第125話 仕事ぶり
価格の安いゴブリンから購入していき、10000NPで従魔にできたゴブリンは計6体。
10000NPで6体も従魔にできたのは、流石はゴブリンといったところ。
その気になる値段はというと、ゴブリンワーカー、ゴブリンルーキー、ゴブリントラベラー、ゴブリンポーターが各1000NP。
そして、ゴブリンファイター、ゴブリンウォリアーが各3000NPだった。
3000NP帯のゴブリンは他にも多く存在し、新たに従魔にした6体+シレイとヴィレジャーの働き次第では、ゴブリン部隊を増やすのがこれからのNPの投入先になると思う。
ちなみに見た目はというと、シレイと同じく特徴的な格好をしているだけで、基本的に通常種ゴブリンと変わらない。
覚え難いということもあり、名前はワーカー、ルーキー等の種族名をそのまま流用することにした。
「それではシレイ。最初は収穫作業を重点的に教えていきますね。覚えましたら、ヴィレジャー達に教えてあげてください」
「うがっ!」
ということで、私はシレイに仕事を教えていくことにした。
ゆっくり丁寧に教えたことで、しっかりと覚えていってくれてはいるけど、ゴブリンの中では一番頭が良いであろうシレイでも、ヤトさんより少し物覚えが良い程度。
ここからシレイがヴィレジャー達に教えていくことを考えたら、戦力になるまで結構な時間がかかることが予想できる。
長い目で見守ることを覚悟しつつ、一通りの収穫作業をシレイに教えることができた。
「佐藤さん、シレイは働けそうですね。ただ、ヴィレジャー達は仕事内容を覚えられるでしょうか?」
「そこは……やってみないと分かりませんね。ただ、やれなかったとしても構わないとは思っています」
ヴィレジャーは500NP。
働けなかったとしても怒るつもりもないし、できなかったらヴィレジャーにできることを探してあげるつもり。
今後のためにも、3000NPだったファイターとウォリアーには仕事を覚えてほしいところだけど、こちらも駄目だったとしてもゴブリン部隊を別の形で動かしていくだけ。
過度な期待はせず、私は数日間様子を見ることに決めた。
ゴブリン部隊を購入してから、約1週間が経過。
ヘレナはバリバリと働いてくれており、私とシーラさんで料理を教えたこともあって、料理の腕も上達している。
それから意外にもゲームの才能があったようで、ゲーム歴でいうと先輩であるシーラさんに匹敵する力を既に身につけている。
1日の終わりのシーラさん対ヘレナのスマブラ対決が日課となっており、毎晩、熾烈な戦いを繰り広げている。
「……うぅ、悔しいです。あと少しで勝てそうなのですが、シーラさんに後一歩届きません!」
「ヘレナさん、昨日の夜のことをまだ引き摺っていたんですか?」
「私、こう見えても負けず嫌いなので、毎日引き摺っています。あの……マスターが良ければですが、今日の夜指導してくれませ――」
「ヘレナ、抜け駆けは駄目ですよ。ヘレナが指導してもらうのであれば、私も指導してもらいますから」
「くうっ、シーラさん。いたのですね」
「ふふふ、私はずっといますよ」
料理作りで距離が縮まったと思いきや、スマブラでバチバチな2人。
まぁ仲が悪いってことではないし、ゲームで身近にライバルがいるというのは楽しいことだからいいんだけどね。
「あっそうでした。先ほどシレイが別荘に来まして、教え終わったので見に来てくださいとのことでした」
「本当ですか? 時間はかかりましたけど、教え終わったというのは朗報ですね」
「はい! これでゴブリン達が戦力になってくれたら、一気に楽になりますね」
収穫作業のみに1週間と時間はかかったけど、できるようになったのであれば非常に大きい。
農作業を行う前に、私はゴブリン部隊の成果を見に行くことにした。
「シレイ、収穫作業ができるようになったというのは本当ですか?」
「うがっ! うがが!」
見ていてくれと言わんばかりに、シレイはヴィレジャー達に指示を送って収穫を始めた。
どうやら作業の割り振りをしたようで、ファイター、ウォリアー、ワーカー、ルーキー、トラベラーが収穫を行い、ヴィレジャーとポーターの2体で収穫した作物を運ぶ役を行っている。
ポーターは荷物持ちということもあって、運ぶ作業には定評があり、ヴィレジャーも運ぶだけならば問題なく行えるようで、非常に上手く回っている。
細かなところにはシレイが目を光らせており、何か問題がありそうなところには細かく指示を行っていた。
「シレイ、流石ですね! 想像以上に作業ができています。ヴィレジャー達も仕事を覚えてくださり、ありがとうございます」
「うががっ!」
「うがぁー! うっがっが!」
「うが! うががっ!」
何を言っているかは分からないけど、私のお礼の言葉に各々反応してくれている。
ゴブリンは日本のアニメや漫画、小説の影響で悪いイメージしかなかったけど、こうして見ると非常に愛らしい姿。
夏の間にシッドさんが建ててくれた家に住んでいるし、毎晩水浴びをしてくれているようで清潔感もあるから、汚らしい印象もない。
シレイの負担を考えると、これ以上この部隊にゴブリンを増やすのは難しそうだけど……大成功と言っていいと思う。
「この調子で頑張ってください。頑張りに応じて、報酬も用意しますので」
「うがっ!」
敬礼をしたシレイに私も敬礼を返してから、ゴブリン部隊の下を離れた。
25000NPとは思えない働きっぷりだし、この試みは本当に大成功だったな。
シレイ達へのご褒美に何を贈るのがベストなのかを考えつつ、私も負けないように働くことにしたのだった。
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