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#3.5 ???

とっても短い、です。


「怖いんです」

 赤子がベッドで寝ている昼下がり。

 母親はサテライトで電話していた。

「私が産んだ子です。ちゃんと、私が産んだって、分かってます。はい、かわいいんです。かわいい我が子なんです。……でも、怖いんです」

『病院では 何もなかったと思いますが……』

「いえ……白竜の赤ちゃんのがハルトに話しかけているのを聞きました。……いえ、きっと賢いのでしょう。でも、違うんです。怖いのは、そうじゃなくって……目が……」

『目?』

「いえ、きっと賢いのでしょう。いろんなところを見ようとキョロキョロしているのは可愛いのです。でも、あの子……夜に泣かないんです」

『泣かない?』

「ええ……オムツが汚れたとか、何か用事がない限り泣かないんです」

『いい子じゃないですか』

「いいえ……!いいえ……確かにハルトはいい子です。きっと優しい子なんです。でも、赤ちゃんらしくないんです。夜、泣かないハルトはどうしてると思います? 暗闇の中、じっと見てるんです。何も言わず、何も泣かず。じっと、見てるんです。それが怖くって……私……」

『そうですか……お母さん、大丈夫。大丈夫ですよ。そうですね……一度、日を改めてカウンセリングを受けましょう。お母さんも、ハルトくんも。きっと、ええ。きっと大丈夫です』

「はい……はい……ごめんなさい」

『謝ることじゃないですよ。お母さん。初めての育児なんです。戸惑うこと、いっぱいあります。他の子と比べちゃうことだって。大丈夫です。きっとうまくいきます。そのために私達も支えますから』

「はい、ありがとうございます」

 通話を切り、母親が深くため息をついた。

「しっかり……しっかりしないと……」

 そう呟いてからソファーから立ち上がる。

 もうすぐミルクの時間だった。


 白竜の子供と我が子の会話を聞いた。

 我が子は一言も発さなかったが、白竜の子供は明らかに我が子と話していた。

 そして、白竜は我が子が転生者だと墜ち人であると告げた。

 それを、看護師には言えなかった。


 怖くて言えなかった。


 だって……墜ち人であるなら、保護される。

 もしかしたら、あの国に連れて行かれ……

 いや、あの国はエルフ以外には無頓着だ。

 我が子は、ハルトは……人間だ。クリーチャーである。だから、あの国は手を出さない。手を、出さないはずだ……はずなのだ……。


「ハルトは私の子なのよ。……私の、赤ちゃん……」


 愛しい反面、怖い。

 こんな母親を、あの子は許してくれるだろうか……

おまけみたいなもんだから、同時投稿(

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