表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/89

#25 買い物に行きますよ

 さて、準備も万端なんで……いざ、商店街へ!

 きなこを抱きかかえてキャリーケースに入れる。

「きなこ、とりあえずここに入ってて」

「きゅっきゅ」

 抵抗なく、寧ろ協力的にキャリーケースに入るきなこ。

 賢い子ですなぁ。いい子ですなぁ。

 デレデレと顔を崩壊させつつきなこを覗き込んでいると、きなこがキャリーケースの奥の方へ後ずさっていく。

 あ。ヒかれた。少し寂しい。

 しょんぼりと、肩を落とすと母君が失笑する。

「ぷっ……クスクス」

 背後から笑い声。もちろん、母君である。

 ちょっとー母君―。そんな物珍しいように息子を見ないでくださいよー。

 思わず向ける目線にも、避難じみた感情がこもろうもんです。

「ごめんごめん。……なんか、きなこちゃんが来てからハルト、ほんと……」

 笑いがこらえきれずに噴きだし、肩を震わせる母君。

 いやぁ、まぁ……ひかれるよりは、笑ってくれる方がありがたいけど……

 自分が笑いのネタになってると思うと……チョットフクザツ。


 しっかし、昨日今日でそんなに劇的な変化があるのかね。

 自分自身ではあまり……変化は感じないんだが……。

 いつも通りだと思うんだがね?

「ごめん……ふふっ、ほんとごめん。……じゃ、いこっか。きなこちゃんは母さんが持とうか?」

「ううん。ぼくが持つよ」

 暫く肩を震わせていた母君だが、きなこのキャリーケースを持とうと提案いてくれる。……けど、この役目は俺のものである。ゆーずーらーなーいーよー。

 まぁ、この反応も予測していたらしい。母君は慈愛の目で笑い、歩き出した。

なんかその視線やだよぅ。

 

 -8番街-は広い。

 前世で言うなら、日本をすっぽりカバーできるくらいには広い。

 が、それは−8番街−全体でカバーしているという話で、区単位だというほど大きくない。

 1区あたり半径150kmだから……四国を包むくらい? 広大っちゃ、広大。


 で、俺はそんな−8番街−の、南区の……中央区寄りに住んでいる。

 南区は、北寄りに居住地区がありそこから南下する事に商業地区、農業地区、農林地区、最果てとだいたい区画されている。


 今から行く商店街は、商業地区……と見せかけて、居住地区内にあったりする。

 南区も、いうて半径150kmある。商業地区まで行けば確かに沢山の店やらなんやらあるけどね。遠すぎるのだ。そして少々……個人向けとは言い難い店……いや、正確には工場ないし企業が並ぶ場所である。一個人がペットグッズを買うために向かう場所は、近所の商店街で充分に事足りるのだ。


 -8番街-は、成立当初からある程度一貫した計画によって開発が行われている。

 それはある程度の誤差を許容できる都市開発計画だったってのもあるのだろうけど、そもそもアルヴェリア王国が結構徹底した人口管理をしている国だから、というのもあるのだろう。

 こう……大きな飢饉も起きないが、人口爆発も歴史上起きてないらしい。

 ずーっとゆるやかーに。ちょっとずつ増えはしているらしいのだが、急激な増減がないようにしているらしい。

 詳しいことは知らん。

 が、何が言いたいかといえば。

 徹底的に計画された開発により、どこに住んでいても住みやすい-街-なのである。


 まぁ、ショッピングモールや、大型商業施設なんかは、商業区や歓楽街に行かないとないけれど。ちょっとしたものをそろえるくらいなら歩いて行ける距離にあるってのが……-8番街-すげぇってところである。(他の-街-や国のことは知らない。まだ5歳児なもんだから)

 流石にマンションなんかもあるんだけどさ、それでも人口密度に地域差? あんまないんだよね……どうなってるんだ。あ、中央区は例外だけどね。

 あそこは流石に、権力が集中してる大都市なので。


 でもまあ、その他の区ではスーパーもそうなんだけど、学校も一定距離で配置されてて、大体の子は徒歩で通えるっていう……。

 まぁ、年代差とかでこっちは流石に人数差あるんだけどね。

 

 ……なんか、知れば知るほど……どうなってんだこの-街-。

 

 ぽてぽて歩いていけば、15分程度で人の賑わう商店街が見えてくる。

「きゅっきゅぺ?」

 暫く声が聞こえなかったので寝てるのかと思っていたが、起きていたらしい。

 きなこが商店街の賑わいを見て声を挙げる。

「気になる?」

「……きゅっきゅちゃん!」

 そうかー。気になるかぁ。

 いつの間にかキャリーケースの窓面に張り付いて外の様子を眺めているきなこがはしゃぎ気味に鳴く。かわええのぉ。

 はしゃいでるけど、人目を気にして控えめに鳴くところ、ほんと賢いしかわいい。


 時折目を開いてピカピカさせているきなこを見つつ和んでいると、また視線を感じる。

 見上げたらやはり母君。

「……な、なに……?」

「えっ! ……い……いえ、ね……?」

 反応されると思ってなかったのか、過剰に驚く母君。

 え、なに……そんな驚かれることしたつもりないんだが……?

「今思ったんだけど……きなこちゃんって、普通の動物じゃないじゃない……? 今からいくペットショップ……ペットだしてもいいんだけど……出して大丈夫かしら……?」

 ……

 母君のこと天然だと思ってたけど、俺も他人のこといえなさそうである。

 いや、蛙の子は蛙ってことかな? だと嬉しい。

 何も考えずに、きなこ連れてきたけど……いうて、きなこ、魔物である。

 ペットショップで出していいんだろうか……でも、きなこの使うもの買うんだから、きなこに選んでほしいんだよなぁ……


 まぁ、そもそも。俺と母君で買い物に行って、きなこだけ家でお留守番ってのも……とれる選択肢じゃないよねぇ。寂しいじゃん。きなこが。

 そりゃ、いつかは一人でお留守番することもないともいえないけどさ……うちに向かえいれて数日でやったら……それは、ちょっと非道だよねぇ……。

 だから、こうやって連れてくるよりほかないんだけど、さ。

 しっかし考えてなかった。

 よくよく考えなくてもきなこは魔物である。

 見た目は完全に、毛の生えたスライムである。

 そんなん、こんな人目のつく場所に連れて行って良かったんだろうか……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ