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#73 初対面で自虐ネタぶっ困れても困るんだが


 ……いや、俺こいつらのことなーんもしらないけど。


「そういえば、浅桐様は……まぁ、この神社の主祭神なのは知ってるんですけど……蓮華さんって、どんな方なんですか?」

「うにゅ? れんれんはねぇ、ヒキニートだよ」

「自虐が過ぎる!」

 ってか何もわからん! と、突っ込むより他なく。俺は絶叫する。

 にっこり笑顔で、端的すぎる自己紹介をされたが……自己紹介か!? これ

 自分でヒキニートっていうの、どうかと思うの……もっという事あるんじゃないの……? っていうか、冒険者だろ? 冒険者やってますくらいは言えるんじゃないのか……? 推薦状掛けるくらいには高ランクなんだろ……?

 なんか、不安というか、心配になってきたんだが?


「あはは。ノリがいいねぇ、君。……高ランク冒険者とか無限書庫司書とか、資格や肩書はいっぱいあるけどさぁ。実際ここでヒキニートしてるのが今のれんれんだからねぇ……。生活費も翔真君におんぶにだっこだし?」

「ガチのニートですやん……」

「そうです。私がニートです」

 胸を張ってるが、そこ誇る場所じゃないよね……いいのか? 大人が……。いい歳した大人だよな? 

「ん? 蓮華、魔道教の指導教官辞めたのか?」

 目を瞬いて首を傾げるユウキ。

 ……一応部下になるのか? ユウキにとって蓮華さんって。……いや、神は関係ないのか……? 魔導教のそこらへんのシステムよくわかんない。

 ユウキに対して蓮華さんは手を振って否定し、苦笑を零す。

「やめてないよー? お給料は頂いてます。おテレなのだ」

「ニートちゃうやん……」

 在宅ワークしてますやん。

「といっても、相談役みたいなもんだけどねぇ……」

 ほとんど仕事ないに等しいよ。と苦笑する蓮華さん。

 謙遜しないで欲しい。

 ……なんか疲れた。

 俺は温くなった緑茶をすする。……茶がうめえやぁ。

「おかわり居るかい?」

 と、蓮華さんが急須を揺すっているので俺はありがたくおかわりを貰う。

 ほっかほっかに湯気を出している緑茶を一口。

 やっぱおちゃはうめぇや。

 しばらく和みながら緑茶を啜っていた俺だが、ふと、思い出した。

 ……いや、あんまり関係ない話なんだけどね。


「そういえば、もうすぐ母君の誕生日なんだよね」

「ほーぉ?」

 俺の呟きに蓮華さんが身を乗り出して反応する。

 アップになった立派なお胸が視界を占有する。……すっげえや。

 あまり他人の体をじろじろみるのも憚られるが……それでもすっげえや。

「誕生日プレゼントに、包丁でも買って帰ろうかなって思うんだけどさ」

 蓮華さんから目線を逸らして言えば、ユウキが「なんでまた包丁?」と問うてきたので「包丁のキレが悪いから。あとついでに俺用の包丁も買おうかなって」と答えておく。

「東北区は良い刃物を打つ刀工が多いからねぇ。吟味すればいいぞぉ。そうと決まればさくっと良い包丁探しに行こう」

 浅桐様が立ち上がり、歩き出す。

 蓮華さんが「わあい、お出かけ―」と後を追った。

 俺とユウキは顔を見合わせて「行く?」「行くか」と掛け合った。


 気絶したままのきなこをキャリーバックに寝かせて背負い、神社を出る。

 長い階段を下れば、駅前の広場に出て……そこから放射線状に道が走っている。

 その中のいくつかの道は、土産屋や飲食店の並ぶ通りになるが、目立つのは刀工の工房や鋳造所や工場で。どこからともなく鉄を打つ音、加工する音が響いている。

 鉄の町という異名も頷ける。


「浅桐様って、刃物の神様じゃないですか?」

「おう、刃物を司ってるぜ?」

「よい包丁って、一目でわかるもんなんですか?」

「……良い包丁、ねぇ……人によって変わってくるじゃろ?」

 俺の疑問に、浅桐様は苦笑を滲ませて答える。

「よく切れる……切れやすくするには研ぐことが必須で、研ぎやすい包丁はよく切れるようになるからいいものだけど、耐久性とトレードオフじゃん? あと、手入れが苦手な人なら研がなくていい包丁のほうがいいわけで……漠然と言われても困るな」

「あー……俺のはバチクソキレる包丁がいいけど……」

「ガキなのに……。お前6歳だよな? 初包丁だよな?」

「6歳ですけど、前世で取った杵柄がありますから」

「あぁ……転生者だっけ……なら、俺御用達の店に連れてってやろう。妖刀かってくらい切れるから」

「まな板切れたら困るんですが?」

「…………、……ま、まぁ……大丈夫。ダイジョウブ……だよ」

「浅桐様?」

「ダイジブダイジブ」

 目線を泳がせて片言で喋りだす浅桐様に不安を感じる。

 お、おい? 切れやすいにも限度はあるからな? 浅桐様?


 暫く歩いていた俺達。

 浅桐神社の主祭神やら、創世神やら、俺と一緒に歩いている面々はそうそうたるメンバーなんだが、周囲の人は気にも留めない。

 ……そういえば、神社の境内でも、浅桐様は気に留められてなかったな。

 ユウキは神様っていうよりは「うぉ! すっげぇ美人!」みたいな目でちらちら見られていたが。

 

 この世界には神様が当たり前にいるから、みんなそこまでありがたがってない……のか? というか、あれか。『神様がこんなところでほっついているわけがない』って先入観があるから、まさかこれらが神様であると思ってない、のか。 


 俺も、知らなかったら浅桐様を神様とは思えない。

 偽装がうまいというか、何というか……気のいいイケメンなあんちゃんにしか見えないんだよなぁ……。

 ユウキもだが。美女ではあるが。こいつがくっそえらい神様ですと言われても……知らなければ「は?」としか言えないよね。頭沸いてるんかと俺だって言いたい。

 

 ……神域で浅桐様の本来の存在感を感じているので、今更神っぽくなーいとかいわないですけどね? 畏れ多いわ。

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