#78 ゼロから始めるラブインストール
前回までのあらすじ
卵求道者たちの死闘
店員「お買い上げありがとうございましたァ~!(ビブラート)」
カズ「ふぅ、これで買うものは全部か?」
ユイ「あぁ。・・・さっきはありがとう、助けてくれて」
カズ「・・・!」
ユイ「な、なんだよ。どうして黙ってんだよ?」
カズ「いや、お前が素直にお礼を言うなんて、珍しいなぁ・・・って思って」
ユイ「・・・ケッ。悪かったな、ガラにもないことして」
カズ「別に、悪いなんて言ってねぇだろ」
ユイ「さぁ、どうだか」
カズ「・・・てか、お前が俺たちのことを蘇らせてくれたんだよな?」
ユイ「あぁ、そうだが」
カズ「こちらこそありがとな、ユイ」
ユイ「ふん、当然のことをしたまでだ。お前らを見殺しになんてできるかよ」
カズ(・・・)
カズ「なぁユイ、1つ聞いていいか?」
ユイ「あ、なんだよ?」
カズ「お前さ、昨日俺にキスした?」
ユイ「・・・」
ユイ「どうして、そんなことを聞く?」
カズ「・・・いや昨日な、怒りに任せて凶魔をめった刺しにした後の記憶がほとんどないんだけどさ・・・お前が俺のことを好きって言ってきて・・・キスしてきたっていう光景だけがなぜか俺の頭に残ってるんだよ。それが夢なのか現実なのか分からなくて・・・」
ユイ「・・・お前は、どっちだと思う?夢なのか、現実なのか」
カズ「そりゃあ・・・夢だろうよ。お前が俺のことを好きで、その上キスするなんてありえないからな。でも夢にしては、やけにリアルな光景だったっていうか・・・」
ユイ「・・・はぁ、そうだよ。それは間違いなくお前が見た夢だ」
カズ「だよな、そりゃそうだよな・・・!」
ユイ「よく考えれば分かることだ、私がお前にキスなんてするわけねぇだろうが。ったく気持ち悪ぃ夢見やがって、変態かお前は!」
カズ「すみません・・・反省します」
ユイ「まぁ、お前のことは好きだけどな」
カズ「・・・へっ?」
ユイ「ほら無駄口叩いてねぇでさっさと帰るぞ。野菜の鮮度が落ちちまう」
カズ「ユ、ユイ・・・今なんて言った?」
ユイ「あ?野菜の鮮度が落ちるって・・・」
カズ「それじゃねぇ!その前の・・・」
ユイ「無駄口叩いてねぇで・・・」
カズ「いやだからその前・・・」
ユイ「・・・お前のことは好きだけどな」
カズ「・・・え?」
ユイ「おいおい勘違いするなよ、ラブ的な意味じゃなくてライク的な意味でだぞ」
カズ「え、あっ・・・あぁそうだよな、そりゃそうだ!はぁ、よかったぁ~」
ユイ(・・・っ!?)
ユイ「あぁ?何がよかったんだよ」
カズ「いや、お前が俺のことをラブ的に好きだったら、お前を傷つけることになっちまうからさ」
ユイ「・・・どういうことだ?」
カズ「なんていうか、俺には好きな人がいるからよ」
ユイ「・・・・・・・・・は?」
カズ「だから俺はお前の好意に応えられなくて、傷つけることになるかと思ったんだが・・・そうじゃなくてよかったよ」
ユイ(・・・)
ユイ「な、なぁ・・・その、お前が好きな人って・・・誰だ?(まさか、マリアなのか・・・!?)」
カズ「お前の知らない人だよ。無論、マリアもネロも知らない」
ユイ「そ、そうか!!(よかったぁ~~~!!!)」
ユイ「え、ちなみにあの、付き合ってたり・・・すんの?」
カズ「いいや、そんなんじゃない。これは俺の片思いだよ。それに、彼女に会ったのはたった1回だけだ。8年前くらいに」
ユイ「ふ~ん・・・じゃあ何、お前は数年前にたった1回会ったことある女に片思いしてるから、他の女のアタックでは揺らがないってことなのか?」
カズ「え、そうだけど?」
ユイ「た、例えばだが・・・私やマリアがお前に恋い焦がれていたとしても?」
カズ「あぁ、揺るがないな」
ユイ(・・・)
カズ「どうしたユイ、今日はやけに質問が多いが・・・」
ユイ「・・・悪いカズ、ミズキさんからの用事を1つ思い出したから急いで帰る。お前はゆっくり帰ってくればいい」
カズ「え、あぁそうか、わかった。じゃあ俺が荷物全部持ってやるから、気をつけて帰れよ」
ユイ「・・・あぁ」
ミズキの研究所
ユイ「・・・」
マリア「お帰りなさいユイさん。あら、買い物の荷物はどうしたんです?」
ユイ「それは・・・」
マリア「それに、カズさんがお手伝いに向かったはずなんですが、合流しませんでしたか・・・って、どうして泣いているんですの・・・ユイさん?」
ユイ「うぅ・・・うぅっ・・・マリアぁ~~~(マリアに抱きつく)」
マリア「えっ、ちょっ、どうしたんですのユイさん!?落ち着いて、落ち着いてくさだいまし・・・!」
マリア「・・・そう、カズさんには好きな人がいらっしゃるんですのね」
ユイ「・・・」
マリア「それで、泣いて逃げてきたと?」
ユイ「ぅ、ぅん」
マリア「はぁ。そんなことでカズさんに荷物を全部持たせるなんて・・・可哀想ではありませんか」
ユイ「・・・マリアだってカズのことが好きなんだろう。お前は平気なのか、カズには他に好きな人がいるんだぞ?」
マリア「・・・別に」
ユイ「たとえお前がカズにアプローチしても、カズの好きな人への想いは揺るがないんだぞ?」
マリア「だから?」
ユイ「だ、だからって・・・?」
マリア「そんなことでいちいち落ち込んでいたらキリがありませんわよ?それに、揺るがないというなら、揺るがせてさしあげればよろしいのではないんですの?」
ユイ「そ、それは・・・」
マリア「どうしてそんなに弱気なんですのユイさん。相手はカズさんに1回しか会ったことのない女性。それに比べてわたくしたちはずっと一緒に旅をしているんですのよ?揺るがせる機会なんて数多にあるんですから、その女性の記憶を上書きして消してさしあげればよろしいんですわ」
ユイ「うぅ、なんていうか・・・ポジティブだな、マリア」
マリア「そういうユイさんは逆にネガティブですわね。昨日カズさんとキスした人とは思えませんわ」
ユイ「うげぇっっっ!?ど、どうしてそれを・・・!?」
マリア「はぁ、これで完全に確定しましたわ。やっぱり現実でしたのね・・・」
ユイ「ちっ、違うんだマリア!あれは暴走したカズを止めるために・・・!」
マリア「分かってますわ、あなたが易々とあんなことをするような人だとは思っていませんから」
ユイ「そ、そうか。ありがとう」
マリア「・・・お2人のキスを見て正直、カズさんはユイさんに取られてしまったと思いましたわ。先を越されたと。だから、カズさんには既に好きな人がいて、わたくしたちはその土俵にすら立てていなかったようで、ちょっと安心してしまいました。ごめんなさい、ユイさん」
ユイ「・・・いや、いいんだ。昨日のキスも、ちょっと卑怯だと思ってたんだ。カズを止めるためとはいえ、抜け駆けみたいな感じがして」
マリア「ですが、これでわたくしたちは対等。ゼロからカズさんを振り向かせるんですわ。当然、わたくしがですけれども」
ユイ「へっ、望むところだよ・・・!」




