不可侵協定
「それで、こちらとしてはむやみやたらに喧嘩を売ってこられるのが嫌でこんなところに足を運んだのだが……どんな風に話が進んでいるのか聞かせてもらえるんだろうね」
なるほど、神様ことあのじじいは正確に難ありと言っていたが……普段の変態的な面とは別の意味で難アリだ。
喧嘩腰で不尊、もしやる気なら手加減はしないぞという威圧感、めんどくさいしいっそ全員ぶちのめすか?という気配すら見て取れる。
それに比べて人間の国の王様たち、先ほど口を開いた二人は偉そうではあるが礼節はわきまえているようだ。
一部、多分アラン国の王であろう人はちょいちょい殺気を放っているがまぁそれは致し方あるまい。
でもって護衛の兵士さんたち、絶望で顔真っ青、この場で死ぬ可能性が一番高いし生き残っても部屋への新入許したってことで首あたりを縛られかねないからね。
さて、ひとまず魔王様からどうにかするとしよう。
「魔王様、話がこじれるので喧嘩を売るのは控えてください
というか邪魔になるようなら帰ってください」
わたしがちょっと強い口調になれば魔王様はおとなしくなってくれる。惚れた弱みと惚れられた強みだ。
「すまない……礼儀を欠いた」
このとおりしおらしく……本当に捨てられて雨にうたれた子犬の如くしおらしくなって王族に頭を下げている。
王族さんたちもかなり驚いている、まぁ恐怖の代名詞魔王様をこうも簡単におとなしくさせるんだから当然だろう。
「それで、お話聞かせていただけますね?」
当然だろ、というニュアンスを混ぜて王様達に問いかける。
ちょっぴり魔力を大概の放出して威圧感も与える。
さっきまでさっきを放っていた王族含め全ての人が顔を青くしていく、兵士さんに至っては五人いたけど三人が泡吹いて気絶した、残りふたりは冷や汗が滝のように流れてる。
そんでもって何故か魔王様が誇らしげだ、ちょっとむかついたのでお尻をつねっておく。
「ひぎぃ!」
「なんですか?魔王様、これから真面目なお話があるので静かにしていただけますか?」
にっこり微笑む、魔王様はそんな私の顔を見て何か言いたそうに口をパクパクと動かしている。
「おなかでもすきました?じゃあ草原に行ってモンスターでも狩ってきてくださいね」
そういうと魔王様はおとなしくなった、ちょっとゾクゾクしてきた。
けど今は話を聞かせてもらうべきだろうから魔王様をいじるのはこの辺にしておこう。