第116話 大はしゃぎ
ヤトさん、アシュロスさん、それからシーラさんにカレーを振る舞い、三人とも大満足といった様子。
まだまだ余っているため、残りはロッゾさん達にも食べて貰おう。
そんなことを考えながら、リビングでだらーっとしているヤトさんを見る。
ライムの横でスライムのようになっており、アシュロスさんもそんなヤトさんを見て微笑んでいた。
「佐藤さん、本当にありがとうございます。こんなに幸せそうなお嬢様を見るのは久しぶりです」
「いえいえ。カレーはお口に合いましたか?」
「はい。見た目は私も引っ掛かりはしましたが、味は人生で食べた食べ物の中で一番美味しかったです」
アシュロスさんのそんな言葉を聞け、ホッとする。
ヤトさんと違い、アシュロスさんは表情に出さないため、どう思っているのか不安だった。
ちなみにヤトさんはと言うと、「うんこじゃ! うんこじゃ!」と騒ぎ立てた挙げ句、食に対しては本気のシーラさんにちゃんとした注意をされ、少しシュンとしながら食べ――。
カレーの美味しさに感動して、踊りながら大興奮していた。
「そこまで言ってくれたなら、作った甲斐がありました。やはり見た目は気になっていたんですね」
「まぁお嬢様が騒ぎ立てたことが大きいですが……」
「確かにそうですね。……あ、そうだ。アシュロスさんは文字を読むことはできますか?」
「はい。読み書き共にマスターしております」
「それなら後で面白い本を見せてあげます。きっと気に入ってくれると思いますよ」
せっかくならば漫画も普及させよう。
文字が読めるのであれば、きっと楽しんでもらえると思う。
「うぬ? 何やら面白そうな話じゃな! わらわも文字を読めるぞ?」
「あれ? ヤトさん、起きていたんですか?」
「うとうとしておったが、面白そうな話が聞こえてきたから目が覚めたのじゃ!」
てっきりヤトさんは文字が読めないと思っていたけど、文字を読むことができるならみんなで娯楽部屋に行ってもいいかもしれない。
「ヤトさんが起きていて、文字も読めるのであればみんなで娯楽部屋に行きませんか?」
「娯楽部屋ってなんじゃ? 面白いところなのか?」
「面白い場所です。多分ですが、シーラさんは娯楽部屋にいると思います」
「なら行きたいのじゃ!」
「私も行ってみたいです。面白い本というのが気になりますね」
ということで、ヤトさんとアシュロスさんに娯楽部屋を紹介することとなった。
漫画が不評でもゲームの選択肢があるし、気に入ってくれるだろう。
「あっ、シーラが変なのをやっておる!」
真っ先に部屋に入ったヤトさんが、前のめりになってゲームをしているシーラさんを見てそう叫んだ。
シーラさんはどうやらスマブラの練習をしていた様子。
「佐藤さん、ヤトさん達にも娯楽部屋を教えたんですね」
「ええ。せっかくなのでみんなで遊ぼうと思いまして」
「遊びたいのじゃ! シーラがやっておるのは一体なんなのじゃ?」
「神器……? いえ、違いますね。……私の知識にもないアイテムです」
「これはテレビゲームというものですよ。漫画を紹介する前に少し遊んでみますか?」
「ぜひやらせてください」
ノリノリのヤトさんよりも先に、興味津々といった様子のアシュロスさんが答えた。
無表情でありながらも、視線は釘付けになっているし、相当気になっているようだ。
私は2人に軽い操作説明をしてから、4人対戦を行うことにした。
それぞれキャラを選び、早速ゲームスタート。
「うりゃー!! シーラ、死ぬのじゃー!」
ヤトさんはシーラさんに狙いを定め、物理的にも暴れながら攻撃しているのだが……。
「……うぬー。死んだのじゃー!」
コソ練していたシーラさんにあっさりとやられてしまった。
アシュロスさんも首を傾げながら自爆しており、あっという間に残るは私とシーラさんだけ。
「佐藤さん、負けませんよ」
シーラさんの目は本気のようだけど……流石に歴が違う。
Switch版は初めてプレイしたけど、ニンテンドー64版は死ぬほどやり込んでいるからね。
手加減しようかとも考えたけど、私に剣の指導をしてくれたシーラさんとベルベットさんは手を抜かないでくれたし、私はそれがありがたいと思った。
今後の成長に期待して、ここは本気でいかせてもらおう。
「うぉー! 佐藤、強いのじゃ! わらわを倒したシーラが手も足も出ていなかったぞ!」
「か、完敗です……! 自信があったのですが、まだまだ佐藤さんには勝てそうにないですね」
「ふ、深いですね……。楽しいだけじゃなく、深さもあるものとは……凄いです」
シーラさんも萎えていなさそうだし、ヤトさんとアシュロスさんも更に興味を持ってくれた様子。
やはり手加減しなくて良かった。
「と、こんなゲームもありますので、ここに来た時はみんなで遊びましょう」
「ここは天国なのじゃ! ご飯は美味しいし、面白いものがいっぱいある! わらわはここに住む!」
「私も住ませてください。……と言いたいところですが、許可できません。旦那様には私からも説得しますので、たまに遊びに来る程度に留めましょう」
「うぬぅ……。なら、ここにいる間は遊び尽くすのじゃ!」
ヤトさんはそう言うと、再びスマブラをプレイし始めた。
喜んでもらえているのは嬉しいけど、帰らないって駄々をこねないかが非常に心配。
まぁアシュロスさんが何とかしてくれるだろう。
ヤトさんに関してはアシュロスさんに全任せするとして、私も楽しむとしよう。
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