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チア|ふぁっとフェイズ
気づいたら、
足は、水族館へ向かっていた。
考えなくても、
体が、知っている。
——もう、いやだ。
泳ぐことも、
期待されることも、
見られることも。
元に、戻りたい。
水のあるところへ。
揺れていい場所へ。
息を切らして、
入口をくぐる。
あの水槽。
そこに——
いた。
砂から顔を出して、
ゆらゆらしている。
あれ、
わたしだ。
でも、
ちがう。
「……おーい」
水の向こうで、
声にならない声が、揺れた。
——大丈夫?
胸の奥が、
きゅっと鳴る。
「……ふぁっ……」
チアは、
水槽の前まで、駆け寄る。
ガラス越しに、
見つめ合う。




