表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

05 霊戦――霊的アイアンクロー

さて、話は東京に住んでいた駅のすぐ近くにあった家での事。

この家はけっこう、不思議で奇妙でイヤな体験を多くしたが、

今日は、その中でもとびきり奇妙である。


ある夜。

寝床で目をつむっているのだが、ぜんぜん寝入る事ができない。

眠りたいのに、頭が妙にハッキリしていて、眠れないのだ。

体感的には目をつむって、もう30分はたっているようなかんじだった。


こういう状態はストレスが溜まる。

明日は会社で早いんだから、さっさと寝たいのに。

横を向いて寝たり、枕の位置を変えたりして…だんだんと意識が無くなり、

眠りに入ったころだった、と思う。


横に誰か立っている。

一人部屋で寂しい一人暮らしだ。

泥棒か!?

いや、戸締りは一応、しっかりかけたつもりだ。

だとすれば、なんだ? --霊?

霊なのか?

しかし、しかしだ。

眠りにつけずにイライラしていた僕は、やっと眠りかけていたのに、

妙な霊現象でまた眠れなかった事で、怒りが湧いてきたのである。ふつふつと。

だいたい、霊とはいえ、人の寝床に勝手に入ってきやがって、

なんの権利があるってのか。何様のつもりだ。霊様か。


とはいえ、目を開けるのは怖い。

目を開けたら、すぐ目の前に人の顔がドアップで笑っていたらちびってしまう。

そんなありがちな手に乗るものか。

無視。そう、無視する事にした。


するとどうだろう、横で立っていた人の気配は頭の方に移動し、そこに座って、

僕を見ているような感じと思えた。

謎の人の気配は、顔を僕の頭の右上あたりにおいて、見下ろしているようだ。

しゃがんでいるので、けっこう気配の顔が近くに感じられる。


正直、むかついた。

なんだ? 僕の寝顔をみつめておもしろいのか?

怒り。

そして、僕は、目をつぶったまま、右手をあげ--人の気配の頭をがっしりと

つかんだのだ。

おお? 産毛が生えてる。ちょうど手の平が頭をおおうような感触。

そんなに大きい頭じゃないな、子供か?

ええい! くらえ! アイアンクロー!

僕は手に力をこめて、気配の頭をつかむ手にギューーーーっと力をこめた。

はははっははっははっはっは 眠りの邪魔をするからだーー!


気がつくと、誰もいない、いつもの夜の僕の部屋。

夢だったのか? いや、妙にリアルな頭の感触が手に残っている。

-----

ぼ、僕がさっき、つかんだ頭って、いったい何?

産毛の感触が手のひらにハッキリ残っていたのだ。


その正体が霊だったとしても、実在した人間だったとしても、

どっちでも怖い体験でした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ