#1 怠惰でも勇者なので
カズ(勇者)「おい、はやく倒せよ!」
ユイ(僧侶)「やだよ、面倒くさい。マリアがやれよ」
マリア(武闘家)「うぇっ、嫌ですわ。わたくし潔癖症ですし。ネロさんがおやりなさいな」
ネロ(魔法使い)「ふははすまん、さっき呪文使いすぎて魔力切れたから無理だ!」
3人「・・・ということは」
カズ「ええい結局俺がやるしかないのかよ!!(渾身の一振り)」
モンスター「死にました(事後報告)」
[カズはモンスターをたおした。カズは経験値4を手に入れた。ユイ、マリア、ネロは経験値200を手に入れた]
カズ「お前ら経験値多っ!何もしてないくせにぃぃぃ!!!」
なぜこんな状況になったのか、話は数時間前に遡る。
―――――
ワーヘイゴイスー歴2年
ゼロサム王国 ゼロサム城 王室
王様「勇者カズよ、なぜ呼び出されたか分かるかえ?」
カズ「・・・」
王様「オホン、勇者カズよ、なぜ呼び出されたか分かるかえ?」
カズ「・・・Zzz」
王様「えっ、まさか寝てんの!?王の前で寝てんのかこの子!?しかも立ったまま!」
カズ「・・・Zzz」
王様「あっ寝てるわ!ガチで寝てるわこの子!ガチンコおやすみタイムだ!すっげぇよくもまぁ王の前で寝られるよね!どんな神経してるの最近の若い子って!?」
カズ「・・・Zzz」
王様「お~い、起きてください。呼び出されてるんですよ、王に。よりにもよって王に。寝たらダメですよ〜」
カズ「・・・うるせぇ」
王様「あっ『うるせぇ』って言った!寝言か、寝言だよな!?寝言じゃなかったらぶっ殺すよ!?」
側近「王様、『ぶっ殺す』だなんて、不適切な発言は控えてください。うるせぇですよ」
王様「そ、そうだな。一国の王にあるまじき失言であった・・・ん、今お前『うるせぇ』って言わなかった?」
側近「いいえ『ハリケーン』と言いました」
王様「あ、あぁそう・・・ん、君なんで今『ハリケーン』って言うたん?言う必要全くないよね?」
側近「うるせぇな、どうでもええやろがい」
王様「上等じゃコラァ表出ろやぁぁぁ!!」
カズ「すみません、話があるなら早くしてもらえませんか?」
王様「あ、うんゴメン取り乱してた・・・っていつの間にか起きてる!!?」
王様「え~オホン、気を取り直して改めて聞く。勇者カズよ、なぜ呼び出されたか分かるかえ?」
カズ「いえ、さっぱり」
王様「そうか。一応ね、お前は我がゼロサム王国所属の勇者なわけよ。たしかに魔王はもういない。なにせお前が倒したからなぁ。いや立派よ。もはや立派est(立派の最上級)だよ」
カズ「えぇそうでしょう(恍惚)」
王様「うん、魔王はいないという平和な状況は勇者としては暇だ。わかる、その気持ちはよく分かるよ。でもさ、勇者ってやっぱ人々から尊敬されるべき役職なわけじゃん」
カズ「ん~、そうっすねぇ」
王様「でもさ、お前魔王を倒してからこの1年余り、何してた?」
カズ「え~っとぉ、王国の見回りとぉ~(ぶりっ子の仕草)」
王様「はいダウト。もう嘘じゃん、いきなり嘘じゃん。それは王国の見回りという名のパチンコだよね」
カズ「たしかにパチンコかもしれません。しかしこれはカジノという血の気の多い民が大勢いる施設にて、悪行を働く輩がいないかの見回りを・・・」
王様「国民から多くの苦情が来ている。『勇者がカジノで暴れてる』『勇者がパチンコの台を叩いててうるさい』『勇者がいつも海物語を打っている』など、他にもエトセトラエトセトラ!渚にまつわるレベルのエトセトラだよ!!!悪行の見回りもクソも、お前が苦情の根源なんだよバカ!!このクソニートが!」
カズ「そうか、結局この国は民主主義国家だったのか」
王様「被害者のように悟らないで。で、ここからが本題だ」
王様「お前に命令を下す。魔王の残党部隊を殲滅するのだ。」
カズ「・・・え、残党いるんすか?」
王様「そう、あれは先週のことだ。ニーラレーバ地方にあるバレニラ城の研究をする調査部隊が突如消息を絶った。その後、駆けつけた救助隊がそこでモンスターの破片を発見したのだ。解析の結果、以前その地域に蔓延っていたモンスター『クィラーマスィン』の破片であると判明した。恐らく調査部隊は奴らに殺されたのだろう・・・」
カズ「ほう・・・」
王様「ということで、事情は分かったと思う。そして今一度、勇者大付属高校を主席で卒業を果たした才能のある君に命令する。魔王の残党部隊を殲滅するのだ」
カズ「無理っすね(断言)」
王様「そうか、やってくれるか。ありがとう、そう言ってくれると思って・・・、ん?」
王様「あれ、おかしいな。いま無理って聞こえたんだが」
カズ「無理っすね(曲げない意志)」
王様「あ、よかった。老衰による聞き間違いじゃなかった(安堵)」
カズ「えぇ。ていうか、平和が訪れてからというもの、修行を疎かにしておりましてね。全然戦えるコンディションじゃないんですよね。HPもMPも半分まで減っちゃったし」
王様「あ~そうかぁ。無理かぁ」
カズ「えぇ、無理なんですよ。ということで今日は新台入れ替えの日なんで失礼して・・・」
王様「・・・まぁ1人で行けとは言わんよ。私はお前が怠惰であることを見越して、お前と共に旅をする仲間を3人あらかじめ用意しておるのだ」
カズ「え?」
王様「入りなさい」
3人「はい(入室)」
王様「紹介しよう。お前と共に旅をしてもらうユイ、マリア、ネロだ」
王様の合図で王室に入ってきた3人。俺はこれから、この3人の少女と旅をすることになる。
ひたすらこんなノリでいきます