#5 君は、何をされている方なの?
前回までのあらすじ
涙の数だけ強くなれそう
カズ「あ、そういやお前らのジョブってなんだ?」
ユイ「言わん」
マリア「黙秘権を行使しますわ」
ネロ「はっはっは、何に見える?」
カズ「ええい、このパーティにはジョブを尋ねられて素直に答えられるまともな人間はいないのか!?」
ユイ「人にジョブを聞くときはまず自分から言ったらどうだ、勇者カズ」
カズ「いや自分で勇者言うてますやん。勇者カズって呼んでる奴が『バトルマスターだよ』とか言ってきたら怖いだろ。下手なB級ホラーより怖いだろ」
マリア「勇者を騙った盗賊による新手の詐欺かもしれないではありませんの。ちょっと免許をお見せなさい」
カズ「免許なんてねぇよ。自己申告制なんだよ、こういうのは」
ネロ「仕方あるまい、私が読み取ってやろう(肩グルグル)」
カズ「読み取る?」
ネロ「私は『魔法使い』だ。今から私が勇者の手のひらに手を重ねる。重ねた後に手から放たれる光の色によってその人のジョブが分かるという魔法だ。単純だろう?」
カズ「なんかお前はじめてまともなこと話してる気がする。まぁいい、じゃあやってもらおうか」
ネロ「おう、その前に確認しておこう。赤が勇者、青が僧侶、緑が武道家、黄色が魔法使い、紫が盗賊・・・。まぁとりあえず今言った色の発光で勇者カズのジョブが判明する。では始める」
カズ「勇者カズのジョブってなんか頭悪い文やな」
ネロ「いくぞ、特殊魔法『インリン・オブ・ジョブ・トイ』!!!!(発光)」
カズ「なんか聞き覚えのある呪文名だな」
マリア「うっ、まぶしいですわ」
ユイ「・・・何色だこれ、きったねぇ色」
ネロ「少なくとも赤ではないな。では勇者カズは勇者ではないということは判明した。A.E.D.証明完了」
カズ「いやいやおかしいだろ!!俺勇者だって!王様も言うてたやん勇者カズって!!言うてましたって!てか何色だこれきったねぇな!!」
マリア「これは、憲法黒茶色ですわね」
カズ「なんだその色初めて聞いたわ!名前からして汚ねぇ色だなおい!」
ユイ「ネロよ、憲法黒茶色のジョブはなんだ?」
ネロ「うむ、憲法黒茶色ということは介護福祉士だな」
カズ「なんでだ!なんでそんな漆黒チックな色のジョブが純白感漂う介護福祉士なんだよ!介護福祉士の闇を憂いてんのか!?」
ユイ「こんなのに介護される老人が気の毒で仕方が無いな」
カズ「いやおかしい、確かに俺は勇者だ!勇者なんです!!あれっ、勇者だよな俺!?(不安)」
マリア「よくいますわよね。自分のことを勇者だと思い込んでおられる精神異常者が。はやく老人達のもとにお戻りなさい」
カズ「思い込みじゃねぇ!あ、そうだ!この2人のジョブも読み取ってみろよネロ!発光色が2人のジョブと一致したら俺は介護福祉士だと認めてやるよ!!いや勇者なんだけどね!」
ネロ「ふむ、それもそうだな。ではまずユイ殿、お手を拝借」
ユイ「はぁ、面倒だな」
ネロ「インリン・オブ・ジョブ・トイ!!!(発光)」
ユイ「・・・あ?」
カズ「なにこの色」
マリア「柳煤竹ですわね」
カズ「なんだその色初めて聞いたわ!てか何でさっきからそんな瞬時に色の種類が分かるんだよ!!!」
マリア「通信教育のおかげですわ」
カズ「金持ちのお嬢様なら通信教育じゃなくて専門家を家に呼べよ!金あるんだから!!」
ネロ「柳煤竹ということは宿題代行者だな」
ユイ「なっ!」
カズ「へ~、ユイって宿題代行者だったのか。へ~(煽り)」
ユイ「っ!ふざけるな!私が宿題代行者などと・・・そんな不名誉なジョブと一緒にするな!!!」
カズ「不名誉とか言うな。それで生計を立ててらっしゃる方もおられるんだぞ」
※諸説あります
ネロ「じゃあマリア殿もいっとくか。はい、インリン・オブ・ジョブ・トイ!(発光)」
マリア「・・・黄金色ですわね。」
ネロ「黄金色ということはホームレスだな」
カズ「金持ちみたいな色からまさかの金持ちとは程遠いジョブ!そもそもホームレスってジョブなのか?」
マリア「・・・納得いきませんわ」
ユイ「同感だ」
カズ「ネロさんさぁ、本当にその魔法ジョブを読み取る魔法なのか?」
ネロ「う~む間違いないはずなのだが・・・。あっ!!」
ネロ「そうだ、今月から『ジョブ別発光色表』が更新されて変わったんだった!」
カズ「なんだその表!?」
マリア「それならわたくしが今持ってますわ」
カズ「なんで持ってんの!?」
新たなジョブ別発光色表により、カズは勇者、ユイは僧侶、マリアは武闘家であることが無事判明された。
通信教育の賜物