#6 プリンセスは機密知らず
前回までのあらすじ
いろんな色
カズ「ユイが僧侶ってのは、まぁいいんだけどさぁ。あとの2人のジョブが納得いかねぇな」
ユイ「たしかに、私も最初はネロが武闘家で、マリアが魔法使いかと思ってた」
マリア「よく言われますわね。わたくしも本当は武闘家になんてなりたくなかったのですわ」
ネロ「私も本当は武闘家になりたかったのだが」
カズ「なぜならなかったんだ」
マリア「『適正』ですわ」
カズ「適正?」
マリア「わたくしのステータスは全体的に低いのですが、何故か武闘家としてのステータスだけは異常に高いらしいのですわ。それだけの理由でお父様に武闘家になるように言われたのです」
カズ「へぇ、そいつは心強いな」
マリア「しかし、わたくしには大きな欠点があるのですわ」
カズ「不殺の誓いでも立ててんのか?」
マリア「わたくしは潔癖症なのです」
カズ「おぎゃあ、こいつぁ全くの予想外」
ユイ「モンスターに触れられないということか。じゃあ棍棒でも使うのか?」
マリア「そんなもの使ったことありませんわ。というか問題はそこだけではないのですが・・・」
マリア「昔バールのようなもので小さなモンスターを倒したことがあるのですが」
カズ「それバールって言うんだよ」
マリア「・・・その時のバールのようなものから伝わってくるモンスターの感触が肌にまとわりついてくるようで非常に気持ち悪くなってしまったのですわ」
カズ「要するになに、モンスターに直接触れることもできなければ、武器を使っても触ることができないってことか?(要約)」
マリア「その通りですわ」
カズ「はーつっかえ(ため息)」
マリア「だから当分の間はこのグロック17でしかモンスターを倒すことができないのですわ(銃を出す)」
カズ「ファッ!?」
ネロ「おお、これは王国の警備や側近にしか武装することを許可されていない最高機密の火器『拳銃』ではありませんか!まさかマリア殿が持っておられるなんて!」
ユイ「先ほどのAKと違って小柄で可愛いフォルムだな。」
マリア「わたくしのお父様のご友人の経営する大手武器会社で製造している試験用小型拳銃をこっそり拝借してきたのですわ。ストックにもう1丁ありますわ。」
ネロ「うおおおお、マリア殿2丁拳銃!2丁拳銃じゃないか!!!かっけー!」
ユイ「うむ、程よい重量感。なかなかいい火器だな」
マリア「そう言っていただけて光栄ですわ!」
カズ「・・・」
カズ(誰も『最高機密武器の私的利用が公にバレたら極刑だぞ!』みたいなツッコミをしないのか)
~第1回、クロエ・カズのすこやか法解説~
最高機密武器とは、王室の警備の人間だけに所有が許されている拳銃や特殊装備のこと。憲法の372条に「最高機密武器の私的利用は国家に対する反乱とみなし、極刑に処す」という条文がある。
マリアは今、最高機密武器の1つであるグロック17を所有している。これがバレたらマリアはもちろんそれを周知していた我々も国家に背いた者とみなされ、極刑に処されてしまう!ゆえに俺は焦っているのだ!ひぇ~えらいこっちゃ!
マリア「どうしたのですかカズさん。スラム街の住民のように黙り込んで」
カズ(・・・しかしなんというか、このパーティにおいていちいちこの程度のことでツッコミ入れてたらキリないのかもしれないな。それに俺たちは国の命令を任されている身、国家機密を1つくらい持ってたところで、咎められはしないだろう。うん、多分大丈夫)
カズ「いや、なんでもない・・・」
マリア「あ、忘れていました!接触式爆弾と追尾式爆弾もたくさん拝借してきたんでしたわ!」※いずれも国家機密
カズ「さすがにアウトだ!!!!」
マリア「まぁ、なんですの。突然バカみたいに叫び出して!?」
カズ「なんでお前よりによって最高機密武器を2種類も無断で持ちだしてんだよ!公の目に晒してみろ!俺たち情状酌量の余地なく打ち首だぞ!わかってんのか!?」
マリア「もし見られてしまった場合は仕方ありません。わたくしがその者を始末するしか・・・」
ユイ「待て、マリアに手を汚させるわけにはいくか。私が殺る」
ネロ「私もマリア殿の代わりに殺りますとも!」
マリア「お2人とも・・・(感涙)」
カズ「なんでいい話みたいになってんの。・・・って、なんだ。空からなんか声が聞こえるぞ」
ユイ「っ!なんだあれは!」
盗賊「ヒャッハー!!!俺の名は大罪人『マイケル』!!お前らァ命が惜しければ持ってる金目のモンを全部出しなァ!」
ネロ「空から大罪人マイケルがチェーンソーを構えて自己紹介しながら勇者カズの方へ落ちてくるぞ!」
カズ「なぜ空から大罪人マイケルが・・・。って、しまった!足下がぬかるんで動けん!」
盗賊「フハハハ不覚だな!!言っとくが俺様は女子供だろうと容赦はしないほど凶悪な・・・」
マリア「・・・狙い撃ちますわ(発砲)」
盗賊「ぐびゃぁあああ!!」
[マリアは大罪人マイケルをたおした。ヘッドショットボーナス『5000P』を手に入れた]
ネロ「おおマリア殿お見事!はて、ボーナスの5000Pとは一体?」
マリア「このポイントは銃弾をリロードする際に使えるのですわ。1Pにつき17発の弾倉1つに換算できますのよ」
ユイ「当分弾切れの心配はないな」
マリア「お怪我はありませんか、カズさん」
カズ「・・・あぁ、オホン。まぁ、そうだな」
カズ「くれぐれも、人目の無いところで使うんだぞ(小声)」
鮮やかな手のひらクルー