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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第3章

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第111話 瀕死の少女


 翌日からは、ポーシャさんとロイスさんも交えてゲームで遊んだり、ロッゾさんとシッドさんに漫画をおすすめしたりと、娯楽室の利用が一気に増えたと思う。

 娯楽を充実させてから、私とシーラさんのやる気はみるみる上昇したし、ここまで自発的に話してくれなかったポーシャさんやロイスさんが、楽しそうにしてくれているのを見るのは非常に気分が良い。


 このままの勢いで、畑仕事を頑張ろうという気分になっているんだけど……どうにもこうにも体がズシリと重い感じ。

 それを感じているのは私だけではなく、シーラさんも頻りに体の変化を気にしている様子。


「……シーラさんも体が重いですか?」

「はい。もしかして佐藤さんもですか?」

「重いっていうほどではないんですが、絶好調ではなくなった感覚が近いかもしれません」

「私も全く同じです。薄々気づいていましたが、ルーアさんがいなくなってからですよね?」

「多分ですが、そうだと思います。ルーアさんがここに来てから、体が軽くなった感じがありましたので」


 シーラさんと同じということは、やはりルーアさんは周りにいる人の力を上昇させるスキルか何かを持っているのだと思う。

 日常生活でも変化を感じるぐらいだし、戦闘面では大きな変化がありそう。


 ジョエル君とブリタニーさんが、冒険者としてならシーラさんに匹敵すると言っていたのはこういうことだったのだろうな。

 ルーアさんが本領を発揮してくれるのは嬉しいけど、私としても早いところ戻ってきてほしい。


 身に染みてルーアさんの力を体感し、戻ってきて欲しいと願っていると……急にクロウが私達のところに勢いよく降りてきた。

 私が合図を送らない限り、近くには降りてきたことがなかったためかなり驚く。


「クロウ、どうかしましたか? 何か見つけたとかであれば……ん? その咥えているのはなんですか?」


 降りてきたクロウは何かを咥えている。

 最初は何か物かと思ったけど、若干動いたようにも見えた。


「佐藤さん、生物っぽいです。害鳥は何も言わずに始末してくれていますので、敵じゃない生物を連れてきたって感じでしょうか?」

「見てみないと分かりません。とりあえず……シーラさんは別荘から魔法玉を取ってきてもらってもよろしいでしょうか?」

「なるほど、【ヒール】の魔法玉ですね。すぐに持ってきます」


 咥えているのが何なのか全く分からないけど、クロウに咥えられながら僅かにしか動かないことから、重体であることは見ずとも分かった。

 そのためシーラさんにこの間購入した魔法玉を取ってきてもらうことにし、その間に私はクロウが連れてきた何かの確認を行う。


「クロウ、そこに優しく置いてくれますか?」


 私がそう告げると、クロウは咥えていたものを優しく地面に置いた。

 私が駆け寄って確認すると……どうやらジョエル君と近しい年齢の女の子のよう。


 目立った外傷は見られないけど、息が浅いことから重体であることは間違いない。

 私はすぐに回復体位にさせ、大きい声で呼びかける。


 心臓が止まっている訳ではないため、心臓マッサージはいらないはず。

 私の呼びかけに体は反応を見せているけど、まだ目を覚ます様子がない。


「佐藤さん、お待たせ致しました」

「ありがとうございます。使用しますね」


 シーラさんか魔法玉を受け取った瞬間、すぐに擦って魔法を発動。

 気を失っている女の子に【ヒール】を唱えた。


 緑色のオーラが女の子を包んだことで、浅く苦しそうだった呼吸が落ち着きを取り戻してくれた。

 私の興味本位で購入した魔法玉だったけど、本当に購入しておいて良かった。


「あっ、目を開けました! 女の子……ですか?」

「でも、普通の女の子ではないと思います」


 回復体位にした時に気がついたのだけど、この女の子の頭には小さいながらも2本の角が生えていた。

 亜人種ではあるとは思うけど、種類までは分からない。


「気が付きましたか? 体の痛みとかはないでしょうか?」

「……うぬ? お主は誰じゃ? というか、ここはどこじゃ?」


 まさかの、のじゃ口調。

 想定していなかった語尾に面を食らいつつも、私は女の子に状況を説明する。


「倒れていたあなたを私の従魔が連れてきてくれたんです。記憶喪失とかではありませんか?」

「記憶はあるぞ。わらわの名前はヤトじゃ」

「お名前はヤトさんですね。ヤトさんは王都から来たのですか? それともランゾーレの街からでしょうか?」

「うぬぅ? どちらも知らない街じゃ! わらわはエデルギウス山から来た—―龍なのじゃ」

「なるほど。少し記憶が混在しているようですね。私の暮らしている家で少し休んでいてください。お父さんとお母さんは、私の知り合いに頼んで探してもらいます」

「お主、わらわの話を信じておらぬな!?」


 目が覚めたばかりだから、記憶がごっちゃになっていても仕方がない。

 ベルベットさんに力を借りて、この子のご両親を探してあげよう。


 私はそう考えたのだけど――隣にいるシーラさんが口をパクパクとさせ、私に何かの合図を送っていた。

 ……混乱しているだけだと思っていたけど、いつも冷静なシーラさんが慌てふためく様子をみたら流石の私も察する。


「……え? ……本当にドラゴンなのですか?」

「そうじゃと言っておるだろ。わらわは嘘なんかつかん」


 シーラさんは首を縦にブンブンと振っており、ヤトさんの言葉が本当であることを私に伝えてきた。

 【異世界農業】のスキルでドラゴン種も従魔にできることから、この世界にドラゴンがいることは分かっていたけど……私が想像していたのと、容姿があまりにも違い過ぎて理解がまだ追いついていない。


 見た目は銀髪の可愛い女の子であり、角が生えていること以外は人間にしか見えない。

 龍人とかの種族だったりするのだろうか。


「すみません。人にしか見えなかったので、記憶が曖昧になっているんだと思ってしまいました。龍人とかの種族なんですか?」

「龍人でもなく龍! 一時的に人の姿に変えているだけで、本来のわらわの姿は龍なのじゃ!」

「人に変化しているって感じなんですか。ヤトさんが何者なのかは分かりましたが、どうして気を失っていたのですか?」

「それは……思い出せんな」


 先ほどまで威張るように胸を張って言葉を発していたのに、急に体を縮こませてそっぽを向いたヤトさん。

 分かりやすく口をとんがらせて誤魔化しているし、これは既に思い出しているはず。


「本当ですか? 思い出したなら教えてくださいよ」

「思い出せないと言っておるじゃろ――」


 そこまで言いかけたところで、ヤトさんはお腹をぐぅーと鳴らした。

 最初はわらわではないと言いたげにしていたけど、徐々に耳が真っ赤になっていき、顔まで赤く染まってきた。

 お腹の鳴った音も大きかったし、流石に誤魔化すのは無理と悟った様子。




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