第一章:七夕の願い
固い絆で結ばれた親友である由野七瀬と椿己真白。いつも通りの毎日かと思いきや…
「真白!お前いつの間に彼女できたんだよ!?」
突然親友に彼女ができてしまった。。。
いつも周りの人優先の行動をする真白に彼女ができたことを祝いつつ七瀬もそんな青春を味わいたいと願う。
そんな事を考えながら歩くと子供会会館の入り口に竹と短冊が飾ってあるのに気がついた。いいことを思いついたと言わんばかりに七瀬は短冊に「彼女がほしい」と書いて結ぶがその先には意外な展開が…?!
第一章:七夕の願い
夏の訪れを感じさせる暖かな風が吹く中、由野七瀬は日常の喧騒から少し離れた静かな公園を歩いていた。最近、親友の椿己真白が彼女を作ったという驚きのニュースが飛び込んできたからだ。真白が彼女を作るなんて、いつも周りの人を優先する彼らしいと笑いながらも、七瀬は心の奥で少し寂しさを感じていた。
「真白、お前いつの間に彼女できたんだよ!?」七瀬は驚きながらも、友人の幸せを心から祝った。しかし、その瞬間から彼女自身も青春の一ページを刻みたいと強く思うようになった。
考え事をしながら歩いていると、子供会会館の入り口に竹と短冊が飾られているのに気づいた。七夕の季節が近づいていることを思い出し、七瀬は立ち止まった。「あ、いいことを思いついた!」と心の中で呟き、笑顔を浮かべた。
短冊に「彼女がほしい」と書くと、七瀬はそれを竹に結びつけた。願い事を書いた短冊が風に揺れる様子を見つめながら、彼女は心の中で強く願った。「いつか、私にも素敵な彼女ができるといいな。」
その夜、七瀬は夢を見た。夢の中で彼女は、自分が理想とする彼女と出会い、楽しい時間を過ごしていた。目が覚めると、現実に戻ったことに少しがっかりしながらも、七瀬は新しい一日を迎えるためにベッドから起き上がった。
学校に行くと、真白がいつものように元気に話しかけてきた。「おはよう、七瀬!昨日の話、驚いた?」彼は笑顔で尋ねた。
「おはよう、真白。うん、びっくりしたよ。でも、本当におめでとう。」七瀬は少しの寂しさを隠しつつ、笑顔で答えた。
その日の放課後、七瀬は再び子供会会館の前を通りかかった。短冊がまだ竹に結ばれているのを見て、彼女は自分の願いが叶うかどうかを考えた。その時、突然背後から声がかかった。
「七瀬さん?」振り返ると、そこには見覚えのない少女が立っていた。長い黒髪と穏やかな笑顔が印象的な彼女は、少し緊張した様子で七瀬に近づいてきた。
「私、昨日ここで短冊を見たんです。あなたの書いた『彼女がほしい』って願い事。それで、もしかしたらと思って…」少女は少し恥ずかしそうに言葉を続けた。「私も、同じような願いを持っているんです。」
七瀬は驚きつつも、どこか心が温かくなるのを感じた。「本当?それなら、私たち友達になれるかもしれないね。」
「そうですね。私、鈴木美咲と言います。よろしくお願いします、七瀬さん。」
「こちらこそ、よろしく、美咲。」七瀬は美咲と握手を交わし、新たな友人との出会いを喜んだ。短冊に書いた願いが思わぬ形で動き出し、彼女の心は期待に満ち溢れていた。