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第103話 魔法玉


 言われた通りに魔法玉を擦ってみると、私の周りに黄色い靄のようなものがかかった。

 蓮さんが模擬戦大会で使っていたようなものと酷似しており、実際に体が非常に軽い。


「どうですか? 魔法の効果はありますか?」

「凄いです! 体が一気に軽くなりました!」


 体が10代に戻ったような感覚であり、私はぴょんぴょんと高くジャンプしまくる。

 この魔法玉があれば、私でも戦うことができるかもしれない!

 そんな淡い期待を抱いたんだけど……。


「あっ、気をつけてください! 体が軽いのは魔法による一時的なものですし、体にはしっかりと反動が来ますので!」


 店員さんからのそんな言葉を受け、私のテンションは一気に落ち、飛び跳ねていたのもピタリと止める。

 魔法に浮かれてぎっくり腰でも患ってしまったら、笑い話では済まない。

 魔法であれど、老いには勝てないのだと分からされてしまった感覚。


「本当に凄いですが、魔法も万能ではないということですね」

「ヒールの魔法玉を使えば、怪我してしまっても治せるとは思いますよ!」

「ほー、ヒールはいいですね! シーラさん。ヒールの魔法玉は購入してもいいんじゃないでしょうか?」

「確かにヒールの魔法玉はいいですね。唯さんくらいしか使えませんし、ここで購入しておくのはありかもしれません。ちなみにですが、1ついくらでしょうか?」

「ヒールは金貨1枚となります。ちなみにですが、ハイヒールだと金貨5枚になります」


 妥当な値段ではあると思うけど、やはりいい値段になってしまうようだ。

 手持ちは変わらず白金貨2枚であり、ヒールなら20個、ハイヒールなら4個の魔法玉を購入することができる。 

 2ヶ月のダンジョン攻略で得たお金が魔法玉4個になってしまうのは悲しいし、今はヒールの魔法玉しか買えないなぁ。


「買うとしたらヒールの魔法玉ですかね?」

「大怪我することはないと思いますし、ヒールの魔法玉で充分だと思います」

「ですね。では、ヒールの魔法玉を5個売ってください」

「ありがとうございます! ヒールの魔法玉が5個ですね! 他には何か欲しい魔法玉はありませんか? 【ファイアアロー】とかの攻撃魔法もありますよ!」


 攻撃魔法も私にとっては非常に魅力的。

 護身用として1つくらい持ってもいいのではないか……?

 そんな願いを込め、私がちらりとシーラさんを見ると、シーラさんは意思を組み取ってくれたようでゆっくりと頷いてくれた。


「それじゃ攻撃魔法の魔法玉も1つください。金貨1枚で買えるおすすめのものはありますか?」

「攻撃魔法で金貨1枚でしたら、上級魔法が買えますよ! 私のおすすめはですね……こちらの【ヘイルブリザード】ですね!」

「名前がカッコイイですね! それじゃヒールの魔法玉を5つと、ヘイルブリザードの魔法玉を1つください」

「ありがとうございます! 合計で金貨6枚になります!」

「白金貨1枚からお願いします」

「はーい。金貨4枚のお返しですね!」


 フラッと立ち寄ったお店にしては結構な金額を使ってしまったけど、決して悪い買い物ではなかったと思う。

 ヒールは言わずもがな、ヘイルブリザードも名前からして凄そうな感じがあるからね。


 それにしても……売られている魔法玉は、店主であるこの女性1人で作っていると先ほど言っていた。

 となると、ハイヒールの魔法も扱えて、ヘイルブリザードなる上級魔法も扱えることになる。


「あの、1つ伺ってもよろしいですか? 店主さんは【ハイヒール】に【ヘイルブリザード】の魔法も使えるってことですよね?」

「そうですよ! 先ほども言いましたが、私はこう見えても魔術学校を主席で卒業していますので! ここだけの話ですが……超級魔法も扱えるんですよ」

「超級魔法! 私は詳しくなくて分からないのですが、凄そうな響きですね!」

「ふふ、本当に良い反応をしてくれますね! 機会があれば、今度見せてあげます!」

「是非お願いします! 必ずまた来ます!」

「ええ。また来てください!」


 笑顔で手を振ってくれている店主さんに見送られ、『マジックキャビネット』を後にした。

 目についたお店に入っただけだけど、本当に良いお店に来ることができたと思う。

 

 私が魔法好きというのもあるけど、とにかく全てが楽しかった。

 店主さんもめちゃくちゃ凄い人のようだったし、超級魔法まで使えると言っていたもんなぁ。


「佐藤さん、良いお店でしたね」

「ええ、本当に楽しかったです! シーラさんにお聞きしたいのですが、超級魔法って凄いんですか?」

「それはもちろん凄いです。初級魔法、中級魔法、上級魔法と続いていきまして、その上が超級魔法です。超級魔法を扱える人は極僅かで、グレイラン国内でも100人は確実にいません」

「へー、そんなに凄い魔法なんですか! 唯さんでも使えないんですかね?」

「使えないと思いますよ。唯さんはヒーラーですが、回復魔法以外は使えない感じでしたからね。私も攻撃魔法しか使えませんし、よほど器用じゃない限り、攻撃魔法と回復魔法の両立は難しいですから」


 ほー、魔法によってもタイプ分けがされているのか。

 攻撃魔法、補助魔法、回復魔法で分かれていて、基本的にはどれかに特化しているのが普通なのだろう。


「……となると、さっきのお店の店主さんってめちゃくちゃに凄い人じゃないですか? 私が使わせてもらった魔法は、補助魔法ですよね?」

「ええ。攻撃魔法、補助魔法、回復魔法を扱えながら、超級魔法を扱える実力者ですからね。魔術学校を主席で卒業したと仰っていましたし、単純な実力でいえばドニーさんクラスだと思います」

「そこまでですか……! 若いようにも見えましたが、そこまでの実力者がなんで魔道具店の店主さんをやっているんですかね?」

「人生は色々ありますからね。楽しそうに見えましたし、あの方にとっては魔道具屋の店主が楽しいのだと思います」


 シーラさんは実力があり、戦闘職を望んでいながらも従者として働かされていた。

 そんな経験もあってか、何気ない発言だけど言葉に重みがある。


「確かにそうですね。人生は一度きりですし、やりたいことをやるのが一番です」

「ええ。私も好きに生きるつもりですし、佐藤さんも好きに生きましょう」

「ですね。悔いが残らないように、楽しく生きましょう!」


 何だか変なテンションで盛り上がった私達は、ランゾーレの街を見て回ってから別荘へと戻った。

 アッシュ用に魔力塊を買ったこともあり、終始気分よく馬車を引いてくれたし、今回の試し乗りは大成功に終わったといっていいだろう。



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