宣戦布告⑦
織音達一行が消えたと同時に動き出した蜘蛛のような物体。
その動きは、令貴夢伊切命達の予想を大きく上回るものであった。
令貴夢伊切命達は蜘蛛は自分たちに狙いを定めたものと思っていたのだ。しかし、蜘蛛は跳躍したのだ。
見上げた令貴夢伊切命達は、蜘蛛の中心にある黒い球体が大きく裂けまるで邪悪な嗤みを浮かべている姿が目に入る。
ビシュン!!
蜘蛛の口から熱線が放たれると暁賢の建物の一部に直撃する。熱線を受けた建物は爆発氏粉々に吹き飛んだ。
「なっ……」
令貴夢伊切命は明らかに驚きの声をあげた。放たれた熱線の威力が令貴夢伊切命の想定以上の威力であったためだ。
(まずい、あれが無差別に暴れれば)
令貴夢伊切命が蜘蛛の排除に乗り出そうとしたときに、蜘蛛の中心の球体に数個の口が現れると熱線を周囲に放ちだした。
放たれた熱線は周囲の建物を焼き払い、犠牲者達の苦痛に呻く声が聞こえてくる。
「おのれぇぇぇ!!」
令貴夢伊切命は怒りの咆哮を上げると跳躍する。一瞬の間に蜘蛛の高さまで到達すると剣を抜き放ちそのまま蜘蛛の足を斬り飛ばした。
足を斬り飛ばされた蜘蛛は、バランスを崩すとそのまま地面へと落ちていく。
令貴夢伊切命とすれば、そのまま地面に落ちていくのを見ているつもりはない。
「しゃああああああああ!!」
令貴夢伊切命はそのまま雄叫びをあげつつ蜘蛛の中心の球体へと剣を突き刺した。
『ギェェェェェェェ』
蜘蛛の気味の悪い絶叫が放たれる。令貴夢伊切命は蜘蛛の絶叫自体は不快であったが、自分の攻撃が効果あったことに対してニヤリと嗤った。
「とどめを刺せ!!」
地面に落ちた蜘蛛を令貴夢伊切命の剣が地面にそのまま縫い付けたところで、令貴夢伊切命が叫ぶ。
衛士達が互いに視線を交わして頷くと一斉に蜘蛛に向かって突撃した。
「うぉぉぉぉ!!」
「かかれぇぇぇ!!」
衛士達が手にした槍、剣を蜘蛛へ突き刺した。
(ん?)
令貴夢伊切命はそのときゾワリとした感覚を味わった。
(まさか!!)
令貴夢伊切命の予感が正しかったことはすぐに証明された。蜘蛛がまばゆく光り、次の瞬間に大爆発を起こしたのだ。
(が……)
令貴夢伊切命を始め衛士達の多くが爆発に巻き込まれた。
 




