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#62 3食、4人分の食事を用意するのは大変だなぁ(歓喜)

 目覚ましよりも先に起きた。

 ようよう考えたら早起き用の目覚ましをかけ忘れてたので、結果オーライだが危ういことしてたな。

 さくっと支度してキッチンへ行けば、まだ誰も起きて居なくって静まり返っていた。


 とりあえず、お弁当を用意しなければ。


 前世の得意料理は和食全般だったので、しばらくは和食で攻めていこうと思う。

 だし巻き卵、ウィンナーはタコにして……晩御飯の付け合わせ用も含めて煮しめを多めに作っておく。弁当に入れるようは浅めになるけど、夜食べる分は良く味が沁みるだろう。楽しみ!

 いんげんの胡麻和えは昨日の夜の残りを流用し……ご飯にはごま塩を掛けといた。

 まぁ、こんなもんかな!

 2人分、お弁当のおかずをさらに盛っておく。これは母君と曾おばあちゃんの分。


 曾おばあちゃんは2週間ほどお休みを貰っているらしい。

 そのあとは、この家から出勤するか、さらに休むかは後で考えるらしい。


 弁当を冷ます間に朝食用にもう一本だし巻き卵を作り、小さな鮭を焼く。

 俺と父上、母君に曾おばあ様の4人前を作るから、量が多いが、楽しい。


 野菜をいろいろ突っ込んだ肉なし豚汁を作っていると、父上が起きてきた。


「父さん、おはよう」

「おはよう、ハルト。……ほんとにご飯作ってるんだな……」

「母さんから聞いた? ……もうすぐみそ汁できるから。あと弁当はそっち。朝ごはん食べたら包んで持って行ってね」

「……すごいな……」

 万巻の想いがこもってそうな『すごいな』だった。

 俺的には久しぶりのお弁当作りで楽しかったけど。

 いやぁ、昔取った杵柄が生きるとは。転生しても手続き記憶は残るもんなんだね! ほんとかぁ?!


「父さん、ごはんとみそ汁は好きによそってね。僕は曾おばあ様起こしてくる!」

「あ、はい。お願いします」

 何故か父上が敬語で答えた。

 そしてしょぼしょぼした顔のまま炊飯器へ近寄っていく。

 とりあえずご飯を食べるらしい。


 曾おばあ様が寝ているらしい客室のドアをノックすると応えがあった。


「起きてますよー」

「おはようございます!」

 父上と違って曾おばあ様はシャキッとしていた。

 流石ハイエルフやでぇ! ハイエルフ関係ないかな。


 曾おばあ様を引き連れてダイニングへ戻ると、父上がもそもそと朝食を食べていた。

「おはよう、颯太さん」

「おはようございます、おばあ様」

「……これ、ハルトが作ったんだよね?」

「もう『貴方6歳?』は要らないですよ」


 曾おばあ様と自分用にみそ汁とご飯をよそって、それぞれ配膳すると、父上が「……言いたい気持ち、わかりますよ」と曾おばあ様をフォローしていた。

 なんじゃいな。


 朝ごはんを食べ終わり、制服に着替えて幼稚園へ行く準備をする。

 時計を見るといい時間だったので、曾おばあ様に声を掛けた。

 父上は朝ごはんを食べて早々に出社してしまった。

 まぁ、父上が幼稚園へ送る時間がないから、曾おばあ様が出張る羽目になったんだが……。

 つか、父上ワーホリ過ぎない?!

 いや、母君が父上に対して信用がないんだな……だから先に曾おばあ様に相談したんだろう……父上、そろそろそこらへん自覚して挽回しないとやばいぞ。


 ないと思うけど、浮気されるぞ。

 母君、結構人気あるんだから……。


「ハルト、何か悪いこと考えてない?」

「気のせいですよ、曾おばあ様」

 ポーカーフェイスですっとぼけたが、曾おばあ様はジト目で見つめてきた。

 ……きっ、気のせいですってば。

「とにかく、幼稚園行きましょ? やー、タノシミダナー」

「誤魔化したね?」

「ヤ、ヤダナー。キノセイデスッテバ」


「ハルト、いってらっしゃい」

 幼稚園へ行くために玄関へ向かうと、母君が起きてきていた。

「あ、おはよう、母さん。眠気大丈夫?」

「あんまり寝てばかりも、体に良くないからね。……昼ご飯も作ってくれてありがとうね、ハルト」

「無理して食べなくていいからね? 食べれそうだったら食べて。じゃぁ、幼稚園行ってきます」

「送ってくるわぁ」

「おばあ様、よろしくお願いします」

「いいのよー。ミュリスはゆっくりしてなさい」

 言い残して、俺の後を追う曾おばあ様。


 幼稚園まではさほど距離がある訳ではないが、曾おばあ様と二人っきりという激レア状態である。

 ので、いろいろ話したいことがある。


「そういえば曾おばあ様って、おばあ様が妊娠した時もこうやってたんですか?」

「君のおばあちゃまは、私にとっては嫁だったからねぇ……気を遣うと思ったから里帰りさせたわよ。その間息子に家事を叩き直したり育児が何たるかを説いてたけど」

「……僕も結婚したら叩き込まれるんですかね……」

「そこはほら。ミュリスがやるんじゃない? 6歳であそこまで家事出来る子なんだから、お嫁さんを大事にしなさいとしか私は言えないわぁ。と、いうか。私、ミュリスがハルトを妊娠したときもこうやって来てたのよ? まぁ……前回はさほど悪阻も来なかったみたいだけど、今回は酷いみたいね?」

「やっぱり無理してたんですかねぇ……そういえば、僕、おじい様とおばあ様のことよく知らないんですけど、どんな人達だったんです?」

「あぁ……ヒューゲルとエミリアさんのことかぁ。エミリアさんはミュリスを産んだ時に亡くなってさ。私、あまり関わってないから……でもできたお嬢さんだったわよ? そうねぇ……ミュリスの髪色とか、目の色とかはエミリアさん似かな。ヒューゲルは……優しい子だったわ。でも、ミュリスが成人する前に事故に巻き込まれて死んじゃった。だから、ミュリスは私が育てたと言っても過言ではないわね」

 懐かしそうに眼を細めていう曾おばあ様。

 死んでるのは知ってたけど、思ったより早い別れだった。

 そっかぁ、おじい様もおばあ様も大人になった母君を知らないのか……

 孫の顔どころの話じゃなかったな……。



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