禁じられた愛の魔法 ~エルフが神の世界にて~
エルフが偉い世界、少女は禁じられた魔法を使う。
「バカだね、魔法を1つも使えないなんて」
「私が魔法を使うときは、大切な者のために死ぬときです」
―数ヶ月後。
そして、今がその魔法を使うとき。
寮。
部屋の外から聞こえてくる、にぎやかな声。
それもそうだ、明日は卒業式なのだから。
いつもは静かな魔法使い見習いたちも、はしゃぎたくなる。
エルフに仕える人もいるだろう。
この世界の国々の長は、全てエルフ。
そうでないといけない、エルフでなければならない。なぜなら、エルフは神様に最も近い存在。長命、魔法を全て使うことができる、そして知識も豊富。神様はエルフとして天界から降りてきている、という人もいる。
学校に、たまに来てくれていた、この国の長。
卒業する前に、私は使う。
一族に伝わる、秘密の、禁じられた魔法を。
本だが、本とは言えない。
なぜなら、その本は真っ白だから。
真っ白、何も書かれていない。題名すら。
「怖くないよ、私。
これからは神様の近くにいる、ずっと、ずっと」
そう、神様と言っても変ではない、エルフ、エルフ様の近くに。
その本らしからぬ本を手に取る。
そして、それに集中する。
禁じられた呪文を、口にする。
「あ、あ、あ」
しゃべることはできないしゃべるってなんだっけ。
わたしはきんじられたまほうをつかって。
このほんにわたしをわたしがこのほんになる。このほんにわたしのすべてをうつすうつすってなんだろう。
「さ、よ、う」
あいしてた。
―1人の魔法使い見習いが消え去った後。
「これは…、少し前に聞いた噂の」
わたしは、それを取る。
そして、読む。
「見つかったか!?」「いや、見つからない!」「卒業式は始まってるぞ!」
「黙らないかね? 餓鬼共」
「「「はっ! 申し訳ありません、長様!」」」
「…それもやめないかね、教師だろう? みっともない、校長や教頭が敬礼するんじゃないよ、学校で」
やれやれ、とわたしは首を振る。
「あの子は捜さなくて結構、わたしが見つけた」
「「「流石エルフ!」」」
「あのねえ」
「ヒトっていうのはわからないな、なぜ禁じられた魔法を易々と使うのか」
禁じられた魔法、噂でしか知らなかった。少し前、100年前だったか、200年前だったか、それくらいに聞いた、噂。あの頃はまだ幼い外見だった。たまたま聞こえた。本当に餓鬼だったから、「いつかわかるだろう」て、思っていた。機会を逃した。今は、ヒトで言うと20代の外見だけどね。質問すればよかったよ。
1人の人間を本に移す。
知識、思っていたこと。それを本に全て移す。
移すと、この世から消え去る。死体すらない。記憶は消えないが。いや、あくまで噂だから、わたしにもよくわからない。
『あいしてた』
最期の言葉。
「なぜ愛してくれていたのに使ったのか。卒業するからか? 卒業したら2度とわたしに会えないから」
魔法を1つも使えなかったから。
いや、使わなかった、なのかもしれない。
『大切な者のために死ぬときです』
確か、そう言ってたか。
「ヒトってのは、わからないねえ」
けど、なんか寂しいわたしも理解できない。
読んで頂き、ありがとうございました。




