#35.5 ???
「ということで、だ」
通信を切ったユウキはきなこに振り返った。
「土曜日、家に帰っていいぞ」
にこっと笑いながら言うユウキに、きなこは訝し気な顔をした。
そんなきなこを見てユウキはからからと笑う。
「魔術の基礎理論は分かったろー? で、あっちはあっちでお前が魔術行使をしなくてもいいよう環境を整えてくれた。良かったなきなこ。退院の日も近いぞ!」
ニッコーっと笑うユウキにきなこは冷めた目線を送る。
そして呆れた嘆息を吐き捨てた。
『一時、言った、です。退院じゃないです?』
「まだだめだなぁ……本体、まだ9割だろ」
明後日の方をみて応えるユウキにきなこは不服そうに呻く。
『ほっといても治る、です』
「だーめ。しっかり完治して、何だったらお薬自分で作れるくらいになりなーたい!」
いちいち癪に障る言い方するなぁ、ときなこは内心思うが、そこを突っ込むと余計にこじれていくのでスルーすることにする。
代わりに
『あれ、難しい、です』
むぅむぅと文句を言うきなこに、ユウキは「お前センス良いから、すぐできるようになると思うぜ?」と励ます。
そんなユウキをちらりと見てから、きなこは吐息を吐いた。
『作れるようになったら、退院です?』
「ま、ハルト君と相談かなー。いや、ハルト君ていうか、ハルト君の母君に、か」
『母君に悪いことした、です』
「いつか謝ってやれ。今度は口で言えるだろ?」
「……」
慈愛に満ちた笑顔でユウキが諭せば、きなこは無言でうつ向いた。
そんなきなこを少し見つめてからユウキはその場を後にした。
「ご飯にしようぜー」
とか言いながら。
そんなユウキを見送ってきなこはため息を吐いた。
そしていうのだ。
『やっぱユウキ、ゴハン遅すぎ、です』




