#75 神の器③[お前のことが]
前回までのあらすじ
主人公、蘇生
カズ「俺が、マリアとネロを・・・殺したんだ・・・!」
ユイ「あ、何言ってんだよ。そんなことあるわけ・・・っ!」
ユーズ<なんだっけ、カズって名前だったかな?このカズが剣を2人に突き刺して殺したんだ!>
ユイ「ま、まさか・・・あいつの言っていたことは事実だったってのか・・・?」
ステラ<そうですね、その2人の命は確かにカズという方が奪いました。ただし、敵によって操られていたからですが・・・>
ユイ「・・・そういうことか。カズ、気にするな。お前は操られていただけなんだか」
カズ「お前ぇっ・・・お前ぇぇぇぇぇぇ!!!!!(ユーズの死骸を刺突する)」
ユイ「!?」
カズ「死ねっ・・・死ねぇぇぇぇぇぇ!!(刺突を繰り返す)」
ユイ「おい何やってんだカズ!そいつはもう死んでる・・・それ以上刺しても無駄だ!」
カズ「死んでる・・・死んでるだと・・・?俺にマリアとネロを殺させておいて・・・なに勝手に死んでやがんだこのクソ野郎がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ユイ「落ち着けカズ!お前は敵に操られていただけなんだって!」
カズ「たとえ操られていたとしても、結果的に殺したのはこの俺なんだよ・・・そしてこの俺にそんなことをさせたのは他でもねぇこのクソ野郎だ・・・」
カズ「薄れゆく意識の中で、マリアとネロが俺の名前を呼ぶのを聞いた。悲しみに震え、今にでも消えてしまいそうな声だった・・・そんな2人を、俺は殺してしまった。だからよ・・・」
カズ「こいつだけは殺さないといけないのに・・・そうしないとあの2人の死が報われねぇのに・・・なに勝手に死んでやがんだお前はぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ユイ「はっ・・・待てカズ、2人なら大丈夫だ!私が蘇らせたんだからな!!」
カズ「・・・あぁ?」
ユイ「信じられないかもしれんが、この聖杯の力でマリアとネロ、そしてお前を蘇らせたんだ!だから大丈夫、この2人もじきに起き上がるんだ!」
カズ「・・・そうか、俺も結局死んでたのか。あぁそうか、だから何だ?」
ユイ「え・・・?」
カズ「生き返ったからって俺が2人を殺した罪が消えるわけじゃねぇ。だからせめて、こいつの命をもって償おうと思ったのによ・・・クソがっ、クソ・・・クソがぁぁぁぁぁぁぁ(刺突)」
ユイ「やめろ・・・もうやめろって・・・!」
カズ「俺はどうすりゃあいいんだよ!!!どうやってあいつらに対して償えばいいんだよ!!!仲間を守れねぇどころか、その仲間を殺してしまった罪を・・・俺はどうやって償えばいいんだよぉぉぉぉぉ!!!!!!」
ユイ「・・・」
ユイ(まずい・・・カズのやつ、自我を失ってやがる。こいつにはもう慰めは通じない。ただひたすらに、憎き凶魔を殺すことによって自分の罪を償おうと必死になっている・・・!)
ステラ<まずい、彼の心は憎悪に満ちています。このままでは彼の心は闇に染まり、修羅と化してしまいます>
ユイ「わかってるよ・・・そんなこと、痛いくらいにな」
ステラ<止めないのですか、彼のことを>
ユイ「そう簡単に止められりゃあ苦労はしねぇよ。言葉は届かない、力尽くで止めようにも私の力では到底止められない・・・」
ステラ<・・・では、諦めるのですか?>
ユイ「・・・まさかだろ。たとえそれらの行為が無駄だとしても、諦めるわけにはいかない・・・私は、いまの私にできることをやるしかないんだ!」
ステラ<・・・!>
ユイ「おいカズ、やめろ!!(カズの腕を掴む)」
カズ「離せ・・・邪魔だ!!!」
ユイ「離さない。カズ、お前に道を見誤らせるわけにはいかないんだ・・・!」
カズ「俺の道、だと・・・?お前に何がわかる!?」
ユイ「わかるよ・・・お前は優しい男だ。怒りに身を任せて私怨を優先するような男じゃない・・・決して、死んでいる敵にナイフを刺し続けるような野蛮な男なんかじゃないんだ・・・!」
カズ「優しいだと・・・マリアとネロを殺したこの俺がか!?」
ユイ「だから・・・それは敵に操られてたから・・・!」
ステラ<・・・>
ステラ(どれだけ真実の言葉をかけても、絶大なる怒りゆえに伝わらない。同じ説得の繰り返し・・・)
ステラ(それでもあなたは、いまの自分ができることをしようというのですね。先ほどまで私に頼りきりだったあなたが、私の力を借りようともせずに・・・)
ステラ(足掻きなさい、ユイ・ルマリアンド。たとえそれが、無意味なことだったとしても。あなたの真実の行動は、きっとよい結末をもたらします。あなたは、『神の器』を持つ存在ですから・・・)
ユイ「脱兎九族の2人から聞いた、お前があのノインとかいう少女を庇ったんだろ・・・お前の意思で!たしかにお前はマリアとネロを殺したかもしれない!だが、それは凶魔の手によるものであってお前の意思じゃない!」
カズ「だからなんだよ・・・たとえ2人を殺したのが俺の意思じゃなかったとしても、それは意思を操られる俺自身が弱かったということだろうが!!!弱かった俺が・・・マリアとネロを殺したんだよ!!!」
ユイ「違うよ・・・どうして悲観的にしか捉えようとしないんだ、カズ!お前は弱くなんかないんだ・・・!頼むやめてくれカズ、このままじゃお前が・・・!」
カズ「さっきからうるせぇな・・・お前は・・・!」
ユイ「・・・っ」
カズ「俺がどうしようが・・・俺がどうなろうが・・・お前には関係ねぇだろうが!!」
ユイ「・・・関係なくなんか、ない!」
カズ「お前さ、俺のこと嫌いなんだろ?」
ユイ「なっ、何をそんなこと・・・!」
カズ「俺のことが嫌いだから・・・いつも俺を煽り、バカにするような態度で振る舞ってるんだろ?」
ユイ「違う、嫌いなんかじゃない・・・」
カズ「何が違う・・・嫌々この旅を始めて、嫌々俺について来てたんだろ?」
ユイ「違う・・・違う・・・!」
カズ「そんな嫌いな人間がどうなろうと、お前にとっちゃあ関係ねぇ話だろうが!!!むしろ、嫌いな人間の心が闇に染まるほうがせいせいするんじゃあねぇのかよ!!!あぁぁぁぁ!?」
ユイ「・・・違うっ!!!!!!!!」
カズ「何が違う!何が違うってんだよ!!!!言ってみろよ!!!」
ユイ「・・・き、だから」
カズ「あぁ、なんつった、聞こえねぇよ!」
ユイ「私は、お前のことが好きだから・・・」
カズ「・・・は?」
ユイ「嫌いなんかじゃない・・・私はお前のことが好きだ。嫌いだったらこんな旅、とっくの前にやめている・・・。お前のことが好きだから、ここまで旅を続けてきたんだ・・・!」
カズ「・・・お、おい何言ってんだお前。泣きながら、なにをわけのわからんことを言ってんだよ・・・」
カズ「あ、さては俺を止めるために動揺させようとしてついた嘘だろ。お前が、俺のことを好きなわけ・・・」
ユイ「・・・嘘じゃない(顔を近づける)」
カズ「・・・えっ?」
マリア「うぅっ・・・」
マリア(ここは、天国?・・・いや、見覚えのある景色・・・ここは、ヘルバラード・マウンテンの山頂ですわ!)
マリア(・・・思い出しました、たしかわたくし、カズさんに刺されて・・・でも、傷もなければ痛みもありません。ということは、あれは本当に夢だったんでしょうか?)
マリア(ん、あそこにいるのは・・・あれは・・・カズさん!?)
マリア「かっ、カズさ・・・」
マリア「んっ!!!!????」
マリア「・・・」
マリア(・・・やはり、わたくしはまだ夢を見ているようですわ)
マリア(カズさんとユイさんがキスしてるなんて・・・そんなこと、現実ではありえないことですから・・・!)
先を、越す。




