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九九と掛け算
ある二人の小学生、AとBがいた。
Aは九九が得意で、すぐに暗唱できるようになった。
Bは九九が苦手で、なかなか覚えることができなかった。
ところが、数年経つとBの方が速く掛け算を計算できるようになってきた。
不思議に思った先生が二人にそれぞれ話を聞いてみた。
するとAは、あくまでも九九、すなわち1×1から9×9までの答えを暗記していただけで、掛け算の計算自体が速かった訳ではなかったことが判明した。
反対にBは暗記はできなかったが、計算する能力は少しずつ確実に磨き上げていたのであった。
正解を覚えることはテストで百点をとるためには適している。
しかし、社会ではテストの点数に応じて給料や食物が与えられることはない。
暗記する能力は、あくまでもそれが正解となる根拠を覚えるために使われるものであり、正解を導き出すためには考える能力を磨くべきではないだろうか?