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禁じられた愛の魔法 ~エルフが神の世界にて~

作者: ヤスヤナ
掲載日:2025/11/06

エルフが偉い世界、少女は禁じられた魔法を使う。

「バカだね、魔法を1つも使えないなんて」

「私が魔法を使うときは、大切な者のために死ぬときです」


―数ヶ月後。


そして、今がその魔法を使うとき。

寮。

部屋の外から聞こえてくる、にぎやかな声。

それもそうだ、明日は卒業式なのだから。

いつもは静かな魔法使い見習いたちも、はしゃぎたくなる。


エルフに仕える人もいるだろう。

この世界の国々の長は、全てエルフ。

そうでないといけない、エルフでなければならない。なぜなら、エルフは神様に最も近い存在。長命、魔法を全て使うことができる、そして知識も豊富。神様はエルフとして天界から降りてきている、という人もいる。


学校に、たまに来てくれていた、この国の長。


卒業する前に、私は使う。

一族に伝わる、秘密の、禁じられた魔法を。




本だが、本とは言えない。

なぜなら、その本は真っ白だから。


真っ白、何も書かれていない。題名すら。


「怖くないよ、私。

これからは神様の近くにいる、ずっと、ずっと」

そう、神様と言っても変ではない、エルフ、エルフ様の近くに。


その本らしからぬ本を手に取る。

そして、それに集中する。


禁じられた呪文を、口にする。




「あ、あ、あ」

しゃべることはできないしゃべるってなんだっけ。

わたしはきんじられたまほうをつかって。

このほんにわたしをわたしがこのほんになる。このほんにわたしのすべてをうつすうつすってなんだろう。


「さ、よ、う」

あいしてた。




―1人の魔法使い見習いが消え去った後。


「これは…、少し前に聞いた噂の」

わたしは、それを取る。


そして、読む。


「見つかったか!?」「いや、見つからない!」「卒業式は始まってるぞ!」

「黙らないかね? 餓鬼共」

「「「はっ! 申し訳ありません、長様!」」」

「…それもやめないかね、教師だろう? みっともない、校長や教頭が敬礼するんじゃないよ、学校で」

やれやれ、とわたしは首を振る。

「あの子は捜さなくて結構、わたしが見つけた」

「「「流石エルフ!」」」

「あのねえ」


「ヒトっていうのはわからないな、なぜ禁じられた魔法を易々と使うのか」

禁じられた魔法、噂でしか知らなかった。少し前、100年前だったか、200年前だったか、それくらいに聞いた、噂。あの頃はまだ幼い外見だった。たまたま聞こえた。本当に餓鬼だったから、「いつかわかるだろう」て、思っていた。機会を逃した。今は、ヒトで言うと20代の外見だけどね。質問すればよかったよ。


1人の人間を本に移す。

知識、思っていたこと。それを本に全て移す。

移すと、この世から消え去る。死体すらない。記憶は消えないが。いや、あくまで噂だから、わたしにもよくわからない。


『あいしてた』

最期の言葉。


「なぜ愛してくれていたのに使ったのか。卒業するからか? 卒業したら2度とわたしに会えないから」

魔法を1つも使えなかったから。

いや、使わなかった、なのかもしれない。

『大切な者のために死ぬときです』

確か、そう言ってたか。


「ヒトってのは、わからないねえ」

けど、なんか寂しいわたしも理解できない。

読んで頂き、ありがとうございました。


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