスター! 私たちもいつかはここに泊まりたいです!」


 私も泊まれるならば泊まりたいけど、20階層まで攻略したとしてもここに泊まってしまったら収支はトントン。

 いや、流石に若干プラスにはなるかもしれないけど、若干プラス程度ではダンジョンを攻略する意味がなくなってしまうからね。

 こちらの世界の通貨を稼ぐという目的でダンジョン攻略をしているため、今泊まっているコスパの良い宿しか泊まることはできない。


「この宿は流石に難しいですね。……あっ、どうやら到着したのは私達が最後のようです」


 蓮さんから事前に教えて貰っていた部屋に到着したんだけど、既にみんなが勢揃いしていた。

 どうやら宿の食堂を借りてくれたみたいで、楽しそうに話しているのが見える。


「あっ! 佐藤なのじゃー!」

「おっそーい! 待ちくたびれた!」


 野生の嗅覚なのか分からないけど、いつものようにヤトさんが一番最初に私に気づいた。

 それから美香さんがその言葉に追従し、私は謝罪をしながら食堂に入る。


「すみません。でも、遅れてはいないですけど……」

「遅れてはないけど待ちくたびれたの! 早く座って!」


 ヤトさんと美香さんの間が空席となっており、2人は私に座るように呼んでくれた。

 ただ、私より先にその席に座ったのはヘレナだった。


「なんでヘレナが座るのじゃ! ここは佐藤の席じゃ!」

「そうそう! ヘレナはあっち!」

「マスターは違う席に座ります」


 淡々とそう答えたヘレナに対し、猛抗議を続けているヤトさんと美香さん。

 シーラさんが何か言ってくれるかを期待していたんだけど、ヘレナが親指を立てていたため、見なかったことにして空いている席に座ることにした。


 私はブリタニーさんと、ジョエル君の隣の席。

 シーラさんはポーシャさんとルーアさんの隣の席につき、ひとまず席順は決まった。


「ふっ、佐藤は好かれていていいね。好かれるタイプには見えないんだけどね」

「そうですか? 僕は佐藤さんの人間性が好きで、引っ越しましたよ!」

「まぁアタシも佐藤の性格は好きだけどね」

「ありがとうございます。私もブリタニーさんとジョエル君のことは好きですよ」


 嬉しいことを言ってくれるブリタニーさんとジョエル君。

 3人で和やかに褒め合っていた中、視線を感じたため向けると……ヤトさん、美香さん、そして何故かヘレナも、私をジト目で睨んでいた。


 ヤトさんと美香さんはまだ分かるけど、ヘレナは完全に理解不能。

 とりあえず、3人の視線には一切気づかなかったことにして、カップ麺の購入を行うとしよう。



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