第135話 パーティ決め
まずはルーアさん、ジョエル君、ブリタニーさんのパーティは確定。
戦力的には強いけど、普段から一緒にパーティを組んでいるし、ここを崩す必要性がないからね。
このパーティにポーシャさんとロイスさんを加えるかどうかの議論になると思う。
個人的には5人パーティが良いと思っているし、この5人がベストだと思ったんだけど……。
「私とロイスは別でパーティを組んでもよろしいでしょうか?」
「もちろん構いませんが、ルーアさんと一緒じゃなくていいんですか?」
「はい。ルーアさんに頼らずにダンジョンに潜ってみたいので、今回は佐藤さんの従魔さんと一緒に潜らせて頂ければと思っております」
そんなポーシャさんの発言に、ルーアさんは少し寂しそうな表情を見せたものの、ここぞとばかりに前に出てきたのはマッシュだった。
「マッシュはポーシャさん達と一緒にダンジョン攻略するんですか?」
私のそんな問いに力強く頷いたマッシュ。
一緒に潜らないと言われたみたいで少し悲しいけど、マッシュはシーラさんやヘレナ、それからヤトさんを指差し、私のパーティメンバーがいっぱいことを伝えてきた。
「なるほど。マッシュは身を引いてくれたということですか。去年も攻略していますし、リーダー的な役割になると思いますから頑張ってください」
再び力強く頷いてから、マッシュはポーシャさんとロイスさんのところに向かっていった。
そんなマッシュに続くようにモージも向かったため、ポーシャさんパーティはこの4名で決まり。
ルーアさん達のところには、どうやらロッゾさんが参加する様子。
ブリタニーさんが全力で拒否していたけど、こちらもほぼ確定って感じだ。
「残るは私たちですね。どうパーティ分けしますか?」
「私は絶対に佐藤さんと一緒に潜ります」
「私もマスターと一緒がいいです!」
「わらわもじゃ!」
私のそんな問いに、手を挙げてくれた3人。
ライムもぴょんぴょん戸跳ねてアピールをしてくれており、足手まといの私と一緒に行きたいと言ってくれていることが凄く嬉しい。
「私はお嬢様と一緒に潜ることができるのであれば誰でも構いません」
「そうなりますと、私、シーラさん、ヘレナ、ヤトさん、アシュロスさん、ライムですか。やはり少し多いですね」
ダンジョン攻略は多くて5人。
それに、このパーティだけ過剰戦力もいいところなので半分に分けたいところ。
「3名、3名で分かれるのがベストですね」
「誰か、私と別のパーティでもいいという方いますか?」
そんな問いに誰も反応を示さない。
嬉しいことだけど、それはそれで困ってしまう。
「……分かりました。公平にグーとパーで決めましょうか」
「えっ!? 私も参加しなくてはいけませんか!?」
「シーラさんも参加してください。公平にいきましょう」
「グーとパー! 面白そうじゃ!」
話し合いでは埒が明かないため、公平にグーとパーで決める。
これなら文句もないだろうし、完全に運で決まる。
「それではいきますよ……。グーとパー!」
私の合図で一斉に手を出した。
ライムだけは体で表現しており、私とシーラさん、それからヘレナがグー。
そして、ヤトさんとアシュロスさん、それからライムがパーだった。
一発で決まったのも良かったし、ヤトさんとアシュロスさんが一緒なのも良かった。
それからライムのパーの表現が非常に可愛い。
「決まりましたね。私とシーラさん、ヘレナのパーティ。ヤトさんとアシュロス、ライムのパーティです」
「良かったぁー! 佐藤さんと一緒じゃなければ、ダンジョンに潜ることに集中できていなかったと思いますので、本当に嬉しいです!」
「私とマスターは運命の赤い糸で結ばれています!」
「ぬわー! 佐藤と別パーティなのじゃー!」
「ダンジョン攻略自体が楽しいので、私と一緒じゃなくても楽しいと思いますよ」
ヤトさんだけは涙目になっているけど、こればかりは仕方がない。
そして、更にヤトさんパーティにはシレイとポーターが加わり、こちらにはスレッドが加わることとなった。
戦力的には均等になったと思う。
少なくとも、どのパーティも10階層までは余裕で攻略できるはず。
「俺達は居残らせてもらうぜ。爺さんと一緒に酒でも作りながら待っている」
「シッドさん、お留守番よろしくお願いします」
シッドさんが残ってくれるとのことだし、こちらの心配もいらなそうだ。
ちなみに居残り組は、シッドさん、ジョルジュさん、クロウ、アッシュ、シレイとポーター以外のゴブリン部隊。
意外と居残り組が多いため、何かここに残ってできることを見つけてあげたいところ。
パッとは思いつかないため、冬が来るまでにやれることを考えよう。
とりあえずパーティ決めは完了。
後は冬を待ち、冬になったらダンジョンに行って攻略するだけだ。
冬季期間を鬱陶しく思っていながらも、こうして正式決定すると楽しみになってくる。
みんなも色めき立っているし、キャンプファイヤーをしながら決めたのは大正解だった。
「佐藤さん、焼き芋はまだでしょうか?」
「あっ、もう焼けていると思います。みんなで食べるとしましょうか」
「わーい! 焼き芋なのじゃ!」
そうこうしている内に、焼き芋も焼き上がった。
ここからは決起集会兼、焼き芋パーティーの開催。
段取りも非常に良かったし、個人的には秋の催しものも大成功に収めることができたと思う。