ビュッフェのコーンスープって、妙に美味しく感じませんか?
久しぶりにエッセイを書いてみました。
内容はタイトル通り、コーンスープに関することなのですが……。
皆さま、コーンスープってお好きですか?
私はかなり好きです。
ビジネスホテルに宿泊した時に、朝食ビュッフェにお味噌汁だけではなくコーンスープがあると、とても嬉しいです。でも、コーンスープって結構お腹が膨れるんですよね。
そのため、高級ホテルのビュッフェでは少しためらいます。
結局、飲んでしまうんですけどね。それが季節限定のスイーツがメインのビュッフェだろうと。
原価を考えれば、ローストビーフや旬のフルーツが乗ったケーキをたくさん食べるほうがずっとお得な事はわかっているのですが、あのとろみのあるスープの誘惑には勝てません。
しかし、私のほかにもコーンスープ好きさんは、たくさんいらっしゃるはず。
お高めのホテルにもコーンスープがあるということは、それなりに需要があるのでしょう。
贈答用にホテルのカレーやコーンスープのレトルト詰め合わせがあるくらいですし。
今回のエッセイを書くにあたって調べたところ、コーンスープがこんなに好きなのは日本人だけだということを知りました。コーンスープは洋食ですが、欧米ではほとんど見かけないのだそうです。
ポップアート・アーティストのアンディ・ウォーホルが描いた「32個のキャンベル・スープ缶」(1962)という絵画をご覧になったことはあるでしょうか?
題名の通り、米国で有名な缶スープメーカー「キャンベル・スープ・カンパニー(1869年 ニュージャージー州 創業)」のスープ缶が、ずらっと32個並んだ絵です。
缶のデザインがオシャレ、可愛いと日本でも広まったため、絵画そのものはご存知なくても雑貨屋さんなどで見かけたことはあるかもしれません。
赤白のツートンカラーが特徴的で、雑貨では「Tomato SOUP」のデザインをよく見かける気がします。
「キャンベル・スープ 雑貨」で検索したところ、キーホルダーまで出てきました。
しかし、「32個のキャンベル・スープ缶」の中にコーンスープは描かれていません。
やはり、それくらい欧米では陰が薄いのか、単純にアンディ・ウォーホルがコーンスープを好まなかったのか……。真相は定かではありません。
ただ、日本経済新聞社がポッカサッポロフード&ビバレッジの広報に取材したところ、「コーンスープが海外では一般的ではないことは本当です」との回答が。
やはりマイナーなスープのようです。
そして残念ながら、缶のデザインがリニューアルされたため、アンディが描いた絵と同じスープ缶を現在は購入できません。
さて、ここで少し話題の方向を変えまして、「コーンスープ」という名称についてお話したいと思います。
スーパーなどでよく見かける粉末や紙パックのコーンスープ。
商品によって、「コーンスープ」だったり「コーンポタージュ」だったりしますよね。
「どう違うんだ?」と思ったことはありませんか?
私の感覚ではサラッとしたものが「コーンスープ」。とろみのあるほうが「コーンポタージュ」です。
実際のところはどうなのでしょうか。調べてみました。
まず、「ポタージュ」はフランス語で「スープ全般」を指します。
もう答えが出てしまいました。
ポタージュはスープ。つまり、「コーンポタージュ」も「コーンスープ」です。
「ポタージュスープ」にいたっては、「スープスープ」と同じ意味の言葉を重ねているため、間違った使い方になるとのこと。
そして、スープの種類では、野菜を裏ごししたりして、とろみをつけたものを「ポタージュ・リエ」
澄んだものを「ポタージュ・クレール」と呼びます。
ポッカサッポロフード&ビバレッジは「スープ」と「ポタージュ」両方の商品を販売していますが、違いについてのルールはないそうです。
DELISH KITCHENのサイトでも、「イギリスでは『スープ(soup)』と『ポタージュ』の明確な区別がありません」と記載されていました。
しかし、ぐるなび目利きシリーズ「iPPin」によると、日本では「スープ」と「ポタージュ」の意味は異なるとのこと。
野菜を丁寧に裏ごしして滑らかなペーストにしたものにとろみをつけたものが「ポタージュ」。
コンソメや出汁などがベースのさらりとしたもの全般のことを「スープ」と呼ぶそうです。
私の感覚はぐるなび目利きシリーズ「iPPin」のほうですね。日本人独特の感覚を無意識に得ていたのかもしれません。皆さまはいかがでしょうか?
ちなみに我が家の冷蔵庫にある紙パックのコーンスープを調べてみました。
スーパーで特売品だった、とろりしたタイプです。
「スジャータめいらく」の「コーンクリームポタージュ(裏ごし)」。
パッケージに記載された「裏ごし」までが商品名なのか、ポタージュで止まるのかは分かりません。
「北海道産生クリーム使用」よりも、「裏ごし」のほうがはるかに大きく書かれているので……。
同シリーズで「粒入り」も見つけました。大きく記載されているのは、おそらく間違って購入することを防止するためですね。
しかし結局、どこまでが商品名なのかは分かりません。
原材料名などと一緒に記載されている名称は「スープ(ポタージュ)」。
これを読んだ第一印象は、「抜かりないな」です。
もしかしたら、「アイスクリーム」「ラクトアイス」のように表示内容が統一されているのかもしれないと思い検索してみましたが、それらしい情報は見つかりませんでした。
うーん、こちらの真相も分かりません。
とりあえず、「裏ごし」のほうの商品には「コーンを丁寧に裏ごしし乳製品で風味豊かに仕上げました」という説明文が記載されているため、日本人の感覚での「ポタージュ」ですね。
某ホテルのコーンスープのレトルトの表示も調べてみました。
とろりとしているけれど、コーンの粒が残っているタイプ。
説明は「とうもろこし、たまねぎ、にんじんをすりつぶし、牛乳でまろやかに仕上げた風味豊かなコーンスープ」と記載されています。
あえて粒を残しているけれど、製法はポタージュですね。名称は「スープ」でした。
うーむ。今後も真相が分かるまで、もしくは飽きるまでスーパーなどでチェックしてみたいと思います。
冒頭で高級ホテルのビュッフェでコーンスープを飲むのは原価的にためらう、というお話をしましたが、ホテル基準の良いトウモロコシを使って丁寧に裏ごしして調理しているのであれば、今後は躊躇しなくても良さそうです。
何より、好きなものを選べることがビュッフェの醍醐味ですよね。(このエッセイの意義はどこへ……)
高級ホテルであっても、メジャーではないどこかの企業から卸してきた業務用スープをドボドボと寸胴鍋に入れて温めただけかもしれない、という無粋な想像はしないでおきます。
ホテル監修で良い材料を使い、丁寧な作業をしてくれているのなら機械で作ったものを温めているだけでも、まぁ許容範囲です。
理想を言えば、コース料理のスープに近い工程で調理してくれていると嬉しいです。
ホテルのビュッフェの料金は、五千円以上のところがほとんどですから……。
ちなみにキャンベルジャパン株式会社では、一缶で八〜十人前を作れる業務用製品も取り扱っています。
おそらく、日本国内のあちらこちらのお店で使われているのでしょうね。
スープだけではなく、ソースとしても使えるそうです。
濃縮タイプの製品なので、水や牛乳の分量や火の入れ方で味は変わるはず。そうなると、そのお店の味と言っても問題ないのかもしれません。
ビュッフェのコーンスープは美味しい。
私の味覚では、それは間違いありません。
そして、一から作っていなくても、一手間かけてくれていると嬉しい。そうであるなら、原価などにとらわれずに飲めるのになぁ。
という、誰得なエッセイでした。
ここまでお付き合いいただいたので、最後に豆知識を少し。
自動販売機などで売られている、粒入りのコーンスープ缶。
粒が残ってしまい、上を向いて缶の底をコンコンと叩いた経験はありませんか?
ポッカサッポロフード&ビバレッジおすすめの裏技は、「缶を45度に傾けて、ときどき缶を回しながら飲む」。そうすると粒が残りにくいのだそうです。
ここで注意点が。
最初から45度に傾けると、中身がドバッと出て大変なことになります。
残りが少なくなってから傾けましょう。
猫舌さんは特にご注意を!
もうすぐ12月。コーンスープが美味しい季節です。
皆さまにとって素敵な冬となりますように。
お読みくださり、ありがとうございました。
【参考資料】
・日本経済新聞 「日本人だけ大好き、コーンスープの謎 欧米では影薄く」(2020.1.18)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54164630Y0A100C2000000/
・CNN.co.jp 「キャンベルスープ缶、50年ぶりにデザイン一新へ」(2021.7.28)
https://www.cnn.co.jp/business/35174463.html
・ぐるなび目利きシリーズ iPPin 「知ってた?くらべれば納得できるスープとポタージュの違い」(2017.2.26)
https://ippin.gnavi.co.jp/article-9156/
・DELISH KITCHEN 「ポタージュとは?スープとの違い知っていますか?」(2020.5.25)
https://delishkitchen.tv/articles/154
・キャンベル業務用製品のご案内https://www.campbellsoup.co.jp/foodservice/