03 廃屋の謎――滅びし家の守護者
子供のころ、探検ごっこをしませんでしたか?
今日はそんなお話です。
子供のころ住んでいた場所は埼玉県にありながらど田舎だった。
朝方にはキジやらが「ケーンケーン」と鳴きながら田んぼを
飛び回っていたりするほどの田舎だったので、探検すべき場所はいくらでもあった。
我々は尊敬する川口宏隊長にならい、近所に潜む未知なる物を
探求しなければならなかったのである。
そう、これは義務であったのだ。
ははは、不思議よ、未知よ、今、僕たちが行くからまっていろ!!
そんなわけで、小学校のなかよし数人組探検隊は今日も活動するのだった。
ある日の探検は、川沿いの道の先にあるという一軒の家だった。
すでに人なく、廃墟となっているという。
そこに、そこにだ。
「なんとな、そこの廃屋にな…死体があったって」
「な、なんだってーーーーーーーーーーっ」
「さらにな、俺のかあちゃんが幽霊を見たって」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお?」
--廃屋--死体--幽霊--。
燃える、燃えるぜ、探検隊魂に火がついたぜ。
ここはXX沼川のほとりにある道である。
この道の先に見える林に隠れた廃屋、そこに死体があり、幽霊が出るというのだ。
我々探検隊は、その噂が真実であるのか、その目で確かめるため、
前人未到の危険な舗装道路をぬけて、危険な石がゴロゴロとキバを剥く砂利道に入り、
危険な毒ヘビや人食い植物が潜むという林に突入し、謎の廃屋に突入しなければならない。
我々は巨大なトラックの襲撃や凶暴な原住民の襲撃を「こんにちは」しつつさけ、
ついに廃屋が隠された林にたどりついた。
NPCの数十人がすでに命を落としている。
彼らのためにも今回の探検は成功させなければーー。
「隊長、みてください!!」
「なんだ、おおっ」
謎の廃屋--未知の文明が作り上げた不気味な一軒家があった。
林にさえぎられ、昼なのに薄暗い。
すでに半壊しており、居間とおぼしき部屋の壁はすでになく、外から中が見える。
「こ、ここが噂の--!!」
我々の視線が一点に集中した。
半壊した居間の中央に本が重なっている。
「おおおおおおおおおおおおおお」
我々は死体を発見したのだろうか? それとも未知の秘宝?
「おおおおおおおおおおおおおお、大人の本だあああーーーーーーーーーーーっ!!」
そう、我々は秘宝を発見したのである。
居間の中央に重なった本は、いわゆる「すけべえ本」だったのだ!!
おネエちゃんが半裸で悩ましいかっこで寝そべっている写真!!
「す、すげえええええええーーーーーーーーー」
探検隊はすけべな小学生の興味津々な大人文化体験祭りとなりつつあった!!
しかし、しかしだ!!
秘宝には守護者--ガーディアンがいたのである。
その時、ガサッと音がしたのだ。
我々は全員、びくっと緊張した。
背筋に走る悪寒・冷や汗--そういえば、誰かが言っていていたな。
幽霊を見た--と。
「ゆ、ゆうれい…」
その時、物音がした方から、影が飛び出したのだ。
デ、デカイぞ、僕たちの腰くらいまである巨大な影--二本足で、黒くて--
な、なんだ? と僕たちが思うより速く、その影は怪鳥音を発しながら襲ってきたのだ!!
「キャッシャアアアアアアアアア!!」
「しゃ、しゃも? 軍鶏じゃないかああああああああああ!!??」
しゃも とは闘うニワトリだ。格闘家だ。軍人だ。
だが、今はそんな事はどうでもいいのだ。ヤツは、殺気をその身から発し、居間の奥から
僕たちに向かって突っ込んできたのだ。
目に凶悪な光がある。
こ、殺される!?
その目を見ただけで、僕たちは無意識に回り右して逃げた。
逃げた逃げた、一目散に。
一緒だった友達の確認もせずに。ここに、なかよし探検隊解散す。
幸い、恐怖の守護者は追ってきてはいなかった。
しかし、謎が残った。
なぜ、あんなところに軍鶏がいたのか?
そういえば、大人の本が積み重なっていた手前に、なんか膨らんでいる所があったような?
新聞紙がかかってたけど…人が横になっていたかのような膨らみが…
よそう!! この話は深く考えると、怖い何かを思い出しそうだから。