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第130話 倶利伽羅龍王


 翌日。

 ヤトさん達の話が本当であれば、ヤトさんのご両親がやってくる日。

 準備は昨日の内に済ませてあるけど、心配なものは非常に心配。


「ヤトさん、ご両親は何時頃来るんですかね?」

「うぬ? それはわらわにも分からない! 夜までには来ると思うのじゃ!」


 いつ来るか分からないハラハラした感情を抱えたままなのは辛いけど、分からないものは仕方がない。

 空に注目しながら、私は昨日と同様にひとまず農作業を行うことにした。


 ヤトさんとアシュロスさんが手伝ってくれているお陰で、お昼前には全ての作業が終了。

 結局、午前中は来なかったなぁ……なんて考えながら、お昼ご飯を食べに別荘へ戻ろうとしたところ、別荘の前で仁王立ちしている男性が目に入った。


 体格的にはドニーさんよりも小さいはずなんだけど、放っている圧は桁違い。

 頭からは捻れた二本の立派な角が生えているし、この男性は間違いなくヤトさんのお父さん。


 空には注視していたんだけど、いつからいたのか全く分からない。

 後ろにはお淑やかそうな女性も見えるし、いつの間にかご両親が揃っていたという状態になっている。


「あっ、父上と母上! 佐藤、あれがわらわの親じゃ!」

「やっぱりそうなんですね。ご挨拶してきます」


 仁王立ちしているのが凄く恐ろしいけど、私は勇気を振り絞ってクリカラさんの前に向かう。


「初めまして。私はヤトさんの友達の佐藤と申します」

「…………貴様が佐藤か」

「はい。遠いところからお越しくださってありがとうございました」

「我は貴様を認めてはおら――うごっ!」


 クリカラさんは私を睨みつけながら、そう言い放とうとしたのだけど……。

 後ろに立っていたヤトさんのお母さんであろう人に、思い切り後頭部を引っ叩かれた。


「いきなり主人がすみませんね。私はヤトの母親のティアと申します。気軽にティアとお呼びください」


 倶利伽羅さんの前に出てきたティアさんは、そう笑顔で自己紹介してくれた。

 見た目はヤトさんを大きくして、百倍くらい妖艶にした見た目。


 クリカラさんもティアさんも人の見た目だけど、角が生えているため、ヤトさんと同じく体を人に変化させているんだと思う。

 ちなみにクリカラさんは真っ黒な角で、ティアさんは真っ白な角。


「始めまして。佐藤と申します。それではティアさんと呼ばせて頂きます」

「我の妻をきやすく呼ぶでな――うごっ!」

「本当にすみませんね。娘が取られると思って、佐藤さんのことを警戒しているみたいなの。あまり気にしなくて大丈夫ですからね」


 凄い勢いでクリカラさんを叩きつつも、優しい笑顔で声を掛けてくれるティアさん。

 会う前は怖かったけど、ティアさんの方が関係性は上のようだし、クリカラさんもヤトさんのことを考えてツンケンしていると考えたら、何だか可愛らしいパパに見えてきた。


「佐藤! 貴様、何を微笑みながら我を見ておる!」

「いえいえ、なんでもありません! 狭いですが、とりあえず中に入ってください」

「佐藤さん、ありがとうございます」


 ということで、私はシーラさんに頼み、みんなには一時的に外で待っていてもらい、3人でお話をすることにした。

 ティアさんがいればちゃんと会話になりそうだし、抱えていた不安もなくなったから私だけで大丈夫だと判断した。


「どうぞ、お座りください。今お茶を淹れますね」

「ご親切にありがとうございます」

「……ふん!」


 私はリビングに通してから、用意していた紅茶を淹れることにした。

 ヤトさんの情報で、クリカラさんもティアさんも甘いものは好きとの情報を得ているため、甘いミルクティーを出す予定。

 私が2人を驚かせるため、ミルクティーの準備をしていると……。


「あなた。ちゃんとお話をすると言いましたよね? 何ですかあの態度は」

「そ、それは……。ヤトが我と一緒にいるときよりも楽しそうにしているのを見て、佐藤にムカッと来てしまったんだ」

「それは『良いこと』なのです。過保護すぎるのは悪いと何度も言いましたよね? それと佐藤さんに当たるのは論外です。まずは謝罪。そして、次に不躾な態度を取りましたら……わかっていますね?」

「うぅ……。分かっ……」

「ゴニョゴニョ言わない!」

「分かりました!」


 2人の会話が丸聞こえであり、クリカラさんが大分怒られてしまった様子。

 絶対的なドラゴンの王と聞いていたんだけど、話が大分違うように感じる。

 ティアさんの方が関係性は圧倒的に上ということを頭に入れ、今の会話は聞こえていないフリをして、ミルクティーを持っていくことにした。


「お待たせ致しました。こちらはミルクティーという私の世界の飲み物になります」

「佐藤さんの世界の飲み物ということは、異世界の飲み物ということでしょうか?」

「はい、そうですね。良ければ、飲んでみてください」

「異世界の飲み物なんか飲め――」

「あ・な・た?」

「うぅ……。佐藤、申し訳なかった」

「いえいえ。何も気にしていませんので大丈夫ですよ。お口に合うと思うので、是非飲んでみてください」


 クリカラさんはシュンとしながら、私の出したミルクティーを口に入れた。

 もはや大きなヤトさんにしか見えなくなっているため、私は微笑みながら反応を伺っていると……。


「う、美味い……だと? な、何だこの飲み物は! ――美味すぎるッ!」


 シュンとしていた表情から一転、笑顔になってミルクティーを一気に飲み始めた。

 お口に合ったようで良かったし、やはり感情が表情に出るから、ヤトさんと同じくクリカラさんも見ているだけで非常に面白いなぁ。



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一日一話投稿のモチベーションとなりますので、この小説を読んで少しでも「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです <(_ _)>ペコ


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