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第95話 ベスト4


 スレッド対ライムはお互いにリスペクトをしているようで、互いにペコリと頭を下げてから試合が始まった。

 試合展開は終始ライムのペースで進んでいった。


 体を収縮させてのバネのようにさせた戦い方は凄まじく、ブロンズスライムに進化してから硬度も上がったせいで、そもそもクリーンヒットなのかどうかの判断も難しい。

 スレッドも力が出ないなり健闘したんだけど、結果だけを見ればライムはクリーンヒットを受けることなく完勝した。


 夜ならまた結果も変わりそうだけど、ライムもライムで夜の方が強いからなぁ。

 ライムの友達のスライムがフィーバー状態であり、そんなスライムたちと一緒に盛り上がっているライムを見てほっこりする。


「やはりライムが勝ちあがってきましたね」

「シーラさんの読み通りでしたね。勝てそうですか?」

「分かりません。クリーンヒットのさせ方さえ掴むことができれば、勝てる可能性は高いと思います」


 ライム相手にどう対応するのか、非常に見物。

 とりあえず……これでベスト4が出揃った。


 蓮さん、マッシュ、シーラさん、ライムの4名。

 参加者の半分近くがこの畑で働く人達ではあるが、まさかベスト4に3名も残るとは思わなかった。


 その3名と一緒にダンジョン攻略を行ったのだから、私というお荷物がいても楽々と攻略ができた訳だ。

 この3名の誰かなら、誰が優勝しても嬉しいのだけど……蓮さんは本当に強敵。


 ここまで終始圧倒した試合展開だったこともあり、体力的な余裕もあるだろうからなぁ。

 逆にシーラさんは美香さんとの死闘があったため、体力的には一番不利なはず。


 準決勝もライム相手だし、ここまで対戦相手が非常に悪い。

 少しでも休む時間を作るためにも、蓮さん対マッシュは長引いてほしいところ。


 ……そんな私の願いも空しく、試合はあっという間に終わってしまった。

 もちろん勝者は――蓮さん。


 マッシュの胞子に、魔法が使えることもバレている上、単純に蓮さんのギアが上がってきている。

 1回戦よりも2回戦。2回戦よりもこの準決勝と、明らかに強さが増している。

 将司さんとロッゾさんを倒して勝ち上がってきているし、マッシュも弱くはないはずなんだけど、何もできずに完敗を喫してしまった。


「蓮さん、凄いですね。普段の感じとは全く違う人に見えます」

「シーラさんの目からでも凄いと感じるんですね。確かに……普段は幼さが抜けていない感じがありますが、戦っている時はまさしく勇者って感じです」

「ええ、本当に勇者って感じですね。どれくらい通用するのか、試してみたいです」

「私もシーラさん対蓮さんの試合は見たいです。ライムの前ですので大きな声では言えませんが、シーラさんを応援させて頂きます」

「ふふ、ありがとうございます。佐藤さんの応援は百人力です」


 グッと力こぶを作ってから、シーラさんはライムの待つ試合会場へと向かった。

 激しい試合が繰り広げられていることもあって、石灰で円を描いただけの簡易的な試合会場はボロボロになってしまっている。


 ここまでは本当に面白いし、コロシアムのようなものを作って定期的に大会を開催したいところだけど……優先順位は下の方だなぁ。

 十年後もまだ帰れなさそうであれば、コロシアムも造ることを視野に入れるとして、今は変なことを考えずにシーラさん対ライムの試合に集中しよう。


「それでは――始め!」


 試合開始の合図と共に、いつものように透明化したライム。

 対戦相手のシーラさんだけでなく、私も見えづらくなるため止めてほしいのだが、真剣勝負でありライムの必殺技でもあるので止めることはできない。


 そこからも同じ動きで、バネの要領で試合会場を跳ねまわりながら攻撃を開始した。

 初見殺しでありながら、知っていたとしても防ぐのが難しいライムの必殺コンボ。


 私なんかじゃ絶対に避けられないと思ってしまうんだけど……流石はシーラさん。

 動きを見切っているかのように、ライムの攻撃を楽々と避けている。


 姿を捉えているとは思えないんだけど、当たる気配が一切しない。

 音を聞いて避けているのか、それとも気配のようなものを感じ取っているのか。


 とにかく達人のような無駄のない動きで、ライムの攻撃を避け続けているシーラさん。

 ただ……問題はここから。


 攻撃をどうクリーンヒットさせるかであり、シーラさんもそのことで頭を悩ませていた。

 ちなみにドニーさんは、剣の側面部分で引っぱたくようにしてダメージを与えていたけど、あれはドニーさんの力がないと難しい。


 技術はあるけど力では劣るシーラさんがどうするのか見ていると、なにやらフェンシングのような構えを取った。

 一朝一夕のものではなく、洗練されていて非常にかっこいい構え。


 そして――突っ込んでくるライムに合わせ、シーラさんは突きをぶち当てた。

 突きの威力自体は大したことないと思うんだけど、ライムが高速で動いていたことで威力も増し、一点集中で狙いすました突きはどうやら核の部分を捉えた様子。


 この一撃で透明化が解け、水のようにだらんとしたライムが姿を見せた。

 そんなライムを見たドニーさんが、すかさず試合終了の宣言をした。


「ライムを戦闘不能と見做す。よって、勝者はシーラ」


 難攻不落に見えたライムの攻撃を止めながら、一撃で戦闘不能にしてみせたシーラに盛大な拍手が送られる。

 ライムも惜しかったけど、シーラさんの方が一枚上手だった。


「シーラさん、ライム。お疲れ様でした。ライムは怪我はないですか?」


 完璧な突きを食らったライムの状態が気になる。

 未だに球体としてのバランスが悪いし、元気がなさそうにも見える。


「すみません。本気で突いてしまったので、核の部分が軽く傷ついてしまっているかもしれません」


 私とシーラさんで心配をしたのだが、ライムは大丈夫とばかりに頷いている。

 一時的なダメージや疲れだとは思うけど、念のため唯さんに治療してもらおう。


 魔物が回復魔法を受けられるかは定かではないけど、駄目だった場合は魔力塊をたくさんあげる予定。

 進化だけでなく、魔物にとってのエナドリみたいな感じでもあるようだし、寝る前に大量に摂取しておけば、明日には元気になっているはずだ。


「ライムは唯さんにお願いしてみます。なので、シーラさんは決勝の準備をしてください。少しでも体を休めた方がいいです」

「そうですね。少しだけ座らせてもらいます」


 体育座りで座ったシーラさんは、そのまま糸が切れたように眠ってしまった。

 こっちの世界に来てからある程度はマシになったけど、私は未だに寝つきが悪いため少し羨ましい。

 寝るのも才能だとシーラさんを見ながら思いつつ、私はライムを唯さんの下に案内することにした。



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