大団円とその後のお話
パン! 羽扇子を畳んだ音を合図にして、会場の警備にあたっていた近衛騎士たちが、一斉にカスト王太子(笑)とカロリーナ夫人を無理やり地面に引き倒して、関節を極めてこれを拘束しました。
カスト王太子(笑)の取り巻きたちは、血相を変えて蜘蛛の子を散らすようにこの場から逃走を図り、出口のところで警備兵に全員捕まえられます。
「無礼者! 慮外者! これは王家に対する反逆であるぞ! この手を放せっ!!」
「痛い痛いいたーーいっ! アタシは関係ないし~ぃ! 悪いのは全部このカス王子だから、放して~~っ!」
見苦しく騒ぐふたりを路傍の石よりも冷たく見据えるヴィクトワール王妃陛下。
「騒がせましたね、レティツィア。――そして会場にお集まりの皆様。せっかくの晴れの舞台を台無しにしたこと、誠に心苦しく痛恨の極みであります。成り行きとは言え私の監督が至らなかったことも原因の一つ。この埋め合わせは後日……ドナドーニ王朝に代わる新たな王室が責任をもって行うことでしょう」
「えっ、いきなり丸投げですか!?」
殊勝な演説から一転、責任と後始末を丸投げされた私と、傍らに立って苦笑いしていたレオンと思わず顔を見合わせました。
「“立つ鳥跡を濁さず”とも申します。どうせなら最後まで面倒を見られてはいかがですか、ヴィクトワール王妃陛下――いえ母上」
挙手からの発言の許可を得て、苦笑いしながらレオンがそう親し気に呼びかけると、固唾をのんで事の成り行きを見守っていた野次馬卒業生や貴賓たちの間からどよめきが巻き起こります。
「な……なっ……な、なにを? なんだお前は? ただの護衛じゃ……?」
拘束されながら無理やり首を上げたカスト王太子(笑)が、レオンを穴のあくほど凝視しました。
「エーブリエタース王国第57代正統皇太子レオンツィオ・オヴィディオ・ドナドーニ・カエレスエィスである! 王太子を標榜する痴れ者ごときが、頭が高いっ!」
まさしく王者の獅子吼と呼ぶべき一喝を受けて、近衛騎士たちが力任せにカスト王太子(笑)――いえ、ただの平民であるカストの頭を無理やり押さえて地面に擦り付けます。
「皇太子?! え、なに、どういうことぉ!? レオンツィオ王子って生まれてすぐに死んだんじゃなかったの!?!」
ついでに素っ頓狂な声を張り上げて、バネ仕掛けの人形のように顔を上げた――火事場のナントカでしょうか、一瞬にして屈強な近衛騎士の拘束を振りほどいた――カロリーナ夫人を、今度は三人がかりで押さえ込む近衛騎士たち。
淑女に対する気遣いも遠慮会釈もない、もはや猛獣に対するような本気度です。
今度こそ潰れたカエルのように二匹揃って地面にうつ伏せになったカストとカロリーナ夫人に対して、私はレオンに片手を取られてエスコートされながら一歩前に出て補足しました。
「間違いなくここにいらっしゃるのはエーブリエタース王国正統継嗣にして、王位継承権第一位の皇太子レオンツィオ・オヴィディオ・ドナドーニ・カエレスエィス殿下ですよ。証人は実母であらせられるヴィクトワール王妃陛下と、生誕を祝って祝福を授けられたパゾリーニ大司教猊下」
それに合わせて頷かれるおふたり。
「証拠は……お顔を見れば一目瞭然かと?」
レオン――レオンツィオ皇太子殿下も、芝居っけたっぷりに前髪を上げて周囲に見せつけるように睥睨します。
「おい――」
「あれって……」
「目元と瞳の色はヴィクトワール王妃陛下とそっくりだ!」
「そして金髪の色と面影は、確かに国王陛下のお若い頃を彷彿とさせる」
「気が付かなかったけど、こうして比べるとカストにも似ているな。雰囲気と体の鍛えられ方が違うので、随分と印象が違って見えるけれど」
「しかし、レオンツィオ殿下はお生まれになって、すぐに夭折されたと……?」
あらわになったレオンの素顔は、そこに取り押さえられているカスト――若い頃の国王と生き写しと評判の見た目をした放蕩息子――の顔立ちと髪の色、それに加えてヴィクトワール王妃陛下を印象付ける、ややきつめの怜悧な眼差しと琥珀色の瞳をした、つまり誰が見てもふたりの血を引いた王子であると真実思える姿かたちをしていたのでした。
卒然と理解したその場にいた全員は、慌てて立ち上がってレオンに向かって深々と臣下の礼を取るのでした。
「驚くのは無理もありません。レオンツィオが生まれたほぼ同時期にそこにいる婚外子が誕生し、こともあろうに国王陛下は妾子に入れあげ、嫡子であるレオンツィオを差し置いて――そもそも私が妊娠中も出産後も、顔を出されたのは一度切り、それも扉を開けて義務的に顔を見せただけ――『この子を次の国王とする』などと言い出す始末。このままではレオンツィオの身が危ういと危機感を覚えた私は、恥を忍んで数年前に隣国メルキオルリ大公国に輿入れされていたお従姉様におすがりしました」
それこそ先ほど話題に出た暗殺部隊――暗部の出番です。
国王自体は無能でも、連綿と培われてきた彼らの実行能力は折り紙付きです。国王が「不要」と判断した王子は、たとえ王家の嫡男であろうと人知れず闇に葬られる可能性が非常に高かったと言えるでしょう。
「幸いにも私の無理な頼みにも快く応じてくれたお従姉様が派遣してくださった密使と、信頼できる者に任せてレオンツィオを密かに匿ってもらい、さらに生まれた子は病弱で数カ月で息を引き取った……という噂を流布させたのです」
『『『『『『おおおおおおおおおおおっ!!!』』』』』』
まさに絵に描いたような貴種流離譚を前にして、近衛騎士も含めその場にいた全員も、怒涛のような感動と興奮の声をこだませました。
「れおんつぃお~~?!? 皇太子ぃぃぃ!?!」
ついでに地面に無理やりキスをさせられたまま、カストが馬車に引かれたガマガエルの断末魔のような呻き声を発しました。
「本物の皇太子がいたぁ!? んでこいつは王太子でも何でもない、ただの平民なんて聞いてないわよ~! バッカラ準男爵に言われるまま、こんなのに媚び売って股を開いた甲斐がないじゃないのよ!!」
不屈の精神と馬鹿力で近衛騎士三人がかりの拘束と重みも何のその、顔だけ上げたカロリーナ夫人が般若のような形相で喚き散らします。
焦りながらも再度彼女を地面に押さえつけようとする近衛騎士たちを制して、聞き捨てならない恨み節の内容を詳しく話すように促すと、待ってましたとばかり彼女は話し始めました。
「もともとアタシは奴隷商をしていたバッカラ準男爵の愛人兼少女娼婦のひとりだったんだけど、同い年のこいつが、中等学校に通っているってのを聞いて、『現国王の話を聞くにお前のようなタイプの女に弱いらしい。ぜひとも馬鹿な王太子を骨抜きにするのだ。世間知らずの青二才を手玉に取るなど容易いことだろう』ってことで、いいように使ってたけど――ただの平民と結婚とかないわよ、あ~~ん、もう最っ低っ!!」
そんな『真実の愛』の相方の告白に、カストの方はショックで気が抜けたらしく、だらりと力なくうつ伏せています。
「そっか、それで庶民出身だっていうのに髪が長かったんだ。おかしいと思ったんだよね。生粋の貴族か吟遊詩人でもないのに、髪を伸ばしていたって」
「手や肌もそうだよ。庶民の手ってもっとアカギレとか、井戸汲みでタコとかできてるもんだし、肌だって焼けてるもんよ」
「ぜんぜん日に当たっていない肌してた上に、いつも化粧してたし、変だと思ってたんだ」
「かと言って深窓の令嬢とは違って、なんかベショっと生理的に気持ち悪い感じだったし」
「ああ、わかるわかる!」
途端、腑に落ちたという感じで、彼女に対して違和感を覚えていたらしい令嬢たちが顔を合わせてウンウン頷き合っていました。
対照的に男性陣はまったく気が付かなかったようで、茫然としています。
そんなどうでもいい枝葉末節を放置して、立ち上がったヴィクトワール王妃陛下が王妃としてではなく、母の顔になってレオンをひたと見詰めました。
「至らぬ母で許しておくれ、レオンツィオ。百万遍の言葉を連ねても謝罪にはなりませんが、母はお前を忘れたことなど一度もありませんでした。ですが不甲斐ない我が身を恥じて、少しづつ敵対する者の権力を削り、対抗できるだけの力を得るまではお前の存在をひた隠しに隠し、本来であれば大国の皇太子として栄耀栄華を謳歌できたはずが、日の当たらぬ立場で騎士の真似事をさせてしまいました。さぞや私のことを恨んでいることでしょう」
そんなヴィクトワール王妃陛下の懺悔の言葉を前にして、レオンは屈託なく笑って返します。
「謝らないでください。母上のお陰で私は生き延びることができた。そして身分や血筋に胡坐をかいて増長するのではなく、“レオン”というただそれだけの人間として、最高の女性と巡り合い……彼女に釣り合う男になろうと努力すること、諦めないこと、達成する喜びを。何よりもお互いに切磋琢磨し、信じ合える“真実の愛”を得ることができたのですから!」
私の手を取ったままレオンがそう何のわだかまりもなく言い放ちましたけれど、何気に面はゆいですわね。
言うまでもなく、『真実の愛』というのは実際には『偽りの愛』であったカストと、カロリーナ夫人に対する当てつけでしょう。
ふと遠い目になってレオンは懐かしげに語りました。
それから改めて『王太子』という偽りの身分に付随する権力も特権も、取り巻きも虚栄心も愛だと信じていた諸々を失い、打ちひしがれて地面にうつ伏せにさせられているカストを複雑な表情で見下ろしました。
「俺が自分の出生を知って、自分の代わりにこいつがわが物顔で振る舞っている。それを知って荒れていた当時、レティが言ってくれたんだ『王侯貴族なんて言っても先祖が偉かっただけで、いまの自分とは関係ないでしょう。だけどまさしく“王だ”“貴族のふるまいだ”と誰しもが認める自分になることはできるはずよ。だったら本人の努力や才能、運なんかで我が物顔をしている相手の鼻を将来明かして、目の前で“ざまぁみろ!”って言ってやったらいいんじゃないの?』って」
随分と前、子供の頃に他愛なく語ったまさに子供の屁理屈、減らず口ですわ。
まあ実際には、遊び友達と紹介されたレオンが、いつも不貞腐れたような顔をして、周りに囲いを作っていたので、せっかく一緒に遊んでいるのにそうやって嬉しいことも楽しいことも、関係ないとばかり遮断しているのがもったいないと思っただけで、前向きになりなさいよと半ば八つ当たりで活を入れただけなのですが……。
「頭をガーンと殴られた気分だったよ。それで今日のこの日のために、必死こいて準備をしてきたんだけれど――」
「本来はもうちょっと入念な準備を進めて、ごくごく平和的に前国王には引退していただく予定だったのですが、バカな息子のせいで予定を前倒しにして、半ばクーデターのような形での王位継承となってしまいましたわね」
幸い計画はヴィクトワール王妃陛下の協力の元、最終段階まで進んでおり、一部の貴族や役人、軍人など取り込む前に事を起こしてしまいましたが、王宮の人員はほぼ味方に入れ替わっていますので、国王とエロイーザ妃の身柄の確保はほぼ確実でしょう。そのために私の信頼する侍女であるナディアが、現場での陣頭指揮にあたっているのですから。
あとは学園の卒業生や移住者として王都に潜伏していたメルキオルリ大公国の工作員が、どれだけ市民に犠牲を出さないよう騒ぎを収束させられるか、これについては準備期間が足りなかった部分ですので、文字通り神のみぞ知るです。
「しかし、いざその時になってみても案外『ざまぁみやがれ!』って言う気にはなれないもんだな」
失望を隠せないレオンの言葉にも、自暴自棄になって気力も何もなくなったカストは何の反応も示しません。
「ちょっとボタンを掛け違っていれば、コイツの姿が俺だったかも知れないんだ。ならば忘れちゃいけない、決してこうならないように……」
そう自戒の言葉を改めて口にしたところへ、ナディアが戻ってきました。
「ご報告いたします、レティツィア王女殿下。つつがなく王宮の制圧に成功いたしました。国王と愛妾の女は無傷で拘束いたしましたが、どこに抜け道があるのかわかりませんので貴族牢たる北方塔へは幽閉せずに、縄と猿轡を噛ませて床に放り出しておきました。また、一部貴族や市民が騒ぎを起こしかけましたが、こちらも問題になる前に沈静化いたしまして、いまのところ死傷者などはでておりません」
きびきびとした報告を受けて、私はナディアをねぎらい、最後の仕上げにかかるべくヴィクトワール王妃陛下とレオン、そしてパゾリーニ大司教様に向き直って、恭しく一礼をします。
「お聞きの通りです。これより急ぎ王宮に赴きまして、王位の移譲を行いたいと思います。念のために周辺国へは、エーブリエタース王家へ貸していた負債の肩代わりをする代わりに、しばしの静観を図るよう働きかけておりますが、時間が経てばどう転ぶかわかりませんので、これからは時間との戦いになるとお考え下さいませ」
私の提案に満足げに頷きながら、ヴィクトワール王妃陛下はレオンに含み笑いで語り掛けます。
「我が国の国家予算の100年分にもあたる負債を肩代わりしてくれるとは、これは完全に頭が上がりませんね、レオンツィオ」
「……まったくです。せっかく肩を並べられたかと思っていたら、いつまで経っても俺はレティに頭が上がらない」
悄然と肩を落とすレオンを当然と言う顔で見据えるナディア。
彼女もレオンの身の上を知る数少ない同志の一人でしたが、本来の身分を明かし、私の婚約者という立場を明確にしたレオンよりも、いまだに私の方を立てるつもりでいるようでした。
「えーと、大丈夫ですわ。気になさらないでください。尻に火が付いたエーブリエタース王家の負債ですので、どこの国も投げ売りで譲ってくださいましたし、エーブリエタース王国の国家予算ごとき、メルキオルリ大公国の数多ある植民地のひとつから計上される利益の一月分にも満たないですから」
だいたい今時、麦による税収で国家を回そうというのが前時代的過ぎるのよね。
貿易と産業などで莫大な富を得て、その分を文化や公共に還元しないとどんどん時代に取り残されて、あっという間に他国に飲み込まれるか、時代遅れの斜陽国家――には、この国は既になりかけていますけど――として国際的な発言力がなくなる未来しかありませんもの。
そう続けたところ、
「お嬢様、お嬢様。それ以上はオーバーキルでございます」
ナディアに止められて周囲を見回してみれば、この国の者たちほぼ全員がどよ~~んと淀んだ目で私の話を聞いていました。
「よし! 聞いたな皆っ。手遅れにならないうちに新しい時代を築かなければならない。そのためには今日から学園を巣立ち羽ばたく諸君らの協力が必要不可欠だ! 旧くて使えないものは捨て去り、俺とともにこの国を盛り返そうではないか!!」
ここでバトンタッチをしたレオンの演説に、残っていた卒業生や貴族、来賓たちが雄叫びと割れんばかりの拍手を放ち、その歓呼の声の中、私たちは用意されていた馬車へ向かって足を進めるのでした。
一歩一歩、この国の未来を築く為に。
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死んだとされていた皇太子レオンツィオ・オヴィディオ・(ドナドーニ改め)メルキオルリ・カエレスエィス・グラーティアの帰還とわずか半日で終わった首都の占有は、入念な下準備と現国王に対する反発からさほど混乱もなく終わり。
愚王と呼ばれた第56代エーブリエタース国王はその座を追われ、これをもってドナドーニ王朝は終焉を迎え、新たに国王の座に就いたレオンツィオは、隣国であり王妃レティツィア・フロリアーナ・エヴァンジェリスタ・グラーティア(この段階ではまだ婚約者であったが)の生まれ故郷である、メルキオルリ大公国との統一を宣言(国土面積こそエーブリエタース王国側が倍ほどもあったが、海に面し交易が盛んで海外に飛び地や植民地を多数抱えるメルキオルリ大公国は、国力・財力・国際影響力ともエーブリエタース王国を遥かにしのいでいたことから、あくまで対等な統一となった)。
ここに『グラーティア統一王国』が誕生し、初代国王にして《革命王》レオンツィオ大王と《賢妃》レティツィア王妃の名が、歴史上に永遠に刻まれることとなった。
グラーティア統一王国は世界の富の3分の2を掌握する『太陽の沈まぬ大国』と呼ばれたが、王家は富の独占を厳に慎み、子供のための学校無料化や保険制度の充実、都市部における上下水道の完備、道路税などの実態にそぐわない税制の見直し、科学文化活動への惜しみない助成などを推し進め、他国よりも百年進んだ社会の構築を成し遂げたとも言われている。
またレオンツィオ大王とレティツィア王妃は晩年――息を引き取る瞬間までお互いに愛し合い、妻であるレティツィア王妃の没後、わずか三日でレオンツィオ大王も彼女を追いかけるように、天の門を潜ることとなった。
7男8女の子だくさん夫婦としても有名で、これもまたふたりが成し遂げた乳幼児死亡率の大幅な引き下げ政策の好例と言えるだろう。
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なお、前エーブリエタース国王は全財産没収の上、着の身着のままで国外追放となり、助ける者も付いてくる者もなく、市民たちに石もて追われ、その後の消息は不明だという。
国を騒がせ違法な奴隷貿易で財を成していたバッカラ準男爵は、王都の広場で絞首刑に処された。
また史上稀にみる悪女と呼ばれた愛妾エロイーザも、国王と同じく国外追放の刑を受けたが、懐柔していた軍人とともに密かに王都に戻り、隠し財産を回収しようとしたところを憲兵に捕まり、再度の裁判の結果、王都広場での斬首刑(貴族は名誉のために死刑は斬首となる)が命ぜられるが、
「断末魔の豚よりも醜く騒ぎ」(当時の見物人の証言)
最期の最期まで暴れ回ったために、処刑人の斧がズレて、何度も頸部を叩き切る羽目になり、なおさら苦しみが長引く結果となった。
この結果をもとにギロチンの開発が進められたというのはあくまで俗説である。
また追記するなら、カストとカロリーナ夫人には人生を200回やり直しても足りないほどの罰金刑が課せられ、南方にある前メルキオルリ大公国の“生きて帰れない”とすら呼ばれる植民地へ送られたものの、大方の予想に反して、ある種神がかり的な悪運の良さと直感によって、金銀ダイヤモンドの鉱山を次々に発見して、わずか二十五年ほどで借金をすべて返し終えるという偉業を成した。
「カストは頭を使うことよりも、こういう動物的な勘や運に関わることをさせるのが、結局一番良かったのかも知れないな」
その話を聞いたレオンツィオ大王が苦笑したとも伝え聞く。
しかしながらカスト夫妻はその後も植民地に留まり、子供や孫たち(むろん彼ら彼女らは平民であったが、長男と次男とが留学生として、一時グラーティア統一王国へ渡航し、学生生活を送った記録があるが、特に問題は起こさない平凡な生徒であったようである)コーヒー畑の栽培に携わり生涯をそれなりに穏やかに過ごしたということである。
これにて終了です。お付き合いくださいまして、ありがとうございます。
※現在、代表作である『ブタクサ姫』の完結ブーストに向けて全力で取り組んでいる状況です。そのためこの作品のご感想に返信することが難しい状況です(いわゆるゾーンに入った状態で、他のことにリソースを分ける余裕がないため)、ご感想は真摯に読ませていただいています。本当に申し訳ございません。