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人助け
ある日、A男とB男が町から離れた川沿いを歩いていた。
その途中、川で溺れている人を見つけた。
A男は川に入りその人を助けようと、すぐに服を脱ぎ始めた。
しかし、B男はその場で足踏みするだけで、服を脱ごうとしない。
「何をもたもたしているんだい⁉早くあの人を助けないと!」
「僕は水が苦手なんだ!泳ぐのもあまり得意じゃないし……!」
「つべこべ言ってる場合じゃないだろう⁉」
A男はB男の服を無理矢理脱がすと川に突き落とし、自分も飛び込んだ。
A男は溺れていた人を助け出したが、B男は溺れてしまい、先に溺れていた人と一緒に病院に運ばれた。
その後、A男とB男の話は沢山の人に広まった。
その結果、A男は溺れていた人を助けたことよりも、B男を川に突き落とした事で有名になり、非難されるようになってしまった。
自身で人助けや親切をする事は立派であるが、それらを他者に強要する事はただの暴力も同然である。




