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第105話 真剣な相談


 とまぁ、近況はこんなところ。

 NPが貯まらず若干焦ってはいるけど、私の異世界での目標はスローライフ。

 じっくりコツコツやっていけばいい。


 そう自分に言い聞かせながら、いつものように畑仕事を終え、別荘へと戻っていると……私のところにジョエル君がやってきた。

 何やら真剣な表情をしており、見るからに相談があるような感じだ。


「ジョエル君、今日は畑仕事を手伝ってくださってありがとうございました。それで……何かお話でもありましたか?」

「はい! 実は佐藤さんに相談したいことがあるのですが、お時間を貰ってもいいですか?」

「もちろん大丈夫です。どこで話しましょうか?」

「僕が今借りているお家でいいですか? ブリタニーさんも待っていると思いますので!」

「分かりました。それでは一緒に行きましょう」


 ブリタニーさんも待っているということに引っかかりはしたものの、ジョエル君に訊ねるよりも直接行った方が早いだろう。

 ということで、私はジョエル君と一緒にジョエル君の家に向かうことにした。


 家の中には初めて入ったけど、中の造りはルーアさん達の家と全く一緒。

 一人で住むには大きすぎる家であり、ジョエル君も端っこの部分しか使っていないことが物の置き具合で分かる。

 そんなジョエル君の家には、本当にブリタニーさんがおり、あぐらをかいて私とジョエル君の帰りを待っていたようだ。

 

「随分と遅かったじゃないか。人の家で待たされるのは居心地が悪くて仕方がなかったよ」

「ブリタニーさん、すみません! これでも佐藤さんにはすぐに声掛けて来てもらったんですが……思っていたよりも農作業の方の時間がかかってしまいました!」

「そうなのかい。それなら仕方がないね。夜になる前に本題に入りたいから、ジョエルも佐藤も座ってくれ」


 ブリタニーさんに促されるように、私とジョエル君は座った。

 何だか真剣な話な感じがするため、一応正座で座る。


「それで私にお話しというのはなんでしょうか? 私にできることであれば、基本的に聞き入れたいとは思っていますので、気楽にお話してくださいね」

「やっぱり佐藤は優しいね。ただ、今回は佐藤へのお願いは半分って感じなんだよ」

「実はなんですが……僕とブリタニーさんは冒険者のパーティを組むことになったんです! とはいっても、1ヶ月の内の2週間ほどを活動期間にしようと思っていまして、その内の2週間は畑仕事を手伝わせて頂きたいと考えてます!」

「1ヶ月の内の2週間だけ働きたいということですか? もちろん大丈夫……といいますか、歓迎したいぐらいですよ。ブリタニーさんも畑で仕事がしたいということでしょうか?」

「いや、アタシは畑では働かない。ジョエルが畑仕事をしている間は、兄貴たちの方を手伝おうと思っているんだ」


 わざわざ家まで呼ばれたこともあり、何だか重い話なのかと思ったが、めちゃくちゃ良いお話だった。

 2週間でもジョエル君が手伝ってくれるのはありがたいし、ブリタニーさんがロッゾさん達の手伝いをするのも非常に良いと思う。


「いいと思いますよ! ロッゾさん達も人手が足らないとボヤいていましたし、ブリタニーさんが手伝ってくれたら喜ぶと思います」

「そう言ってくださってありがとうございます! そこでなんですが、ここからが今回の重要な話になります……!」


 うーん。薄々勘付いてはいたけど、パーティを組むという報告だけではないようだ。

 どんな話なのか聞くのが少し怖いけど、聞かない限り始まらない。


「重要な話というのはなんでしょうか? 何かしらのお願いということですよね?」

「はい。実は、もう一人パーティに加えたい方がいまして、そのお方を勧誘を許可してもらえないかというお願いです!」


 なるほど。まずは私に許可を貰ってから勧誘しようということか。

 ……これはシーラさんを勧誘するつもりだろう。

 

 正直、シーラさんに1ヶ月の内2週間抜けられるのはキツいのだが、ここの方針は全てが自由。

 私が困るからといって引き留めたくないため、許可を出さざるを得ない。

 シーラ自身が断ってくれる可能性に賭けるしかなく、私から勧誘をしないでくれとは口が裂けても言えない。


「もちろん大丈夫です。ここは自由がモットーですし、無理な勧誘をしなければ構いませんよ」

「ありがとね。それじゃ遠慮なく誘わせてもらうよ。ちゃんと手伝いも行うから、そこら辺の心配はしなくて大丈夫だから」

「こちらのことを気にせず、軌道に乗ったら冒険者一筋になっても大丈夫ですよ。ちなみにですが……誰を誘おうと思っているんですか?」

「ルーアさんです! ポーシャさんやロイスさんとの話も加味して考えたのですが、ルーアさんには是非パーティに加わって頂きたいと思ったんです!」


 シーラさん……ではなく、ルーアさん?

 確かにルーアさんもルサンソ王国の元騎士であり、模擬戦大会を見ても高いレベルで戦えることは分かっているけど、誘うのはてっきり準優勝のシーラさんかと思っていた。

 ……ルーアさんとシーラさんの名前を間違えているとかではないよね?


「ルーアさんですか? てっきりシーラさんかと思っていました」

「そりゃシーラがパーティに加わってくれたら、アタシらとしては嬉しいけどね。大会では完敗している訳だし」

「でも、シーラさんは絶対に断ってくるのが分かっていますので!」

「そういうこと。ただ、妥協案でルーアを選んだわけじゃないよ。冒険者としてなら、シーラに匹敵するとアタシは考えているから」


 2人のルーアさんに対する評価が私よりも高い。

 実力者である2人がそう言うのであれば、実際にルーアさんは冒険者の才能があるのだろう。


 ……確かに、ルーアさんが来てから基本的に体が軽くなっている。

 これは私の錯覚とかではなく、シーラさんとかも感じているため、この現象と何か結びつくものがあるのかもしれない。


「そうなんですね。少し意外でした。とにかく勧誘はしてもらって大丈夫ですし、ルーアさんには遠慮なくやりたいことをやってくださいと私の方からも伝えておきますね」

「佐藤さん、ありがとうございます! 僕、冒険者として活動していない時は頑張って働きますので!」

「私もこの村のために頑張るよ。住む場所も含めて本当にありがとう」

「いえいえ。それでは私は失礼致します」


 2人にそう告げてから、私はジョエル君の家を後にした。

 ルーアさんを誘うのは意外だったけど、元々は冒険者志望だった訳だし、私が背中を押したらきっと快諾するはず。


 まぁやりたくないということだったら、ブリタニーさんとジョエル君には引いてもらうつもりだけど……。

 とにかく私は、みんながのびのび楽しくしてくれたら嬉しい。




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