第134話 キャンプファイヤー
発展させるように頑張る――と意気込んだものの、あと1カ月ほどで秋が終わってしまう。
せっかくやる気が出たのに、冬季期間に邪魔される感じがして非常に嫌なんだけど、季節ばかりは私の力ではどうにもできないため仕方がない。
ゴブリン部隊にNPを使ったものの、その間の間にしっかりと貯めることができており、現在のNPは57470。
冬季期間までにあと30000NPを貯めることができそうなため、NPが枯渇するという問題は起こらないと思う。
ヘレナ、それからゴブリン部隊の存在は非常に大きく、今年の春と比べたらNPの入手率が段違いに増えている。
それに加えて、アッシュと馬車のお陰で普通の作物の売買も円滑に行えているし、こちらの世界のお金も結構貯まっているからね。
まぁこちらの世界のお金の大半は、お風呂を作るために使ってしまうと思うけど、それでも安定した収入を得ることができているというのは大きい。
冬季期間はガッツリとダンジョンでお金を稼ぎ、そのお金でロッゾさんとシッドさんに便利なものを造ってもらうのが冬季期間の目標になる。
去年と比べてダンジョン攻略に参加できるメンバーも増えたし、去年の比にならない額を稼げると踏んでいる。
本当なら、戦力が平等になるようにパーティを組み、どのパーティが一番ダンジョンの奥深くまで潜れたかの勝負を行いたいところだけど……。
木の武器で戦う模擬戦大会とは違い、ダンジョンは本当に危ないからね。
勝負に勝つために無理をして大怪我、ましてや死んでしまうなんてこともあり得る話のため、勝負はしない方向で進めるつもり。
ただ、パーティについては早めに決めたことに越したことがないため、何か簡単な催しものを開催しながら決めようかな。
――ということで、私は先ほど収穫したさつまいもで焼き芋パーティーをしつつ、ダンジョンに潜るパーティ決めを行うことにした。
いつもの如く、ロッゾさんとシッドさんにお願いをし、大きなキャンプファイヤーを造ってもらった。
アルミホイルだけはNPを使って購入し、キャンプファイヤーにさつまいもを焚べて焼き上がるのをひたすら待つ。
流しそうめんや花火に比べると、いささかシンプルな催しものだけど、大きな火が燃えているところを見るというのは非常に心が落ち着く。
社畜時代に眠れなかった時、Youtubeでただ燃えている火を見ていた時のことを思い出しながら、体も温まりながら心も癒される。
「燃やすだけだと思っていましたが、私はかなり好きかもしれません。パチパチという音も心地が良いです」
「私も想像以上に良くて驚いています。当たり前ですが、火が暖かいという事実に身も心も癒やされています」
「佐藤もシーラも変なのじゃ! わらわはガッカリしておるぞ! 夏に参加できなかった流しそうめんみたいなのができると期待しておったのに!」
「私もヤトさんに同意です。火を癒されるなんて、マスターは変かもしれません」
「私は好きだけどな。このまま眠りたいくらい心地が良い」
「ルーアさんと同じく僕も好きです! ずっと見ていられますね!」
「そうかぁ!? 大変だった割に何とも思わないけどな!」
「俺も期待外れ感は否めねぇな。焼き芋とやらは楽しみだけどな」
各々が感想を言っているのだけど、完全なる賛否両論。
ロッゾさんなんかは普段から火を見ているだろうし、何とも思わないのは分かるけど、凄く良いものだと思ってしまうけどなぁ。
ライムもマッシュもキャンプファイヤーに見向きもしていないし、ヘレナやヤトさんが何とも感じていない様子から、魔物に近い種族はあまり好まないのかもしれない。
シッドさんもどちらかといえば、感性が魔物よりな部分があるし、そう考えると納得する。
「おい、佐藤さん。失礼なことを考えていただろ」
「いえいえ! そんなことありません! パーティをどう決めようかを考えていただけですよ」
「本当かぁ? 完全に失礼なことを考えていた目で俺を見ていた気がするんだけどな」
性格に反して鋭いシッドさんにドキッとしつつも、何とか誤魔化すことに成功。
本題は本当にパーティ決めと焼き芋だし、嘘はついていないと心の中で弁明をしつつ、焼き芋を焼いている間にパーティ決めを行おう。
「パーティ決めってなんじゃ? 何かするのか?」
「ダンジョンの攻略を行うんです。雪が降っている間は作物を育てられないので、冬季期間はダンジョンに潜ることになっているんですよ」
「そ、そうなのか……! 知らなかったのじゃ! ということは、冬にここに来ても誰もおらんのか?」
「残る方もいるとは思いますが、基本的にはみんなダンジョンに行くと思います」
「なら、わらわもダンジョンに行くのじゃ! パーティ決めとやらに加えてくれ!」
そんなことを言い出してきたヤトさん。
私は困りながらアシュロスさんに助けを求めたのだけど……。
「ダンジョンの攻略であれば、旦那様も奥様も許可してくれると思います」
「修行と称すればいけるのじゃ!」
そう言われたら断る理由もないし、ヤトさんにも参加してもらおうかな。
アシュロスさんもついてくるだろうし、ヤトさんとアシュロスのペアを加えたメンバーでパーティ決めを行っていこう。
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