#65.5 曾祖母と母の会話
† † †
「浮かれポンチしてるわねぇ……」
鼻歌すら歌いながら風呂へ向かったハルトの背中を見送り、ハルトの曾祖母……セレニエは苦笑する。
「思ってるより……楽しんではいるようだけど……少し、心配」
「無理してるんじゃないかって?」
ハルトの母……ミュリスが眉を下げて呟く声に、セレニエは首を傾げた。
「あの子、前世の環境があまり良くなかったらしくって、大人に甘えることが苦手というか……」
「……ハルトが転生者って、知ってたのね?」
「ごめんなさい、おばあ様」
「謝ることはないわ。そう、口止めされてたけど……気づいてたのね」
「口止めされてた……という事は本人から?」
「『母さんには心配かけさせたくない』ですって、孝行者ね」
「もっと甘えていいのに……」
「どんと構えてなさい? あの子も、甘えたいときになったら甘えてくるわ。まだ、準備ができてないだけ。甘えたいときに、行動した時に、受け止めてあげればいいのよ」
「そうでしょうか……あるんでしょうか」
「ハルトはちゃんと貴女や颯太さんを見てるわ。貴女たちの想いも、きっと頭では理解できてるはず。信じてやりなさい」
「……おばあ様にはいつも助けられてばかり」
ミュリスが自嘲気に笑った。
そんなミュリスの肩を叩き、セレニエは快活に笑う。
「これからが大変よ? ミュリス。二人目だって生まれてくるんだから」
「……はい」
「ハルトも厄介な人に目をつけられてるみたいだしねぇ」
「ユウキさん、ですか?」
「そ。冒険者にしたいんですって?」
吐息し、セレニエは目を細めた。
「……まぁ、ハルトはきっと、うまくやるんでしょうけどね……」
セレニエの言葉に、ミュリスは視線を落とす。
「あの子は魔術のセンスはからっきしだけど、身体能力は尋常じゃないわねぇ……知ってる? 幼稚園の鉄棒で大車輪してるのよ? あの子」
「大車輪……」
「こう、ぐるぐるーって……ほんと6歳?」
クスクスと可笑しそうにセレニエが笑い、ミュリスに近づく。
そして頭を撫でた。
「信じましょ、あの子を」




