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家路  作者: camel
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5私の話

 平和なはずの住宅街で事件は起こった。

 強い雨が降る二月一日二十時頃。高いスリップ音が響いた。しかし、目撃者はおらず、雨に消えなかったタイヤ痕によってホシを探し当てた。タイヤ痕での車種の確定により、隣町に住むホシに辿り着いたのだ。しかし、容疑者は否認を続けている。人を轢いたことは確かだ。掃除されていたけれど、トランクに頭髪や血痕など人を押し込めた証拠があった。

  だが、被害者の捜索は難航している。警察犬の協力もあったが、強い雨は街を洗い流した。探す当ては雑木林だ。街を隔てる広い雑木林、遺体はまだ見つかっていない。


 強い雨が続いたこともあり、捜索は延期されることも多く、被害者の痕跡は日に日にいく。

 あっという間に半月が過ぎ、我々の無能さが街で騒がれた。今日こそはと、トラッキングシューズの靴紐を固く結び雑木林に向かうそのとき、無線が入った。


 十歳の少女の行方不明だ。春日公園にいたことは目撃されている。共働きの両親は小学校に来ていないと連絡を受け、街の捜索を始めるも十八時を過ぎても見つからず。警察に連絡した。変わった子だと上官に聞いた。

 よく寄り道をするが、決まった公園で遊んでいることが多く、両親は自力で少女を探し当てていたという。しかし、今回は見つからない。誘拐の線は薄いとされたものの、春日公園は広く、また件の雑木林と接している。水色のダウンジャケットを着ているとはいえ、二月の寒さに少女が耐えられるとも思えず、捜索は当日夜から始められた。


 私の相棒の警察犬ヒビキ号に、昨日の洗っていない私服を嗅がせた。

 ヒビキは夜道を恐れることもなく、すんすんと少女の臭いを追っていく。やはり、雑木林に入っていく。一抹の不安を感じそうになるのを、奮い立たせる。ヒビキは私の感情にも敏感だ。冷静に、しかし、安心させつつ、ヒビキとともに雑木林を進んでいった。


 ジグザグに、でたらめに少女は進んでいる。獣道も恐れることなく、小さな体は進んでいったのだろう。前回の汚名を返上しようなどと、ヒビキは考えているわけではないだろうが、スムーズに進んでいる。ヒビキがこうなったらば、私は確信する。少女は必ず見つかる。先程の不安が消え、私もヒビキも速足になっていく。



 三時間後、ワンと大きなヒビキの鳴き声が響く。

 二月十五日午後二十三時三十六分、少女と猫と遺体を発見した。

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