#47 予選④[今は安らかに]
ロイド「・・・レオーネ・リッカ、俺の妹だ!」
マリア「あなたの妹・・・、ハッ!?」
ロイド「油断したなアホが!!」
マリア「くっっ・・・!」
実況「なんとぉ、ここでロイド選手の右ストレートが炸裂!両手でガードされたとはいえ、ケーネ選手に初めて攻撃を食らわせたぞぉぉ!!!」
マリア「やりますわね、なかなかいい動きですわ。さすがは小さいだけありますわ」
ロイド「てっめぇ・・・またバカにしやがったなコノヤロー!」
マリア「いいえ、褒めているんですわよ。光栄にお思いなさい?」
ロイド「てめぇに褒められたって嬉しくなんかねぇやい!!」
実況「一歩も譲らぬ激しい攻防が続いております!両者なにやら話しているように見えますが、ここからでは話の内容までは聞き取れません!!一体なんの話をしているのかぁぁぁ!!?」
観客「俺もケーネたそとお話したいぃぃぃぃ!!!!」
マリア「・・・ところで、少しお聞きしてもよろしくて?」
ロイド「あぁいいぜ、質問に答える前にぶっ潰してやんよ!!」
マリア「どうして妹さんのためにも、負けられないんですの?」
ロイド「ケッ、しけた質問だなぁ!決まってるじゃねぇか、金だよ金!!」
マリア「妹さんに何か買ってさしあげるんですの?」
ロイド「・・・そんな微笑ましいもんじゃねぇよ」
ロイド「アイツの治療費が必要なんだ」
マリア「!?」
実況「おおっとぉ、長く続いた拳の応酬がここで一度ストップ!!両者呼吸を整えているのでしょうか?」
マリア「治療費・・・ここでの優勝賞金でなけらばならないほど、重い病気ですの?」
ロイド「・・・ひどい熱だった。最初は風邪かなと思って医者に診てもらったんだが、医者は『風邪ではない』って答えた。俺は次に『じゃあ何の病気なのか』を尋ねた。医者は『分からない』って答えた」
ロイド「なんの病気は分からねぇが、リッカはひどく苦しみ続けている。医者が言うには『もっと都会の医者に診てもらえば、病気の原因が分かるかもしれない』とのことだった。だがあいにく、俺の家は貧乏だ。だから、都会の医者に診てもらおうにも金がないんだ」
マリア「・・・」
ロイド「そこで、俺はアンダーワールドの存在を知った。そしてトーナメントに優勝すれば多くの金が得られるということも知った。その上でチャンピオンってやつにも勝てば、さらに多くの金が手に入る!その金があればリッカの治療費も払える、それもお釣りが出るレベルでな・・・!」
マリア「・・・なるほど」
ロイド「すぐさま出場することを決意したぜ。昔からじいちゃんに武道の稽古で厳しく鍛えられてて、下手な野郎どもには負けない自信があったからよ」
ロイド「そして順調に決勝まで勝ち進み、お前と戦うことになった・・・」
マリア「・・・」
ロイド「予想以上に強い相手だった・・・、顔面に一撃食らったが滅茶苦茶痛かった・・・、今もまだ痛みが身体に響いてきやがる・・・。だがよ・・・!」
ロイド「俺よりも4つも年下のリッカがずっとベッドの上で苦しんでるんだ・・・もう何週間もわけもわからねぇ病気のせいでよぉ・・・!それに比べりゃあ俺の痛み・・・なんてこたぁねぇ・・・」
ロイド「妹を助けるためなら、こんな痛み屁でもねぇ!だから俺はお前に勝つんだ、それが兄の役目ってもんだろうがよぉぉぉぉ!!!」
実況「先に仕掛けたのはロイド選手だぁぁ!!!勢いよく跳躍し、ケーネ選手に一撃お見舞いするつもりなのでしょうかぁぁぁ!!?」
ロイド「食らえクソボケカス野郎ーーーーッ!!」
マリア「・・・」
マリア「あなたが妹さんのために戦うというのなら―――」
マリア「尚更勝たせるわけにはいきませんわ!!」
ロイド「っ、何を!?」
[ロイドの攻撃:全力の拳]
[マリアの顔面に直撃!]
マリア「っく・・・、なかなか強烈な一撃ではありませんの」
ロイド「自分から顔面に食らいにきやがった・・・、なに考えてやがる!」
マリア「・・・最後に1度だけ、あなたに敬意を表したのですわ。妹思いの優しいあなたの心に」
ロイド「敬意、だと・・・!?」
マリア「えぇ。あなたは妹さんを守ってあげなければならない。だからこそ、あなたをチャンピオンと戦わせるわけにはいかないのですわ」
ロイド「おいなに勝手なこと言ってやが・・・」
マリア「ちょっと痛いでしょうけど、我慢してくださいまし?」
ロイド「るぐうぅぅぅっっっっ!!!?」
[マリアの攻撃:普通の鳩尾パンチ]
[痛恨の一撃!ロイドはたおれた]
ロイド「く、そ・・・」
マリア「・・・」
マリア「あなたの意志、しかと受け取りましたわ」
審判「・・・ロイド選手、気絶!!再起不能により、優勝はッ・・・ロンリネス・ジェノサイディア・ケーネ選手ぅぅぅぅっっ!!!!」
―――――
―――
―
決勝戦終了後
アンダーワールド 選手控え室
マリア(チャンピオンとの試合まで1時間の休憩・・・長いですわ)
マリア「・・・」
マリア(まぁ決勝も終わりましたし、選手の控え室にいるのは必然的にわたくしだけなのですから・・・ちょっとくらい、いいですわよね?)
マリア「ちょうど一年前に~♪」
???「ここかぁぁぁ!!?」
マリア「ひゃあぁっ!!?」
???「ちっ、ここでもねぇのか!」
マリア「だっ、誰ですの!?」
???「くそう、なんか知らんけどロード歌ってる姉ちゃんしかいねぇ!」
マリア「悪かったですわねなんか知らんけどロード歌ってる姉ちゃんしかいなくて!」
???「なぁロードちゃん」
マリア「即席で変な呼び方しないでくださいまし!」
???「しゃあねぇじゃろ、今んとこアンタに関する情報ロードしかねぇんじゃからよ!」
マリア「いや、わたくしさっきトーナメントで優勝したんですけれど・・・」
???「・・・え、あ」
???「アンタもしかして、決勝でロイドと戦ってたヤツかい!?」
マリア「そ、そうですけれど」
???「ひゃー大したもんじゃ、アンタみたいな女の人がワシの孫に勝つなんて!」
マリア「いえ、それほどでも・・・って」
マリア「孫!!!??」
マリア「そうですか、ロイド選手のお爺様でしたか」
ガルシア「おうよ、ロイドは若いがなかなか素質のある孫での。未だにアンタみたいな女々しい娘っ子に負けたなんて信じらんねぇよ!」
マリア(ロイドの強さの秘密は、この方にあったのですわね)
ガルシア「んでよぉ、話を戻すんだがロイドがどこにいるか知ってるかい?」
マリア「それなら恐らく、手当所にいると思われますが」
ガルシア「そうか・・・悪かったのロード歌ってる最中に邪魔してもうて、それじゃあ失礼」
マリア「・・・あの、くれぐれも叱らないであげてくださいまし」
ガルシア「・・・なんでじゃ」
マリア「たしかに負けはしましたが、彼の拳には確かに信念が宿っていましたわ。それは優勝に値するほどに。だから優勝できなかったからといって叱りつけるのは・・・」
ガルシア「アンタ、ワシを戦闘狂かなにかと勘違いしとるんじゃないのか?」
マリア「へ?」
ガルシア「優勝できなかったなんてことは問題ではない。ワシが叱るのは、ロイドがワシらに黙って1人で大会に出てたからじゃい」
マリア「え、誰にも言ってなかったんですの?」
ガルシア「おうよ、昨日の夜から行方が分からんくなっとっての。そこで、ロイドが前にワシに対してした『地下闘技場って知ってる?』みたいな問いかけを思い出したんじゃ。もしやと思って、急いでここにやって来たら案の定おったわい」
ガルシア「リッカちゃんが病気で、ただでさえ慌ただしい状況なのに、ロイドまでおらんようなってしもうて家族や近所の方に迷惑がかかってしもうとる。だから連れ戻すと同時に叱りつけるんじゃよ」
マリア「こ、これはこれは・・・わたくしったら、何も知らずに失礼なことを」
ガルシア「いやいや構わんよ」
マリア「・・・ところで、妹さんの病状はどんなものですの?」
ガルシア「そうじゃのう、ワシも長いこと生きとるが、あんな病気みたことがない。風邪でもなければインフルなんとかでもない。でも苦しんでおる」
マリア(やはり、誰も見たことのない病気・・・)
ガルシア「まぁあくまでこれはワシの感覚の話なんじゃが、どうもリッカからどことなく『闇の意志』を感じる気がしてならんのよ・・・」
マリア「闇の、意思・・・!?」
警備員「あっいたぞ!侵入者だ!」
マリア「へっ?」
ガルシア「しまった、見つかった!」
警備員「お前だな、Bブロックの警備員を気絶させ関係者以外立ち入り禁止区間に侵入したのは!」
ガルシア「だーかーらーワシは関係者だっちゅうとるやろがい!選手の祖父やぞ!?」
警備員「いや選手と警備員とか以外は関係者じゃないから」
ガルシア「なんでや、しかもただの選手じゃねぇぞ!決勝まで行った選手の祖父やぞ!」
警備員「DAKARA NANY」
ガルシア「あぁーっ、これだから融通の利かない地下役人は困るんじゃよ!!」
ガルシア「じゃあワシは今から刹那の速さで逃げるから、達者でおるんじゃぞロードの姉ちゃん」
マリア「は、はぁ・・・」
警備員「へっボケがぁ、部屋から出させるものかよ!」
ガルシア「あっ、クルジアゴウゴウイグアナ!」
警備員「えっどこどこ!?」
ガルシア「かかったなアホが!!グランドファザーキック!!!」
警備員「ぐへぇ!!」
ガルシア「くかか、今のうちだ!!」
マリア「・・・」
マリア(いや、そもそもクルジアゴウゴウイグアナってなんですの・・・?)
クルジアゴウゴウイグアナはオラクライト地方に生息する希少種(小声)




