#95 執行者・ネロ③[信頼こそ資本]
前回までのあらすじ
教会から逃げた
インダストレージ・表通り
カズ「はぁ・・・はぁ・・・追っ手は、来ていないようだな」
カズ(それにしても、何がどうなってやがるんだ。あいつは絶対にネロなのに、ネロじゃないと言い張る。ネロ自身も、あの司祭の男も・・・!)
カズ(詳しくは、この人に聞いてみないと分からない。だがどちらにせよ、この状況を招いたのは紛れもなく俺だ。俺の責任なんだ・・・!)
リーリカ(・・・)
リーリカ「あの、1つ聞いてもいいですか?」
カズ「はい、なんです?」
リーリカ「私は、いつまで目を閉じていればいいんですか?」
カズ「・・・えっ、もしかしてさっきからずっと目を閉じていたんですか?」
リーリカ「そうですよ。あなたがそう言ったんじゃないですか」
カズ「すみません。もう開けても大丈夫ですよ」
リーリカ「そうですか・・・それにしても、どうして目を閉じろだなんて?」
カズ「え。いや、確証はないんですが・・・さっきの男の目から嫌なものを感じたので」
リーリカ「嫌なもの、ですか?」
カズ「えぇ。まるであなたに危害を加えてしまいそうな、そんな感覚を・・・」
リーリカ「つまり・・・助けて、くれたんですか」
カズ「そうですね。そういうことになります」
リーリカ「どうして?」
カズ「え、どうして・・・って」
リーリカ「たしかさっき言っていましたね。私から聞きたいことが山ほどあると・・・だから助けたんですか?」
カズ「う~ん・・・」
カズ「それもそうだけど・・・そもそも、誰かを助けるのに理由なんていりますか?」
リーリカ(・・・!)
カズ「たしかに、俺はあなたから色々聞きたいことはある。ネロ・・・じゃなくてアリスのことも、あのブロイトとかいう男のことも。いかんせん状況が全く掴めていないからな・・・!」
カズ「でも、あなたが彼女らと無関係の人間だったとしても、俺は同じことをしていました。誰であろうと人の命を優先する・・・それってダメなことですか?」
リーリカ「・・・いいえ、バカなことを聞きました。いい人ですね、あなたは」
カズ「そんなこと、ないですよ」
リーリカ「あの、もう1つ聞いてもいいですか?」
カズ「はい」
リーリカ「あなたは、アリスちゃんの知り合いなんですよね?」
カズ「え、えぇ。そうですけど・・・」
リーリカ「あなたにとって、彼女はどんな存在ですか?」
カズ「え、どうしてそんなことを・・・」
リーリカ「大事なことです、答えてください」
カズ「・・・」
カズ「俺を支えてくれる・・・かけがえのない仲間です」
リーリカ(・・・!)
カズ「でも、俺はあいつのことを何も知らない。知らないから、俺はあいつを傷つけてしまった。ネロは・・・アリスは俺のことを、もう仲間と思ってないのかもしれ・・・」
リーリカ「いいえ、そんなことはありません」
カズ「・・・えっ?」
リーリカ「彼女はとても良い子です。仲間のことを心から大事にする、本当に優しい子なんです」
カズ「それは、そうかもしれないけど・・・」
リーリカ「あの子が仲間であるあなたに応えないということは、それはあの子が再び洗脳されてしまっているということ・・・」
カズ「再び洗脳・・・!?やはり、あいつは今洗脳されているんですか!?洗脳されている・・・俺のせいで!?」
リーリカ「焦らないで。あなたには私の知る全てを話します。あなたは信頼できる人だから」
カズ(信頼・・・)
カズ「俺が、信頼できる人間に見えますか?」
リーリカ「えぇ。だってあなた、いい人なんですもの」
カズ「なんでそんなこと・・・」
リーリカ「・・・どうやら、あなたは責任を感じすぎるタイプのようですね」
カズ「別に、そんなわけじゃ」
リーリカ「あなたは十分に信頼できる優しい人だと思っていますよ、私は。まぁ勘ですけど。でも、私の勘は120%で当たりますから、安心してください」
カズ「・・・そうですか」
リーリカ「自信を持って下さい。私はあなたを信頼している。そして、アリスちゃんを救える唯一の存在だと思っているんですから」
カズ「!」
リーリカ「アリスちゃんがあぁなったのは、あなたのせいじゃない。誰かに責任を押しつける子じゃありませんから。だから、あなたが責任を感じる必要はないんです」
リーリカ「あなたが今すべきことは、確証のない責任に怯えることではなく、大切な仲間を救い出すことなんです・・・!」
カズ「・・・!」
カズ(あぁ、分かってる。俺が、俺たちがネロを救うんだ・・・!)
カズ「・・・すみません。やっと、やるべきことが分かりました」
リーリカ「そう、よかった。ところで、最後にもう1つ聞いてもいい?」
カズ「なんでしょう?」
リーリカ「あなた、お名前は?」
カズ「あぁ、そういえば名乗ってませんでした。カズ。クロエ・カズです」
リーリカ「うん。私はリーリカ・センチメルト。よろしくね、カズさん」
カズ「はい、よろしくお願いします!」
信頼と信用は大事




