ところ変わって
この章は第三者視点で進みます。
つまり神の視点、神は誰だ、俺だ作者だ、神は死んだー!ということです。
ここは魔王の国のはるか南、アラン国。
時刻は丁度先が魔法の練習をしていた頃、国王は数名の貴族と酒を飲んでいた。
「それで……あの忌々しい化け物どもの巣に送り込んだ奴らはどうなりましたかな」
樽のような体型の帰属が国王にというかける。
そのニヤニヤという顔から答えは見えているのだろう。
「当然、死んだであろう。せめて化物の一匹でも刈ってくれれば重畳だな」
さきほど魔王様に蹴り殺された二人と、尋問を受けた一人の死に様についてのかけをしているのであろう。
貴族たちは口々にやれ食われただのやれ潰されただのと硬貨を出して騒いでいる。
それをとても愉快そうに国王が眺めている。
そんな時だった、城下町の北側からパリンッという何かが割れたような音が、国中に響き渡った。
その音は国を守るためにあらゆる手段を用いて造った、通称【魔法の盾】と呼ばれる対魔法用のシールドが破られたものだが、大半の人はそれがなんなのか理解できなかった。
「今の音は?」
「多方【魔法の盾】に鳥が当たったのでしょう」
貴族の一人が愉快そうに笑った、周りの貴族も、国王も、見張りの兵士も笑っていた。
しかし、別室にいた魔道士にはそれがどういうことか瞬時に理解してしまい、身の回りの物をかき集めていた。
魔道士は【魔法の盾】が割られた位置から魔族の報復だと考え、そして人間では傷一つ付けられなかったそれをいとも容易く破る魔族の力を感じ取り逃げる準備をしていた。
そのことを欠片ほども知らなかった国王たちはあいも変わらず酒を飲んでいたが、それは貴族の一人の頭がサキの放った魔法の矢で消し飛ぶまでだった。
サキのはなった魔法の矢は元はただの……ただのというとその大きさから語弊が出てくるが、基本は普通の火の玉だった。
サキはそれを超圧縮し、超高温且つ超高密度となった。
それを矢の形にしたことで飛距離が伸び、貫通力も伸びといった感じになった。
結果、矢は触れる前に城壁を溶かし、音もなく貴族の頭を消し飛ばし、再び城壁を溶かしながら南へ消えていった。
余談ではあるがこの矢はあと三回、世界を廻ってこの城を貫いたがそれはまたあとのお話。
またこのことに国はパニックとなり、半年の月日が流れる頃には国王は魔族にちょっかいを出し国を聞きに陥れた反逆の首謀者として、帰属はそれに同調したとしてそれぞれが裁かれる結果になったがこれも後のお話。
そして、この魔法を放ったサキが、この世界の人類が滅亡するまで【神と魔王に愛された大賢者】【神の加護を受けた世界そのものの愛娘】【すべてを破滅に導く魔王が唯一心を許した麗しの魔導超越者】と言われるようになるのは別のお話。
そして何より、サキが死んだ後に天界で神様が数日間ぶちのめされ続けたのは……別のお話