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佐鮴居詰命②

佐鮴居詰命は《さごりいづめのみこと》と呼びます。


神道の神様ぽい名前にしようと思っただけですので、名前にそれほどの意味はありません。

 紅神は扉を閉めた所で転移を行うと天瑞宮の外縁に立った。


(この気配……おそらくは……)


 侵入者が結界を破った場所は幸いにも天瑞宮から少しばかり離れた場所であり、天瑞宮に到着するまで少しばかり時間的余裕がある。


(やはりあいつか……随分と長い時間がかかったものだな)


 紅神は侵入者の気配を直に感じる場所まで移動したため、侵入者が誰なのか確信した。


 紅神は侵入者を呼ぶために殺気を放つ。少しばかりの殺気であったがそれに気づかないという事はなく侵入者が天瑞宮まで一直線に向かってくるのを感じた。


 凄まじい速度で天瑞宮に向かってくる侵入者は周囲に衝撃波を発しながら向かってきていた。


 侵入者は紅神の前で急停止すると生じた衝撃波が紅神に叩きつけられる。しかし、紅神はそよ風の如くまったく影響を感じてなかった。これは常に張り巡らしている防御陣が衝撃波を防ぎきったのである。


「ほう、随分と久しぶりだが見た目はほとんど変わってないな。蓮夜」


 侵入者は紅神を見下ろしながら露骨に見下した口調で話しかけた。侵入者は三十代前半から半ばくらいの年齢の容姿を持つ男である。黒い癖毛の髪は波打っており、まるで獅子の鬣を思わせた。筋骨逞しく所々に刀痕があることが、男が決して平和的な人生を歩んできたわけでない事を物語っている。


「ええ、あんたも相変わらずのようですな。佐鮴居詰命(さごりいづめのみこと)殿()


 紅神の言葉に佐鮴居詰命(さごりいづめのみこと)と呼ばれた男は露骨に不快気な表情を浮かべた。


「小僧、殿だと? 貴様如きがこの佐鮴居詰命(さごりいづめのみこと)を殿呼ばわりとな」

「小さいことに拘るなよ。器の小ささが知れるぞ」

「口を慎めと言っているのだ。俺は神帝(じんてい)陛下の名代だぞ」

「そう言われても俺の主は創世神様であり、神帝は俺の主じゃないぞ」

「貴様……」

「まぁいいや。それで今更何しに来た?」


 紅神の言葉に佐鮴居詰命(さごりいづめのみこと)は紅神を睨みつけながら口を歪めて言い放った。


「織音はどこにいる?」

「なんのために織音を探してる?」

「それが分からぬほどお前は分別がつかないか」

「お前はいちいち他者を辱めないと意思疎通が図れないのか?」


 紅神は密かに戦闘態勢を整えつつ佐鮴居詰命(さごりいづめのみこと)を睨みつけながら言う。

 佐鮴居詰命(さごりいづめのみこと)のいう分別という言葉の意味を紅神は知っている以上、既に友好関係を結ぶ事を放棄しているのだ。


「本当に不快な生物だな……お前らは」


 紅神が戦闘態勢を整えた事を察した佐鮴居詰命(さごりいづめのみこと)はニヤリと自信ありげに嗤う。


「立場というものを思い出させてやろう」


 佐鮴居詰命(さごりいづめのみこと)は空間に手を突っ込み一本の剣を取り出した。その剣は奇妙な形をしていた。反りの入った刀とは別にもう一本の刀身がついているのである。


禍摘(まがつみ)か……」


 紅神は小さく呟くと自身の愛刀である“斬鬼紅神”を抜き放った。抜き放たれた斬鬼紅神の刀身が血を浴びたかのように紅く染まっていく。


「死ね」


 佐鮴居詰命(さごりいづめのみこと)は剣を構えると紅神に向かって斬りかかった。


 

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