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第115話 お手伝い


 一通りの挨拶も済んだし、ヤトさん達はすぐに帰るのかと思っていたけど、どうやらそんな感じでもない。

 もしかして、しばらくここにいるつもりなのかな?


「ヤトさん達はすぐに帰らないのですか?」

「うぬ? 佐藤はわらわに帰ってほしいのか?」

「いえいえ、そんなことはありません。家出をしたと言っていたので、ヤトさんのご両親が心配しているんじゃないかと思ったんです」

「まだ帰ってきていないから大丈夫じゃ! 今日と明日はここに居させてもらうつもりなんじゃが大丈夫かの?」

「大丈夫ですが……昨日お出しした料理は出せませんよ?」

「ぬぬぬ!? なんでじゃ!? あの料理を食べたくてすぐに来たのだぞ!」

「お嬢様から凄く美味しい料理があると聞いていたのですが、食べることができないのですね……」


 ヤトさんだけでなく、アシュロスさんもあからさまに落ち込んでいる。

 流石にやってくるのが早すぎるとは思ったけど、やはり日本の料理が食べたくてすぐに来たようだ。


「残念ですが、量に限りがあるんですよ。ただ、どうしても食べたいというのであれば……」

「あれば――の続きはなんじゃ! わらわはどうしても食べたい!」

「農作業のお手伝いをしてもらえますか? 畑で育てた野菜を使っていますので、お手伝いしてくれたら作らせて頂きます」

「もちろん手伝うのじゃ!」

「お嬢様が畑仕事……? 旦那様に怒られませんか?」

「バレなければ大丈夫じゃ! アシュロスも食べたいなら手伝うのじゃ!」

「もちろん食べたいですが……。分かりました。私がお嬢様の分まで働きますので、それで勘弁して頂けないでしょうか?」


 アシュロスさんは、ヤトさんを守るように両手を広げて私の前に立ち塞がった。

 農作業を手伝ってほしいと言っただけなんだけど、ドラゴンだとやはり考え方とかも違うのだろうか。


 それとも、ヤトさんが特別なだけの可能性もある。

 護衛がいることからも、ベルベットさんと似た感じがあるし……この世界の人なら知らない人がいないくらいのドラゴンということも考えると、ドラゴン族のお姫様みたいな感じなのかもしれない。


「嫌じゃ! わらわも手伝う!」

「我儘を言わないでください。旦那様にバレて怒られるのはお嬢様ですよ?」

「大丈夫じゃ! バレないし、バレたとしてもわらわがなんとかする!」

「本当ですか? そういうことなら無理には止めませんが、バレて怒られても知りませんからね」


 何だか私達にも被害が及びそうな感じがあるし、止めたい気持ちも出てきたけど、ヤトさんがやりたそうにしているため今更止めることはできない。

 働いてくれるというのなら私は特に何も考えず、ヤトさんとアシュロスさんにはしっかりと働いてもらうことにしよう。


「2人とも働いてくれるということで大丈夫でしょうか?」

「うぬ! わらわは大丈夫じゃ!」

「はい、よろしくお願い致します。ただ、農作業について何も知らないのですが、大丈夫でしょうか?」

「大丈夫ですよ。私達がしっかりと教えますので」


 ということで、ヤトさんとアシュロスさんに畑仕事のやり方を教えることとなった。

 それから、2人共飽きる様子もなく真剣に取り組んでくれたけど……とにかくヤトさんの覚えが悪い。


 困ると小首を傾げながら固まってしまい、許容範囲以上のことを教えると、変な顔をして固まってしまうのだ。

 ドラゴンといえど、人間の姿では力も出せないようで、今のところ何をさせればいいのか困ってしまうレベル。


 ただ、本人はとても楽しそうにやってくれているし、ゆっくり教えてあげようと思っている。

 アシュロスさんの口ぶりからも、これまで何もさせてもらえなかったのが分かるし、何かを育てるという行為が新鮮で楽しいのだと思う。


 そして気になるアシュロスさんはというと、物覚えもいいし凄まじく器用。

 単純な力もドニーさん並にあり、2人分働くどころか、既に3人分くらいの力になっている。


「アシュロスさんは凄いですね。1教えているのに、10できるようになっていて驚いてしまいます」

「お嬢様がアレですので、私がその分しっかりと働かせて頂きます」

「本当に助かります。ちなみに1つお伺いしたいことがあるのですが、アシュロスさんもドラゴンなのですか?」

「いえ、私は龍人という種族です。所々鱗が生えていたり、尻尾が生えているだけで佐藤さんと何ら変わりありません」

「私と比べて変わりないということはないですよ。私は不器用ですし、力もありません。普通の子供よりも能力が低い自信があります」


 どうやらアシュロスさんは龍人みたいだ。

 ヤトさんよりも立派な角が生えていて、二の腕部分に龍鱗。


 そしてなんと言っても、かっこいい龍の尻尾まで生えているため、アシュロスさんもドラゴンなのかと思ってしまっていた。

 正直、ヤトさんよりも何倍もドラゴンっぽいんだけどなぁ。


「ご謙遜なさらなくていいですよ。普通の人がお嬢様と友達にはなれませんから」

「……こんなこと聞いたら怒られてしまうかもしれませんが、ヤトさんってそんなに凄いドラゴンなんですか?」

「ええ。一切の誇張なく、この世界を統べる王の器を持っております。まだまだ子供の面が大きいので、佐藤さん目線では信じられないと思いますが」


 ヤトさんがこの世界の王……。

 確かにちょっと想像することはできない。

 一度ドラゴンの姿を見たけど、それでもポンコツの面しか見ていないからなぁ。


 アシュロスさんとそんなこんな話をさせてもらいながら、テキパキと仕事を行っていった。

 何もできないヤトさんがいながらも、アシュロスさんのお陰で夕方前に仕事が完了。


 本当はもう1日働いてもらって、明日ご飯を振る舞おうと思っていたのだけど……。

 ヤトさんがキラッキラした目で見ているし、2日連続となってしまうが、日本の料理を振る舞ってあげるとしよう。



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