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勇者達の悔恨
「一体どうなってる…? 何で私は、未だ生きているんだ⁈ 」
完全に力尽きて仰向けに倒れたままレダンは呟く。
破れかぶれで魔神に挑み掛かった時、彼は明確に死を覚悟していた。あんなしょっぱい攻撃が魔神に通用するとは微塵も考えていなかった。ただ座して嬲り殺されるのが我慢ならなかったのだ。だが何故か攻撃は当たりこそしなかったが、魔神を怯ませ、魔神は力尽きた彼等パーティーに止めを刺す事も無く去って行ってしまった。一体何が起きたのか?
「そもそもこちらの攻撃を喰らって四散した魔神が、直ぐに何も無かったかの様に復活した事、我等に助力して下さる筈だった神が、突然消えてしまった事、全て納得がいかない。ただ間違い無いのは、我等が魔神の討伐に失敗した事と、にも関わらず我等が全員生き残った事だ。」
悔恨に満ちたレダンの言葉は更に続く。
「魔神エボニアムよ! どういう気紛れで我々を殺さなかったのか知らないが、いつかそれを最大の不覚で有ったと後悔する事になるぞ、必ずだ!! 」
勇者レダンはいつの日かの再起を固く誓うのであった。